紅白歌合戦・Every Little Thingの軌跡

 今回は第48回(1997年)~第55回(2004年)まで、8年連続出場したEvery Little Thingについて書きたいと思います。

 新曲をヒットさせていた期間が比較的長く、8年連続出場はJ-POPだとかなりの記録になります。3人組としてデビューしましたが、五十嵐充が抜けた第51回(2000年)以降は2人でのステージとなっています。持田香織の個性的なファッションも印象的でした。反面ステージ以外の応援に登場する場面は少なく、出番も前半がメインだったのはやや惜しいところです。そんなELTの紅白歌合戦を、振り返っていくことにします。

Every Little Thingの紅白データ~8回分のまとめ

出場回歌唱曲作詞者
作曲者
発売日曲順主なデータ主な受賞他の発売曲
第48回
(1997年)
Shapes Of Love五十嵐充
五十嵐充
1997/10/22紅組前半5番手/10組中1997年オリコン年間93位・Dear my friend
・For the moment
・出逢った頃のように
第49回
(1998年)
Time goes by五十嵐充
五十嵐充
1998/2/11紅組前半7番手/10組中1998年オリコン年間9位日本レコード大賞優秀作品賞
JASRAC賞金賞
・Face the change
・FOREVER YOURS
・NECESSARY
第50回
(1999年)
Over and Over五十嵐充
五十嵐充
1999/1/27紅組前半トリ前1999年オリコン年間69位・Someday, Someplace
第51回
(2000年)
愛のカケラ持田香織
多胡邦夫
2000/10/18紅組前半10番手/14組中2000年オリコン年間127位・Pray
・sure
・Rescue me
第52回
(2001年)
fragile持田香織
菊池一仁
2001/1/1紅組前半7番手/13組中2001年オリコン年間13位日本レコード大賞金賞・Graceful World
・jump
第53回
(2002年)
UNSPEAKABLE持田香織
菊池一仁
2002/12/18紅組後半4番手/14組中2003年オリコン年間15位・キヲク
・ささやかな祈り
第54回
(2003年)
また あした持田香織
小幡英之
2003/11/12紅組後半4番手/15組中2004年オリコン年間70位・Grip!
・ファンダメンタル・ラブ
第55回
(2004年)
恋文持田香織
HIKARI
2004/12/15紅組前半9番手/13組中2005年オリコン年間64位・ソラアイ

第48回(1997年)「Shapes Of Love」

ステージ

作詞・作曲:Mitsuru Igarashi
前歌手:中村美律子、山川 豊
後歌手:堀内孝雄、香西かおり

曲紹介:和田アキ子(紅組司会)、石川さゆり、小林幸子、坂本冬美

 1996年デビュー以来、特に年が変わってから初のリリースとなった「Dear My Friend」以降は出す曲全てが大ヒット。紅白歌合戦も当然の初出場となりました。エイベックス≒小室哲哉プロデュースというのがこれまでの一般的なイメージでしたが、ELTのヒットによって所属アーティストも一気に多角化します。またポストELTという狙いもあったのでしょうか、これ以降同社からは女性ボーカリストのデビューがソロ・ユニット関わらず相次ぎ、多くがヒットを残しました。

 ただ意外に前年までのヒットアーティストにいなかったタイプというせいもあるのか、紅白での扱いはやや迷いがあった様子です。前半5番手の曲順は前年のTRF・一昨年初出場の安室奈美恵と同様ですが、対戦相手はまさかの山川豊(小芝居つき)。曲紹介も先輩歌手の漫才みたいなやり取りが前置きでした。

アキ子「紅組は正統派で参りたいと思います。Every Little Thingです」
さゆり「若い人たちはELTって呼んでるんですよね」
冬美「そうなんです。ELTといえば私もカラオケで歌ってます」
幸子「私もELTカラオケで歌ってるのアッコちゃん、ちょっと歌わせてもらうわね。(手持ちのカラオケを持参して)♪無理して飲んじゃ~」
アキ子「はいはいはいはい、あなた、あなたはね色々大変、セットの用意があるんだから、楽屋でやってください」

