歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第43回・1992年その3)

演奏時間&構成表 3(第43回・1992年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
21(白10)
白後半1
太陽のあいつ少年隊4分10秒
3コーラス
2分37秒
3コーラス(原曲)
22(紅10)
紅後半1
世界中の誰よりきっと中山美穂2分42秒
1コーラス+サビ
4分8秒
2コーラス+サビ
23(白11)
白後半2
替え唄メドレー
~紅白バージョン~
嘉門達夫4分13秒
23曲
補足欄参照
24(紅11)
紅後半2
こころ酒藤あや子2分38秒
2コーラス
4分15秒
3コーラス
25(白12)
白後半3
火の鳥美川憲一2分50秒
2コーラス
4分30秒
2コーラス+サビ
26(紅12)
紅後半3
私がオバさんになっても森高千里2分42秒
1コーラス+サビ
4分16秒
2コーラス+サビ
27(白13)
白後半4
冠 二郎2分30秒
2コーラス
4分20秒
3コーラス
28(紅13)
紅後半4
河内おとこ節中村美律子2分33秒
2コーラス
4分16秒
3コーラス
29(白14)
白後半5
もう涙はいらない鈴木雅之3分23秒
2コーラス+ラスト
4分55秒
2コーラス半
30(紅14)
紅後半5
生きてるって、素晴らしい西田ひかる2分48秒
1コーラス半
3分39秒
2コーラス半+サビ
31(白15)
白後半6
君のいる星中西圭三2分48秒
1コーラス+サビ
4分25秒
2コーラス+サビ
32(紅15)
紅後半6
サヨナラGAO3分11秒
1コーラス半
3分55秒
1コーラス半
33(白16)
白後半7
紅(KURENAI)X4分28秒
冒頭+0.5コーラス半
6分19秒
冒頭+1コーラス半
34(紅16)
紅後半7
晴れたらいいね
~紅白バージョン~
Dreams
Come True
4分27秒
2曲
決戦は金曜日1分34秒
1コーラス+サビ
4分44秒
2コーラス+サビ
晴れたらいいね2分52秒
2コーラス+サビ
3分17秒
2コーラス+サビ

各ステージ・補足

 少年隊は事務所の大先輩・ジャニーズの「太陽のあいつ」をミュージカル風にアレンジ。編曲はグループサウンズ風の原曲と全く異なる内容で、3番に至っては途中で切ってダンスを含む間奏が挿入されています。少年隊のパフォーマンス自体は素晴らしかったですが、特にこの曲をリアルに知っている世代は戸惑いの方が勝ったような気もします(テレビ披露が多い曲では決してないので尚更…)。

 中山美穂の「世界中の誰よりきっと」はこの当時ちょうど大ヒット中。WANDSのメンバーもゲストミュージシャンとして登場しますが、ボーカルの上杉昇でさえもソロショット一切無しという扱いでした。WANDSは年が変わってすぐ「もっと強く抱きしめたなら」が大ヒット、それ以降もミリオンセラー連発で1993年の顔となりますが、事務所の方針で春以降テレビ出演拒否。彼らだけでなくビーイング全体がそうだったので、翌年の紅白はヒット曲という点では人選に少し苦労する形となります。なおステージは間奏ありの1コーラス半アウトロ残しでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・中山美穂の軌跡

 嘉門達夫は「替え唄メドレー」「替え唄メドレー2」「替え唄メドレー3(完結篇)」「帰ってきた替え唄メドレー4」「デュエット替え唄メドレー」収録分をミックスした紅白バージョンでの披露。多くの出場歌手が舞台袖に集合、ネタにされた歌手がリアクションするという演出もありました。元歌は「函館の女(2)」「ジュリアに傷心(2)」「渚のはいから人魚(2)」「ハイティーン・ブギ(1)」「プレイバックPart 2(1)」「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ(1)」「なごり雪(4)」「神田川(1)」「クリスマス・イヴ(1)」「恋人はサンタクロース(1)」「FUNK FUJIYAMA(1)」「ひと夏の経験(4)」「およげ!たいやきくん(4)」「てんとう虫のサンバ(5)」「ドナドナ(5)」「こまっちゃうナ(5)」「グリーングリーン(5)」「三百六十五歩のマーチ(4)」「ブルー・ライト・ヨコハマ(3)」「涙のキッス(5)」「いい湯だな(2)」「SAY YES(4)」「蛍の光(4)」。曲名の横の括弧書きは、収録されている替え唄作品を指しています。

 藤あや子はこの年初出場ですが、曲紹介は司会と歌手2名のミニコントでそれらしい演出全く無しでした。それだけNHK出演が定着していたということかもしれません。J-POPの売上バブルで演歌のヒットが相対的に低下した1990年代中盤で、ヒットチャート上位に食い込む数少ない演歌歌手の1人でした。大ヒットした「こころ酒」の1番と3番を歌唱(アウトロやや短め)。

