明日2月4日から、北京冬季オリンピック・パラリンピックが始まります。全く盛り上がってない印象もありますが、とりあえず明日午後9時から開会式が始まります。
前回の紅白は東京オリパラ開催年の割にそういった演出が少なかった印象ですが、意外と前回の自国開催・1998年の長野もそこまでピックアップはされていません。とは言え、中継テーマソングやアスリートのゲスト出演など、毎回何かしらの形で関わりがあることは確かです。というわけで今回は、歴代の紅白歌合戦と冬季オリパラの関連性についてまとめてみました。(以上、前文は2022年2月3日に執筆)
1972・札幌
確認できる限り、紅白歌合戦で冬季オリンピックの話題が登場したのは札幌五輪の前年、1971年に放送された第22回が初めてです。
該当部分は映像不良で、NHKの施設にある公開ライブラリーでも見ることが出来ませんが、2024年12月に4Kリマスター版再放送でようやく確認することが出来ました。その規模は、翌年に東京五輪を迎えた第14回(1963年)と比べても大きめです。
自衛隊航空音楽隊によるオリンピック・ファンファーレの演奏から、京華学園女子部鼓隊による吹奏楽隊演奏にバトントワリングもステージを彩ります。その後に続けざまで白組からダーク・ダックスが登場、「白銀は招くよ」「白い恋人たち」の2曲をメドレーで披露。どちらもヨーロッパの映画音楽で、「白銀は招くよ」は1959年公開西ドイツ映画の劇中音楽。「白い恋人たち」は前回1968年、フランスで開催されたグルノーブルオリンピック記録映画の主題歌でした。
紅組はトワ・エ・モワが札幌五輪公式テーマソングの「虹と雪のバラード」を歌唱。その前に札幌の選手村からの中継、東京宝塚劇場(当時の会場)に来場したコンパニオンとのやり取りがありました。レコードの発売は1971年8月、『みんなのうた』では1971年2月~3月放送曲でおそらく既に日本中に定着している状況だったと思われますが、オリコンチャート的には札幌五輪開催中の1972年2月が売上のピークだったらしいです。ステージはテンポ速め、スクールメイツの踊りあり。その代わりに最後の繰り返しも含めたフルコーラス構成でした。
なお翌年第23回の紅白では、同年開催のミュンヘン含めて五輪に関する言及は一切無しでした。上記2組も同年の紅白歌合戦には出演していません。
1992・アルベールビル
昭和の紅白は自国開催の東京・札幌を除くとあまり五輪に関する言及はありません。代表選手の出演も、1984年・ロサンゼルス五輪のバレーボール選手・江上由美の特別審査員選出が初でした。
冬季五輪の日本選手団は当時札幌で金銀銅1枚ずつ獲得した後はメダル1枚がやっとで、話題にしたくても出来ないような状況でしたが、この年のアルベールビルは金1銀2銅4のメダル獲得。おおいに盛り上がる内容でした。
一番大きく取り扱われたのは、五輪フィギュアスケート初の日本人メダリストとなった伊藤みどり選手。特別審査員として、着物姿での出演でした。紅組司会・石田ひかりが紅組の芸術点について、「そうですね、6.0満点です」と答える場面もありました。
1998・長野
1994年リレハンメルオリンピックの話題は、紅白に関して言うと特にありません。その次に多かったのは、やはり自国開催の長野でした。
第48回(1997年)では長野五輪開催に際した企画ステージが作られています。SMAPの5人がプレゼンターとして登場、MAXがアイスホッケー選手、SPEEDがカーリング選手の格好になってパフォーマンス、さらに大勢の子どもたちや当時10代前半の三倉茉奈・佳奈、前田愛・亜季、鈴木杏が登場して「WAになっておどろう」をみんなで歌うという内容でした。公式マスコットのスノーレッツも登場しています。
