紅白歌合戦・青江三奈の軌跡~データ&エピソード編~

 「ブルースの女王」「演歌の女王」「ご当地ソングの女王」、青江三奈の二つ名は思いつく限りでこれだけあります。今回は18回出場した青江さんの紅白史を記事にします。

 第19回(1968年)~第34回(1983年)まで16年連続出場、昭和の紅白歌合戦には欠かせない歌手でした。数字的な大ヒットは1966年~1970年までであまり長くないですが、絶大な存在感と歌唱力で長い人気を築き上げます。

青江三奈の紅白歌合戦エピソード

ヒット曲のある部分が紅白で放送禁止となる

 デビュー曲「恍惚のブルース」からいきなり大ヒットで紅白初出場しますが、翌年はあまりヒットせず落選。勝負をかけて1968年、1月5日にリリースされたのがかの有名な「伊勢佐木町ブルース」でした。

 これまでの歌謡曲では考えられないため息連発の歌い出しが、話題を呼んで大ヒット。めでたく紅白歌合戦にも2年ぶり復帰となりましたが、立ちはだかったのが当時のNHKのお固い方針。グループサウンズの長髪さえNGという状況下、色気のあり過ぎるため息は刺激が強すぎるようでした。結果としてため息はカズーの演奏に差し替え、曲本来の魅力は当然ながら半減どころではありませんでした。これについては一度紅白名言集解説・71~ため息がNHKで放送できなかった時代~でネタにしているので、詳しくはそちらを参照してください。

 

トリ候補も美空ひばりに及ばず…

 「伊勢佐木町ブルース」以降も「長崎ブルース」「新宿サタデー・ナイト」とヒット曲連発、1969年発表の「池袋の夜」はオリコン週間1位・ミリオンセラーを記録します。第20回(1969年)紅白でも勿論歌唱、全体のトップバッターという曲順でした。

 この年はトリに若手を大抜擢する予定で、実際白組は当時出場2回目、「港町ブルース」が大ヒットした森進一で決まりました。紅組も元々は「池袋の夜」で青江さんトリ、トップバッターを「禁じられた恋」の森山良子で考えていたと言われています。

 ところがこの時期は美空ひばりの力が絶大、前年まで2年連続大トリ、紅組トリは6年連続という状況でした。ベテランを過去曲主体で固めた選曲、ひばりさんにも前半トリで「悲しい酒」を歌ってもらう予定だったそうですが、これを断ります。その年発売の曲以外は紅白で歌わないという条件を出したそうで、結果紅組トリは例年通りひばり嬢が担当。「別れてもありがとう」を颯爽と決めています。

 翌年も青江さんは「国際線待合室」が大ヒット、紅組トリ前の曲順に抜擢となります。この年は紅組司会がひばりさん、というわけで大トリも自然に任せられる形。その後は青江さんの方にヒット曲が出なくなったことで、残念ながら紅白のトリで歌う機会は訪れませんでした。

 

きらびやかなファッションで魅せる

 青江さんの歌のジャンルは演歌ですが、紅白歌合戦のステージで着物姿になったことは一度もありません。ステージ以外でも確認できるのは第20回のエンディングのみ、応援シーンを除くと和装姿になることはほぼありませんでした。

 スパンコールが光るドレスを多く着用、髪は黒ではなく茶色~ゴールド。1960年代~1970年代当時では誰も真似しないようなファッションで、華がありました。

 

青江三奈の紅白データ~18回分のまとめ

出場回
年齢
歌唱曲 作詞者
作曲者
発売日 曲順 主なデータ 主な受賞 他の発売曲
第17回
(1966年)
25歳
恍惚のブルース 川内康範
浜口庫之助
1966/6/21 紅9/25 ・ブルー・ブルース
第19回
(1968年)
27歳
伊勢佐木町ブルース 川内康範
鈴木庸一
1968/1/5 紅14/23 1968年オリコン年間11位 ・日本レコード大賞歌唱賞 ・札幌ブルース
・新宿サタデー・ナイト
第20回
(1969年)
28歳
池袋の夜 吉川静夫
渡久地政信
1969/7/1 トップバッター 1969年オリコン年間7位
1970年同30位
・日本レコード大賞歌唱賞 ・あなたに泣いた
・女だから
第21回
(1970年)
29歳
国際線待合室 千坊さかえ
花 礼二
1969/12/25 紅組トリ前 1970年オリコン年間16位 ・日本有線大賞優秀賞 ・夜がわたしを誘惑するように
・夜の瀬戸内
・昭和おんなブルース
第22回
(1971年)
30歳
長崎未練 吉川静夫
渡久地政信
1971/6/5 紅7/25 オリコン週間最高48位 ・日本作詩大賞作品賞 ・白夜
・みなと・恋唄
第23回
(1972年)
31歳
日本列島・みなと町 吉川静夫
渡久地政信
1972/10/5 紅組トリ2つ前 オリコン週間最高39位 ・全日本有線放送大賞特別賞 ・木屋町の女
第24回
(1973年)
32歳
長崎ブルース 吉川静夫
渡久地政信
1968/7/5 紅18/22 1969年オリコン年間10位 ・日本レコード大賞歌唱賞
・日本歌謡大賞放送音楽賞
・旅路にひとり
・女の夢
第25回
(1974年)
33歳
銀座ブルー・ナイト 橋本 淳
吉田 正
1974/9/15 紅22/25 オリコン週間最高87位 ・日本有線大賞グランプリ
・日本レコード大賞歌唱賞
・日本歌謡大賞放送音楽賞
・私のスター
第26回
(1975年)
34歳
神戸北ホテル 橋本 淳
吉田 正
1975/1/25 紅12/24 ・日本歌謡大賞放送音楽賞 ・おんな酔い
第27回
(1976年)
35歳
女から男への手紙 荒木あい子
井上忠夫
1976/10/25 紅組トリ2つ前 ・日本レコード大賞最優秀歌唱賞
・日本歌謡大賞放送音楽賞
・霧の港、神戸
・小樽の灯
出場回
年齢
歌唱曲 作詞者
作曲者
発売日 曲順 主なデータ 主な受賞 他の発売曲
第28回
(1977年)
36歳
みなとブルース たかたかし
花 礼二
1977/9/5 紅17/24 ・片恋い倶楽部
第29回
(1978年)
37歳
ふられぐせ 千家和也
千葉 毅
1978/4/25 紅17/24 ・雪降る札幌
第30回
(1979年)
38歳
盛岡ブルース つのかけ芳克
つのかけ芳克
1979/9/5 紅組トリ2つ前 ・NHKあなたのメロディー年間最優秀曲賞 ・ゆきずり
第31回
(1980年)
39歳
酔心 千家和也
千葉 毅
1980/6/21 紅組トリ2つ前
第32回
(1981年)
40歳
あなたにゆられて 北川文化
森田公一
1981/5/21 紅15/22
第33回
(1982年)
41歳
伊勢佐木町ブルース 川内康範
鈴木庸一
(2回目) 紅10/22 ・横浜みれん坂
・夢灯り
第34回
(1983年)
42歳
大阪ブルース 水木かおる
鈴木邦彦
1983/11/21 紅15/21 ・新地ワルツ
第41回
(1990年)
49歳
恍惚のブルース 川内康範
浜口庫之助
(2回目) 紅後半5/20 ・ベイブリッジ・ブルース
・HONMOKUブルース

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