 ベテランが若いアーティストを解説する意味合いも含めたやり取りですが、よくよく考えると幸子さんが当時まだ40代で冬美さんに至っては30歳になったばかり。昨年の白組にあてはめると氷川きよし山内惠介まふまふを紹介するようなシチュエーションです。それだけ当時の歌謡界からは、ELTおよびエイベックス系の音楽が目新しく見えたと言うことです。

 イントロと同時に手拍子が発生、ステージに立つ3人が遠めのアングルから映ります。早々にステージの窪みからドライアイスが噴き出す演出、ギターを弾く伊藤さんが完全に隠れてしまうほどの勢いでした。

 ステージの注目はやはり持田さんの衣装で、紅白歌合戦という大舞台になると通常の歌番組と大きく異なる凝ったいでだちになります。髪型をボリューミーに固め、左手の指輪には大きな花飾りがあります。服装は上半身がチアリーダーのような赤いシャツ、下半身がフリル多めの赤いスカート。個性的でありながら派手過ぎるわけでもないセンスの良さ、当時の持田さんは歌手だけでなくファッションリーダーという側面もありました。

 まだデビュー2年目、澄んだ素直なボーカルも大変印象的です。ただ1997年・1998年はCDリリースも非常に多く、歌番組でも常連中の常連だったので喉は間違いなく酷使している状況だったかと思われます。それが後年の歌唱法にも大きく関係するのですが、もう少し後で触れることにしましょう。

その他

 日本レコード大賞には「Dear My Friend」でノミネート、優秀作品賞にも選ばれています。ただ歌唱時間は20時40分頃なので、明らかに大賞を取らない前提のスケジュールでした。なおこの年の日本レコード大賞は、安室奈美恵「CAN YOU CELEBRATE?」が文句無しの受賞となっています。

 したがってオープニングは不参加でも良さそうですが、一応参加はしていたようです。ただ映ったのはSPEEDの曲紹介で伊藤さんが僅かに後方端といった具合、かなり念入りに見直さないと分からない状況です。

 持田さんは和服美人の藤あや子が歌う前に、松たか子広末涼子と一緒に振袖姿を披露。「年の始めに気持ちが引き締まるよね」というセリフも用意されていました。桃色の生地には花があしわられ、若干ツインテール気味の髪型はかなりレアな格好ではないかと思います。

 エンディングも姿が見当たらず、かなり後方にいたかもしくは不参加と思われます。

第49回(1998年)「Time goes by」

ステージ

作詞・作曲:Mitsuru Igarashi
前歌手:JUDY AND MARY、山本譲二、(スポーツヒーローショー)
後歌手:西城秀樹、香西かおり
曲紹介:久保純子(紅組司会)、和田アキ子、爆笑問題

 ショーコーナー明け、この年は爆笑問題が曲紹介に登場します。3人組が大流行した1年ということで(この年はthe brilliant greenがブレイク、globeやMY LITTLE LOVERなども引き続き活躍)、司会の久保純子を加えてトリオ漫才。太田さんがボケ・2人がツッコミという役割でした。全体的にテンポ良く、紅白に登場する漫才師としてはウケる場面も多め。この年から2年間『ポップジャム』司会を務めた彼らは、第54回(2003年)まで6年連続応援で紅白歌合戦に出場します。ピンクの服を着た太田さんが「桃組の応援」とオチたところで曲紹介。イントロ開始とともに、客席にいるファン何人かが”かおりちゃーん!”と声援を贈っています。

 この年の持田さんの衣装は、白い生地に赤の大きな水玉模様の肩出しドレス。髪は黒色でやや短め、視覚的なインパクトは前年と同様強めです。ステージは3人だけでなくサポートメンバーも追加、五十嵐さんはキーボードでなくグランドピアノでの演奏です。ただ生演奏ではない様子でした。