 関西では当時知らない人がいなかった河内家菊水丸が審査員を「新聞詠み」で紹介した後、桂三枝ボブ・アーノ(ラスベガスのエンターテイナー/スリの名人)が審査員を巻き込んでコントマジック。それなりに楽しめる時間帯でしたが、7分使うのは少し長いような気もします。

 美川憲一は歌以上にタレントとして大活躍、その甲斐もあって連続出場の紅白は過去曲ではなく新曲になりました。秋元康作詞・三木たかし作曲の「火の鳥」はポップス寄りの曲で、昭和40年代とは全く異なるテイストです。歌は2コーラス歌唱、テンポが原曲より若干速くなっていました。流石組メインのダンスに相当値段がすると思われる光り物と毛皮コートの衣装も、昭和とは全く異なる風景です。

 森高千里も初出場ですが、それらしい文言は曲紹介にありませんでした。「私がオバさんになっても」はイントロがシングルバージョン通り、ギター主体の編曲もシングルバージョン寄り。間奏はコーラスが入らないのでアルバム収録寄りと言っていいでしょうか。収録時間も元歌が4分51秒、シングル版が4分15秒なのでかなり異なります。

 冠二郎の歌唱曲は「炎」、前回の初出場「酒場」とは全く異なる曲調です。”アイ・アイ・アイ・ライク・演歌”と歌うメロディーは全く演歌に聴こえないですが、節回しと拳の動きは確かに演歌です。これは「ネオ演歌」と呼ばれていました。1番と2番の歌唱です。翌年も「ムサシ」が同じ路線で話題を呼びましたが、残念ながら落選。確かにヒットとしては当落線上でしたが、曲の個性を考えると勿体なさが残る選出だったような気がします。

 中村美律子はCD売上で言うと既に紅白出場でもおかしくない存在でしたが、3年前リリースの「河内おとこ節」でこの年ようやく初出場となりました。「炎」からインターバル全く無しの演奏開始、花柳糸之社中も入れ替わる形で2ステージ続けての出場です。後年に何度も紅白で歌われる曲ですが、初出場のステージはイントロとアウトロがカット気味でした。1番と2番の歌唱、今のところ3番は紅白で一度も歌われていません。

 鈴木雅之はドラマ主題歌がヒットして2年連続出場。ダンサーや照明など目立った演出無しで、「もう涙はいらない」を美しい歌声で熱唱します。2回目のAメロ後に間奏に入る原曲ですが、このステージはそこから最後のサビパートに飛びました。翌年以降も「恋人」「違う、そうじゃない」と連続でヒットしますがなぜか紅白は選出されず、ソロでの出場は28年後のことになります。

 西田ひかるは一輪車にチアリーダー、アクロバティックなダンサーが後ろで盛り上がります。ラストは本人もチアリーダーに混じって、アクロバティックな演舞に参加しました。「生きてるって素晴らしい」は自身が司会を務めたNHKの番組『西田ひかるの痛快人間伝』テーマソング、1コーラス歌った後の間奏はリフトの演技のため原曲より長くなっています。

 タンバリン(白組)と御諏訪太鼓(紅組)の応援合戦を挟んで、続いては中西圭三の「君のいる星」。ヒットしたのは「Woman」「Ticket To Paradise」ですが、背景にはNHKの『救え!かけがえのない地球』テーマソングというタイアップがありました。

 GAOの「サヨナラ」は小野正利と同様ドラマ主題歌で大ブレイク、そのまま紅白にも初出場となりました。3分ほどで1コーラス半を歌い終える構成、最後ラララ…の大半はカットでしたがそこまでは完全フルコーラスです。なおアルバム『Roi Roi』収録版は、サビ前に2番のAメロ~Bメロが付加されています。

 紅白歌合戦で仮装大賞を開催するという、昭和ではあり得ない応援コーナーが繰り広げられます。これは次のステージのための準備時間が充てられる形、新メンバーHEATHを加えたXの「紅(KURENAI)」です。この当時既にグループ名はX JAPANになっていましたが、紅白でのテロップはXのみの表記でした。構成は冒頭の英語詞フル、Aメロ~Bメロは前半部のみで間奏に移行、後半Bメロ以降の歌唱部分はカット無し。1989年メジャーデビュー曲の歌唱でしたが、この年は新曲リリースどころではない様々な動きがあった年でした。

 Dreams Come Trueは11月リリースのアルバム『The Swinging Star』が当時の日本記録を塗り替える売上を記録。「晴れたらいいね」は紅組司会・石田ひかりが主演を務める連続テレビ小説『ひらり』主題歌ですが、これだけだとフルコーラス3分20秒なのでやや短め。そのため同年に大ヒットした「決戦は金曜日」も加わる超豪華ステージになった、と推測します。「決戦は金曜日」は2番から入ってラストサビ1回目・3回目に至るアレンジ、「晴れたらいいね」はフェイドアウトのアウトロ以外完全フルコーラス。もちろんサポートの面々も勢ぞろい、バンド勢では紅白史上初めて和服で揃えた衣装にも力を入れている、平成の紅白史上に残る名ステージでした。

 

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