19時台の放送が定着し始めた1992年・平成4年。J-POP豊作の年で多くの初出場歌手が登場、その一方で海外からの出場歌手が久々にゼロになった年でした。アニメソングの企画コーナー、オリンピックメダリスト多数出演、紅組白組歌手同士のデュエット、そして紅白をラストに解散するバンドの登場など、新機軸が続出した紅白歌合戦でもあります。
演奏時間&構成表 1(第43回・1992年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 | フル再生時間 構成 |
1(紅1) 紅前半1 | スピード | 森口博子 | 2分33秒 1コーラス+サビ | 3分56秒 2コーラス+サビ |
2(白1) 白前半1 | 雪が降ってきた | SMAP | 2分54秒 1コーラス半 | 5分4秒 2コーラス半 |
3(紅2) 紅前半2 | 恋をしようよYeah! Yeah! | LINDBERG | 2分57秒 1コーラス+サビ | 4分12秒 2コーラス+サビ |
4(白2) 白前半2 | You’re the Only… | 小野正利 | 2分37秒 1コーラス+サビ | 4分38秒 2コーラス+サビ |
5(紅3) 紅前半3 | 花挽歌 | 香西かおり | 2分36秒 1コーラス+サビ | 4分36秒 2コーラス+サビ |
6(白3) 白前半3 | 夜桜 | 山川 豊 | 2分48秒 2コーラス | 4分25秒 3コーラス |
7(企1) | テレビ40年 思い出の主役たち | |||
エイトマン (1963/克美しげる) | 東京放送児童合唱団 | 0分35秒 冒頭+サビ | 2分28秒 冒頭+3コーラス | |
魔法使いサリー (1966/スリー・グレイセス) | 東京放送児童合唱団 | 0分20秒 Aメロ+サビ | 1分7秒 2コーラス | |
ひみつのアッコちゃん (1969/岡田恭子) | 東京放送児童合唱団 | 0分25秒 Aメロ+サビ | 1分50秒 3コーラス | |
オバケのQ太郎 (1965/石川 進) | 東京放送児童合唱団 | 0分19秒 冒頭 | 2分48秒 3コーラス | |
タイガーマスク (1969/新田 洋) | 東京放送児童合唱団 | 0分25秒 Aメロ+サビ | 2分3秒 3コーラス | |
キューティーハニー (1973/前川陽子) | 東京放送児童合唱団 | 0分18秒 Aメロ | 2分19秒 3コーラス | |
サザエさん一家 (1969/宇野ゆう子) | 東京放送児童合唱団 | 0分9秒 ラスト | 3分26秒 3コーラス | |
宇宙戦艦ヤマト (1974/ささきいさお) | 東京放送児童合唱団 | 0分19秒 Aメロ | 2分15秒 3コーラス | |
レッツゴー!! ライダーキック (1971/藤 浩一) | 少年隊 | 0分45秒 1コーラス | 2分32秒 3コーラス | |
キャンディ キャンディ (1976/堀江美都子) | 森高千里 中山美穂 西田ひかる | 0分53秒 Aメロ+サビ | 3分21秒 3コーラス | |
ウルトラセブンの歌 (1967/ジ・エコーズ) | チェッカーズ | 0分10秒 歌い出し | 2分7秒 3コーラス | |
ウルトラマンのうた (1966/みすず児童合唱団) | チェッカーズ | 0分27秒 1コーラス | 2分32秒 3コーラス | |
サインはV (1969/麻里圭子) | UCA国際チアリーダーズ | 0分45秒 Aメロ+サビ | 3分26秒 2コーラス | |
アタックNo.1のうた (1969/大杉久美子) | 森口博子 | 0分51秒 Aメロ+サビ | 2分55秒 2コーラス | |
ゆけゆけ飛雄馬 (1968/アンサンブル・ボッカ) | 鳥羽一郎 山川 豊 | 0分41秒 1コーラス | 2分32秒 3コーラス | |
ひょっこりひょうたん島のテーマ (1964/前川陽子) | 東京放送児童合唱団 | 0分59秒 1コーラス | 2分55秒 2コーラス | |