 セットは後ろに電飾のモニターを設置、歌が進むに連れて様々な画面に切り替わります。ラストは遠めのショットと一緒にELTの文字、綺麗に締まるカメラワークです。歌声は特に問題無し、ただ普段の歌番組で入るであろう”wow wow wow…”のラストが紅白だけカットされていたため、危うく歌いそうになる場面もありました。

 1998年を代表する名バラードでミリオンセラー、この曲が収録されたアルバム『Time to Destination』は300万枚以上を売り上げる大ヒット曲になりました。その割には前半7番手で対戦相手も若手J-POPではなくベテランの西城秀樹、あまり大々的な扱いではありません。なおこの年所謂ヒットJ-POP系は紅が11組・白が8組でややバランスの悪い状況でした。

その他

 この年も日本レコード大賞にはノミネートされていますが、20時55分の歌唱なので大賞にならないこと前提です。GLAYSPEEDL’Arc~en~Cielなど誰が受賞でも不思議ではない大激戦でしたが、蓋を開けると大賞は秋に4枚連続リリースのあったglobeでした。なお『Time to Destination』がアルバム大賞を受賞しています。

 オープニングは参加、この年は冒頭で全員がはっきり映っています。ピラミッド状のセットに全員集合、立ち位置はポケットビスケッツブラックビスケッツの後ろでglobeの前という3人組で固められたような場所でした。

 この年の紅白歌合戦、ステージ以外の大仕事は橋幸夫のステージでした。作曲の吉田正追悼で「いつでも夢を」を全員集合で歌いますが、2番前半を紅組歌手で歌い継ぐ演出となっています。石川さゆり西田ひかるに続いて持田さんが3番手のソロを担当、緊張しながら左斜め下を向けて歌う場面はとても彼女らしい動きでした。

 エンディングにも一応参加、中央後方で五十嵐さん中心にチラチラ映るシーンが確認できます。上から撮ったショットも「蛍の光」でワンカット入りましたが、持田さんはボリューミーな髪型の恩田快人(JUDY AND MARY)に隠れる状態になっていました。

第50回(1999年)「Over and Over」

ステージ

作詞・作曲:Mitsuru Igarashi
前歌手:SPEED、ゴダイゴ
後歌手:加山雄三、藤あや子
曲紹介:久保純子(紅組司会)、和田アキ子、山田花子藤井 隆石田 靖
踊り:KMSダンサーズ 振付:家城比呂志

 前年同様曲紹介でゲストの応援あり、この年は吉本新喜劇からの3人が登場。もっとも3人とも既にタレントとして広く活躍、藤井さんに至っては翌年「ナンダカンダ」で歌手デビューすると大ヒット・そのまま歌手として初出場を果たします。なお応援は前年の爆笑問題と比べると非常に見せ場少なく、アッコさんが登場するオチまで同じ内容でした。

 この年はサポートメンバー無しで3人のステージ(五十嵐さんはグランドピアノ)、その代わりに多くのダンサーが優雅に舞っています。今年を代表するバラードという曲紹介もあって、12人近くのヴァイオリン演奏も入りました(音はイントロ以外ほぼ聴こえていないですが)。持田さんの衣装はカーテンの模様みたいなデザインのドレス、髪の色が茶色くなっています。背中にも飾りがあるようですが、後ろを向いたり後方のショットが入ったりする場面がなかったのは非常に惜しいです。

 1999年は4月以降リリース・ツアーともに無く落ち着いたスケジュールでしたが、秋からは翌年リリースされる楽曲のレコーディングに入っています。この曲はELTの数ある楽曲の中でも最上級の名曲ですが全体的にキー高め、特にラストサビ入りの最高音は出すのがかなり大変そうな様子でした。

その他

 1990年代以降のオープニングはキャリアで映る場所が決まることが多かったですが、この年はあいうえお順優先。そのため「え」から始まる彼女たちは前列、過去2年と比較すると非常にはっきり映っています。音楽に合わせて歌手全員が手拍子する演出ですが、持田さんの動きはやや脱力気味に見えます。

