歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第43回・1992年その2)

演奏時間&構成表 2(第43回・1992年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
8(紅4)
紅前半4
なごり雪イルカ3分24秒
2コーラス半
3分34秒
2コーラス半
9(白4)
白前半4
神田川南こうせつ3分7秒
2コーラス
3分8秒
2コーラス
10(紅5)
紅前半5
涙のバケーションMi-Ke2分34秒
冒頭+2コーラス
3分28秒
冒頭+2コーラス+サビ
11(白5)
白前半5
リラの咲くころバルセロナへ光GENJI3分25秒
サビ+1コーラス半
4分28秒
サビ+1コーラス半
12(紅6)
紅前半6
コーヒー・ルンバ荻野目洋子2分26秒
1コーラス半
4分36秒
2コーラス半
13(白6)
白前半6
東へ西へ本木雅弘2分41秒
2コーラス+サビ
4分28秒
3コーラス+サビ
14(紅7)
紅前半7
ボーイ・ハント伊東ゆかり2分21秒
1コーラス+サビ
2分28秒
1コーラス+サビ
15(白7)
白前半7
高校三年生舟木一夫2分39秒
3コーラス
3分5秒
3コーラス
16(紅8)
紅前半8
こんにちは赤ちゃん梓みちよ2分35秒
1コーラス
2分23秒
1コーラス
17(白8)
白前半8
見上げてごらん夜の星をデューク・エイセス3分12秒
1コーラス
3分48秒
1コーラス(原曲)
18(紅9)
紅前半9
愛の終着駅八代亜紀2分34秒
2コーラス
3分39秒
3コーラス
19(白9)
白前半9
さすらい小林 旭2分27秒
2コーラス
3分57秒
3コーラス
20(企2)TEARS -大地を濡らして-出場歌手全員4分1秒
1コーラス半
10分30秒
2コーラス半

各ステージ・補足

 ギターを弾きながら歌うイルカは意外な紅白初出場。「なごり雪」は10年前に榊原郁恵が歌っていますが、当然ながらこちらの方がしっくり来ます。ピアノ演奏のアウトロ以外完全フルコーラス、曲も歌声も聴き惚れる名ステージでした。

 南こうせつの「神田川」は1973年に大ヒットした国民的名曲ですが、その年の紅白歌合戦は”クレパス”の歌詞を歌うか歌わないかで揉めて出場を蹴った逸話があります。19年の時を経てついに紅白披露、ただ出場はさすがにかぐや姫ではなくソロ歌手としてでした。歌はカット無しのフルコーラス、もちろん”クレパス”の歌詞もしっかり歌われています。

 前回グループサウンズの名曲を並べた「想い出の九十九里浜」を歌ったMi-Keですが、この年は60年代洋楽カバーのタイトルを散りばめた「涙のバケーション」を歌唱。当時アシスタントを務めていた『NHKヒットステージ』テーマソングでしたが、リリース日はなんとこの年の大晦日。グループは翌年で活動休止、したがって活動期間は全て紅白に出場しています。ステージは2コーラス歌唱ですが、2回目のサビは2番ではなくラストの方を採用する形でした。

 光GENJIはこの年バルセロナオリンピック応援ソングに起用された「リラの咲くころバルセロナへ」ですが、紅白で歌われた歌詞はシングル収録分と大きく異なります。これは”New エールバージョン”と呼ばれていて、後年のベストアルバムで初収録されました。Aメロの尺は本来の分より短め、間奏もやや短くなっていますが、ステージは3分半近くでやや長め。五輪メダリストも3名審査員に招待、紅白で五輪絡みの演出をしっかりやるのはこの年が初めてです。(ステージレビュー→紅白歌合戦・光GENJIの軌跡

 音羽屋三代(七代目尾上梅幸七代目尾上菊五郎六代目尾上丑之助(現・五代目尾上菊之助))と出場歌手による口上披露後、荻野目洋子がヘッドセットマイク装着でダンサブルな「コーヒー・ルンバ」のカバーを披露。この曲が紅白で歌われたのは第12回の西田佐知子以来31年ぶりですが、内容は(おそらく)大きく異なります。そもそも編曲が、ルンバとは程遠いユーロビート調でした。

 本木雅弘は井上陽水の名曲カバー「東へ西へ」、「コーヒー・ルンバ」と同様コマーシャルで話題になった曲でした。コーラス含めた生バンド持ち込み、間奏が大幅にリアレンジされた2コーラス歌唱。前年にヘアヌード写真集をリリースしましたが、この年はエイズ撲滅のメッセージと称して白い液体の入った複数のコンドームを首にぶら下げてのパフォーマンス。アップのショットは無かったものの後ろを向いて臀部を見せるシーンもあり、物議を醸しました。ただNHKとしては問題なくこの後も紅白は審査員で2回出演、大河ドラマの主演も務めています。

 17年ぶり紅白復帰の伊東ゆかりは、当時放送中のNHK連続テレビ小説『ひらり』で主人公の母親役を好演していました。「小指の想い出」「恋のしずく」、あるいは「ロコモーション」などがある中で1971年発表の「ボーイ・ハント」を選曲したのは、やや意外な感もあったでしょうか。2分半に満たない楽曲なので、当然フルコーラス歌唱です。なお紅白では1961年・第12回で中原美紗緒が歌っているので、31年ぶり2回目でした。

 デビュー30年目の舟木一夫はこの年に人気再燃、「高校三年生」を初出場以来29年ぶりに紅白で歌います。自身の紅白出場も21年ぶり。3コーラス完全フルコーラスですがやや速いテンポ、歌い終わった後の短いアウトロは完全に加速していました。

 世界的ジャグラーであるウォーリー・イーストウッドのショー(約3分半)を挟んで、作詞家かつ放送作家の永六輔が29年ぶりに紅白出演。この年は訃報が多く、いずみたく・岸洋子・中村八大が相次いで逝去となっています。八大さん追悼で梓みちよが「こんにちは赤ちゃん」を歌唱、イントロ前やアウトロ後に新たな演奏も加わるフルコーラスですが、歌詞を間違える場面もありました。

 デューク・エイセスは21年ぶりの出場ですが、トップテナーの谷口安正が2年前の大晦日に亡くなっているので、当時の新メンバー・飯野知彦が紅白初出演となっています。歌は作曲家のいずみたく、さらに坂本九追悼の思いも込めて「見上げてごらん夜の星を」。4回歌うAメロは最後の1回がカットになっていますが、聴き応え抜群の素晴らしいステージ。羽田健太郎のピアノ演奏、最後は曲とマッチしたクラシック音楽が演奏されました。

 八代亜紀は1977年のヒット曲、紅白では初となる「愛の終着駅」。1番と3番の歌唱でした。

 小林旭は「さすらい」、歌合戦に出場しなかった1960年のヒット曲です。翌年の大河ドラマ『琉球の風』出演に際しての紅白復帰、その役作りで髭面姿になっています。こちらも1番と3番の歌唱でした。

 ラストの全員合唱はYOSHIKIが作詞作曲した「TEARS -大地を濡らして-」。当時27歳だったことを考えると、大抜擢の人選です。楽曲は後にX JAPANのシングルとしてリリースされますが、歌詞は大幅に変わっています。

 

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