鉄腕アトム (1963/上高田少年合唱団) | コーナー参加者全員 | 1分0秒 1コーラス | 2分30秒 3コーラス |
各ステージ・補足
前回バラードのヒット曲で初出場の森口博子は、プリプリ奥居香が提供したアップテンポ曲「スピード」でトップバッター。早替えやアクション・ダンスありのステージを展開していました。1コーラス+間奏+サビ、サビは1番繰り返しのラストではなく2番の歌詞を歌う構成です。なおこの年彼女とこの後に登場するSMAPが出演した『夢がMORI MORI』がフジテレビで放送開始、「スピード」はその番組のテーマソングでした。
白組トップバッターはSMAPの「雪が降ってきた」。ヘッドセットマイク装着はこれ以前の紅白では誰もやっていない、初めての試みです。イントロや間奏はカット無し、ラストサビで同じメロディーを2回繰り返す部分は後半1回のみの歌唱でした。ステージはバスケットボールがテーマでメンバーはシュート連発。なお『夢がMORI MORI』で人気を博した企画はキックベースでした。
LINDBERGがブレイクしたのは2年前の「今すぐKiss Me」ですが、紅白出場はヒット3年目でオリコン週間1位を獲得した「恋をしようよYeah! Yeah!」。間奏をしっかり残す1コーラス半、シンプルなセットをバックにパワフルな生演奏のステージでした。その後1996年までは毎年ヒット曲を発表しましたが、紅白出場は意外にもこの年のみです。再結成時も出場は無しでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史)
小野正利はミリオンセラーになったドラマ主題歌「You’re the Only…」、美しいハイトーンボイスを惜しげもなく披露します。レコード大賞も最優秀新人賞を受賞しますが、間奏無しの1コーラス+サビはやや短い印象もあります。こちらも森口さん同様、2回目サビはラストでは無く2番の歌詞でした。
香西かおりはこの年演歌のトップバッターとして「花挽歌」を歌唱。演歌としてはかなり目新しさを感じるメロディー、作曲家・三木たかしのメロディーセンスの良さを感じさせる名曲です。ただ1コーラスが長いこともあって、歌唱は間奏無しの1コーラス+2番サビ+アウトロややカット。れっきとしたヒット曲ですが、その割に扱いはあまり良くないです。
山川豊はこの年6年ぶりの紅白復帰、同時に鳥羽一郎と揃って初の兄弟同時出演となりました。歌は好セールスを記録した聴かせる演歌「夜桜」、1番+2番の歌唱です。
この年前半のメイン企画は「テレビ40年 思い出の主役たち」、ここで約15分の時間を使います。まずは早々に王貞治(通算本塁打868本の世界記録)・大鵬幸喜(優勝32回は当時最多記録)という昭和の大スターが登場。司会者との話を繰り広げた後に、東京放送児童合唱団の合唱とマスゲーム形式の絵柄演出で次々とアニソンメドレーが展開されます。
ショッカーが出現して仮面ライダー、ここで歌う少年隊の錦織一清は「加山さん見てますか?」とナイスな一言(紅白名言集解説・81~仮面ライダー~)。人気アイドル3人の「キャンディキャンディ」を経て、7人組のチェッカーズは「ウルトラセブンの歌」の歌い出しの後に「ウルトラマンのうた」を披露。解散ステージを控えてるだけあって、このパートは観客席からの歓声がひときわ大きいです。
チアリーダーの本当に脚の形がVになるジャンプ披露を経て、森口博子が「アタックNo.1のうた」をソロで披露。例のセリフもありますが、ちょっとバラエティ色が抜けてないようにも見えます。鳥羽一郎と山川豊は兄弟で読売ジャイアンツのユニフォーム姿「ゆけゆけ飛雄馬」、長嶋監督と息子・一茂が翌年に入団しますが、移籍が決まったばかりの一茂の背番号は?でした。「ひょっこりひょうたん島」は歴代のNHK人形劇キャラクターが総登場、ひょっこりひょうたん島のキャラクターは意外にもこれが紅白初出演。ラストは全員集合で「鉄腕アトム」、この締め方は後年のショーコーナーでもお馴染みの演出となります。
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