 前半ラストは全員合唱の演出が入りました。スティービー・ワンダーのメロディーにさだまさしが詞をつけた「21世紀の君たちへ~A Song for Children~」、前半に西城秀樹と2人で歌う場面が用意されています。自身のステージから僅か10分後の再登場ですが、持田さんは若干セクシーなキャミソールワンピに着替えています。

 後半も持田さんがスポーツヒーローショーに登場。当時体操の若手選手で、後にアテネの団体で金メダルを獲得する塚原直也選手をエスコート。ここでも濃赤色のシャツに花柄のスカート、ファッションリーダーという役割を十二分に果たしています。なおエンディングとその後の年越しカウントダウンは不参加、再度歌われた全員合唱はヒデキさんのソロになっていました。

第51回(2000年)「愛のカケラ」

ステージ

作詞:持田香織 作曲:多胡邦夫
前歌手:長山洋子、西城秀樹
後歌手:鳥羽一郎、原田悠里
曲紹介:久保純子(紅組司会)、和田アキ子
振付:若井田久美 踊り:CAGR

 2年前と同様対戦相手は西城秀樹。前年も全員合唱で一緒のパートを歌っていたので、妙に縁があります。五十嵐さんがこの年3月にグループから脱退、2人で出場する初めての紅白歌合戦となりました。

 この年もステージ準備の繋ぎで応援が入ります。今回は歌手として初出場を果たした藤井隆。例のごとくアッコさんの悪口を言っていると、後ろから本人登場。よくある台本ですが「イヤーーーーーーー!!」とマイクを離して怪獣のように叫ぶリアクションは、横にいたクボジュンだけでなく会場も大ウケ。というわけで曲紹介。「持田香織さんの透明感のある歌声が光ります」、そういえばアッコさんはこれでELTの曲紹介に4年連続登場している状態です。

 持田さんが濃い青、伊藤さんが濃い赤で衣装を統一しています。持田さんの衣装は星空をイメージしているようにも見えますが、ステージの演出も夜空がテーマになっている様子。その他サポートメンバーが5名ステージに参加しています。

 サビに入ると宙吊りのフラフープに乗ったダンサーが2人登場します。地上にも妖精のようなダンサーが2人、側転や開脚などアクロバティックな動きを見せています。終盤は2人がそれぞれフラフープに入り、あと2人がぶら下がるという随分難度の高い演技を見せていますが、なにぶん後方の少人数なので全く目立っていません。それだけ曲のチカラ、曲の良さが勝っていたということでしょうか。ただ曲紹介とは裏腹に、高音は前年以上に苦労している様子もありました。

その他

 壇上に集まる出場歌手全員が映るオープニングですが、伊藤さんは周りが全員女性なので若干戸惑っている表情に見えます(前年までは五十嵐さんがいたのでそんなこともなかったですが)。横にいる持田さんは前にいるMAXのメンバーに隠れるショット、周囲には彼女たちの他に花*花中村美律子といった面々がいる様子。

 「あ~よかった」で初出場の花*花には、紅組歌手が花を持ちながら後ろで一緒に応援する温かい演出がありました。持田さんも参加していますが、周りの歌手が笑顔の中でなぜか思いっきり真顔。途中顔を俯いている場面さえもあり、少なくともこういった演出はあまり得意でない様子です。

 全員合唱「上を向いて歩こう」は、郷ひろみと一緒のマイクを使っています。郷さんと持田さんの間から、伊藤さんが覗き込むようなショットでした。なおエンディングはこの年も不参加です。

第52回(2001年)「fragile」

ステージ

作詞:持田香織 作曲:菊池一仁
前歌手:八代亜紀、鳥羽一郎
後歌手:TOKIO、中村美律子
曲紹介:有働由美子(紅組司会)

 1999年に放送開始したフジテレビ系恋愛バラエティ番組『あいのり』主題歌として大ヒットした曲です。これ以降『あいのり』は非常に強力なタイアップとなり、「Way of Difference」「明日への扉」「スターゲイザー」「未来の地図」など数多くの曲が番組きっかけに大ヒットしています。