翌年の開会式で聖火台に火を灯す伊藤みどりが5年ぶりに特別審査員。大会テーマソング「明日こそ、子供たちが…」を歌う森山良子が6年ぶりに紅白復帰。また五木ひろしはこれに合わせて自身初となる過去曲「千曲川」を大トリで選曲する形になりました。
なお長野五輪では金メダル5枚・合計で10枚メダルを獲得。第49回ではスピードスケート金メダリスト・清水宏保が特別審査員、またドイツで調整中のスキージャンプ・原田雅彦が衛星中継で出演しています。
2006・トリノ
2002年のソルトレークシティ大会はメダル獲得2枚のみで金は無し、紅白では第52回の応援で僅かに取り上げられたのみでした(詳しくは紅白名言集解説70~紅白史に残る大惨事~参照)。第53回ではNHK杯で優勝したばかりの恩田美栄選手が特別審査員を務めましたが、五輪は17位止まりです。
トリノ五輪もメダル獲得は1枚でしたが、その1枚はフィギュアスケート日本人初となる荒川静香選手の金メダルでした。また1992年以降制定されながらも全く紅白で見られる機会がなかったNHK中継テーマソングもようやく初披露、平原綾香が「誓い」を情感たっぷりに歌っています。荒川選手は同ステージの応援ゲストとして登場、ステージ脇で平原さんの歌唱を見守っていました。
2010・バンクーバー
大会での金メダル獲得はありませんでしたが、フィギュア男子で初のメダリストになった髙橋大輔選手が第61回(2010年)のゲスト審査員を務めています。中継テーマソングはL’Arc~en~Cielの「BLESS」で、10年ぶりの紅白復帰となりました(本編レビューはこちら)。
なお前回トリノで間奏に挿入された映像は荒川選手の演技のみでしたが、この年は髙橋選手だけでなく浅田真央選手や上村愛子選手など他の日本代表選手の映像も初めて挿入されました。
2014・ソチ
この年の中継テーマソングは開催前年の第64回(2013年)歌唱でした。前半大トリでコブクロが「今、咲き誇る花たちよ」を歌ってます。なお翌年の紅白はなぜか不出場でした(本編レビューはこちら)。
オリンピックでは羽生結弦選手が金メダルを獲得しましたが、体調不良による入院のため紅白歌合戦には出演していません。ただ德永英明がこの年「花は咲く」を歌唱。東北にゆかりのある選手ということもあって映像紹介あり、番組にメッセージも寄せられました(本編レビューはこちらです)。なお羽生選手は翌年第66回(2015年)に、あらためてゲスト審査員として出演しています。
2018年・平昌
SEKAI NO OWARIが中継テーマソング「サザンカ」を歌唱。なお番組後半で冬季五輪に直接関連する曲を歌ったのは意外にもこれが初めて(本編レビューはこちら)。スピードスケートが金メダルを獲得した小平奈緒選手がゲスト審査員、また曲前の映像ではスキージャンプ銅メダリストの高梨沙羅選手も登場します。
また女子カーリング・チーム「ロコ・ソラーレ」もこの種目初のメダル獲得で話題になりました。5人揃って天童よしみ「ソーラン祭り節2018~どさんこver.~」のステージに参加(本編レビューはこちら)、本橋さんを除く4人はゲスト審査員の出川哲朗と一緒に4K8K宣伝でコミカルなやり取りも見せています(その時の様子はこちら)。
2022年・北京
この回からはオリパラ単位ではなくウィンタースポーツ全体を包括する形になりました。第72回・前回の紅白で既にmiletが「Fly High」を歌っています(本編レビューはこちら)。第73回でも2年連続歌唱、これは冬季スポーツタイアップ曲で初の事例となりました。
スピードスケートの高木美帆選手が4枚の金銀メダル獲得、カーリング女子で日本初の銀メダル獲得などトピックは多かったですが、ゲスト審査員は男子4位・プロアスリートに転向した羽生結弦選手のみとなっています。
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