 ゲストや出場歌手が喋って時間を繋ぐことが多かったELTの曲紹介ですが、この年は歌手席が入る演歌の4ステージ後に審査員へのインタビューが設けられる形でした。1分間でリポーターが2人にインタビュー、そのまま有働アナがアーティスト名と曲名のみ読み上げるシンプルな曲紹介。

 この年の持田さんは真緑のドレス、伊藤さんはコートのような上着を着て登場します。サポートはこの年3名のみ(なぜかベースが不在)でダンサーは無し、12本のスタンドからあがる炎がステージを囲んでいる演出です。照明は舞台奥からの光線状の物を多く使っていますが、全体的には暗めのステージ構成に仕上げていました。

 「fragile」は2001年1月1日リリース、したがって21世紀最初のヒット曲と言っても差し支えないかと思います。この年は秋リリースの「jump」で大きく曲調・歌唱法を変えていましたが、ステージは上半期で何度も歌っていた時と大きく変わらない歌声でした。

 アウトロ終了後に笑顔を見せて、持田さんが挨拶。「どうもありがとうございました。この後も楽しんでってください」。この年の紅白は歌唱前・曲紹介時に司会者による代読・歌唱後などシチュエーションはそれぞれ違いますが1組ずつ何かしらのメッセージを入れる演出になっています。

その他

 オープニングはこの年も2年前同様あいうえお順での登場。カメラも中央から安室奈美恵石川さゆりの次に映っています。持田さんの衣装も、数年前と比べて少し大人っぽくなっているように見えました。

 この年はカウントダウンライブを開催、歌唱後に有楽町の東京国際フォーラムに移動します。そのため以降の出番はありません。

第53回(2002年)「UNSPEAKABLE」

ステージ

作詞:Kaori Mochida 作曲:Kazuhito Kikuchi
前歌手:夏川りみ、アルフレド・カセーロ&THE BOOM
後歌手:(紅白Ring Show)、前川 清、川中美幸
曲紹介:有働由美子(紅組司会)

 この年もセット転換の繋ぎとして、連続テレビ小説『まんてん』のメンバーが登場。宮地真緒赤井英和照英が紅組応援の芝居をした後に『さくら』の小澤征悦(白組サポーター)も乱入、高野志穂(紅組サポーター)がツッコミを入れる中で司会の有働アナが曲紹介。やや時間押し気味でしょうか、演奏開始のタイミングがやや早いです。

 6年連続出場で、ようやく出番が前半から後半になりました。対戦相手も初期は異ジャンルのベテランが続いていましたが、前年からはようやく同じJ-POPのアーティストが組まれるようになります。

 楽曲は12月発売のEP『UNTITLED 4 ballads』収録のバラードです。ややボリューミーでパンキッシュな髪型の持田さんですが、ドレスの色は真っ黒で非常にシック。髪飾りも黒薔薇、ついでに言うとステージの照明も全体的に暗めです。炎が入る演出や歌声は前年と近似していますが、カウントダウンライブの予定がないこともあってサポートはしっかり5名の参加でした。あとは少しずつではありますが、左下を向いて歌うシーンの割合が年々高くなっているような気もします。

その他

 オープニングは雛壇に立つ全員が最初に映るカメラワーク、立ち位置はあいうえお順なので前方です。持田さんはこの時点で真っ黒な衣装です。

 自身のステージ終了後には、オンエアバトル方式の中間審査に参加。レーンから流れた紅組側のバケツを運び、秤に乗せる役を持田さんが担当。結果は紅組優勢、大喜びではないとしても笑顔で拍手をしています。なおこの年はエンディングまで参加していますが、立ち位置は中央後方で何とか映るという状況でした。

第54回(2003年)「また あした」

ステージ

作詞:持田香織 作曲:小幡英之
前歌手:aiko、テツandトモ・はなわ
後歌手:CHEMISTRY、島谷ひとみ
曲紹介:膳場貴子(紅組司会)、有働由美子(紅組司会)

 前後のステージや曲順・対戦相手など紅白での扱いは決して良いと言えないELTですが、この年はよりにもよってオンエアバトルのお笑いステージ直後という曲順。ラジオ中継担当の藤崎弘士アナ(当時オンエアバトルMC担当)まで乱入して中継席に繋げる状況、紅白史上でもかなり高いカオス度の中でステージに入ります。

 そうは言ってもセット転換が終わってイントロが入るとすっかりこちらのペース。客席も賑やかで、”もっちー!”のコールは量・大きさともに過去最大でした。これは前ステージがひたすらテンション高かったからこその副産物だったかもしれません。

 前年までとは声の出し方が大きく変わり、紅白ではこの年からウィスパーボイスに切り替わっています。ファンの間でも賛否両論あったという当時の記憶ですが、声の負担などを考えるとこちらを選ぶ方が良かったはずで、現在から振り返るとELTの世界観がより広がる好判断だったのではないかと感じます。演奏はサポートメンバーの他に、8人のストリングスも加わっています。

 サビでは声を張り上げますが、それ以外は落ち着いた歌唱でした。薄いピンクのニット帽もよく似合っていて、癒されます。心なしか笑顔の表情も例年より多めでしょうか。ただ時間はかなり押し気味の様子、アウトロが終わらないうちに白組司会が喋り始めたのは惜しい所でした。

その他

 オープニングはやや後方かつ端、モーニング娘。のメンバーに紛れ込むような立ち位置です。あいうえお順でない年は、今更ですがやはり後ろに回ることが多い様子。

 曲間の出番は全く無く、「蛍の光」含めたエンディングも映るシーンは見つけられず。ステージ多めでかなりギチギチな詰まった回ではありましたが…。

第55回(2004年)「恋文」

ステージ

作詞:持田香織 作曲:HIKARI
前歌手:nobodyknows+美川憲一
後歌手:ORANGE RANGE、島谷ひとみ
曲紹介:小野文惠(紅組司会)

 美川さんが派手なステージを披露後、彼に扮したコロッケが登場して審査員インタビュー。橋田壽賀子のコメントが話題になったシーンですが、これについては紅白名言集解説・43~橋田先生の紅白史~を見てください。やり取りが終わった後に小野アナが曲紹介。

 2年前同様黒いドレス、前髪をまっすぐに揃えたヘアスタイルはこれまでの7年と違う持田さん。歌い上げるシーンを中心に、目を瞑って熱唱する場面が非常に多いです。マイクスタンドを使用するステージは、8回の紅白出場で唯一でした。伊藤さんもこの年はエレキギターだけでなくアコースティックギター、間奏ではソロも披露しています。サポートはバンド4名+ストリングス。

 楽曲は2004年12月発売、前年の「また あした」同様持田さんが出演するはちみつきんかんのど飴のCMソングでした。2007年には映画『天国からのラブレター』主題歌にも起用、数多くあるバラードの名曲の1つになっています。

その他

 1組ずつ歌手名が読み上げられるオープニング、DREAMS COME TRUEと一緒の登場です。ドリカムはELTが初出場を果たした第48回以来7年ぶり復帰、こちらも3人組から1人抜けて2人ユニットとしての出場でした。

 例のごとく曲間の応援などで出演するシーンはありますが、前半トリ前の全員合唱「上を向いて歩こう」には参加。ひな壇2列目やや画面左側、2人とも黒い衣装で揃えています。エンディングは、後方で持田さんが映る姿が一瞬確認できました。

おわりに

 残念ながら2004年を最後に紅白歌合戦出場は途切れますが、オリコンの週間CDシングルセールスTOP10入りは2011年まで続きました(2010年は16位止まり)。2005年は「きみの て」、2006年も「スイミー」が話題になっていたので、出場できなかったのは惜しいところです。

 1990年代後半は意外と出演シーンも多かったですが、カウントダウンライブを開催した2001年以降は演出の変化もあってやはり出番少なめです。エンディングも映るシーンが少なく、参加しているかどうか分からない年もありました。

 持田さんが昨年末に第一子出産、近年は活動がセーブ気味となっています。紅白の復帰もあるとしたら当分先になると思いますが、可能ならばまた再び見たいところです。

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