歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第44回・1993年その5)

演奏時間&構成表 5(第44回・1993年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
43(紅21)
紅後半13
約束 小林幸子 3分25秒
1コーラス
4分0秒
1コーラス
44(白21)
白後半13
あれから 小林 旭 3分28秒
2コーラス+サビ
3分55秒
2コーラス+サビ
45(紅22)
紅後半14
むらさき雨情 藤あや子 3分2秒
2コーラス
5分1秒
3コーラス
46(白22)
白後半14
主人公 さだまさし 5分9秒
2コーラス+サビ
5分0秒
2コーラス+サビ
47(紅23)
紅後半15
恋は火の舞 剣の舞 坂本冬美 2分40秒
1コーラス+サビ
4分59秒
2コーラス+サビ
48(白23)
白後半15
べにばな 五木ひろし 2分47秒
2コーラス
4分15秒
3コーラス
49(紅24)
紅後半16
星空の孤独 和田アキ子 4分14秒
1コーラス半
3分26秒
1コーラス半
50(白24)
白後半16
階-きざはし- 谷村新司 4分31秒
2コーラス+サビ
5分13秒
2コーラス+サビ
51(紅25)
紅後半17
おんなの海峡 都はるみ 2分58秒
2コーラス
4分31秒
3コーラス
52(白25)
白後半17
さらば友よ 森 進一 3分23秒
2コーラス+サビ
4分49秒
3コーラス
53(紅26)
紅後半18
津軽海峡・冬景色 石川さゆり 3分21秒
2コーラス+サビ
3分45秒
2コーラス+サビ
54(白26)
白後半18
まつり 北島三郎 3分53秒
2コーラス+サビ
4分26秒
2コーラス+サビ

各ステージ・補足

 祈願の儀式と称して谷啓主導のもと、観客全員でガチョーンを披露した所で森口博子が紅組初出場歌手をバスガイドのように案内。すっかり観光名物となった小林幸子は、遠目から見ると顔がどこにあるか分からない超巨大衣装で会場をどよめかせます。さだまさし提供の「約束」はAメロ2回+Bメロ+サビの1コーラス構成、歌詞に関して言うとフルコーラスでした。原曲と比較すると冒頭はかなり大仰な演奏、アウトロも同様。いよいよド派手な演出に演奏の方が合わせにいくという、本末転倒な事態になり始めました。

 2年連続出場となった小林旭は、この年発表の新曲「あれから」を歌唱。暗い照明の中でスポットライトが当たる演出、曲も含めて派手さとは全くもって無縁のステージです。ただこちらも2コーラス半、しっかりフルコーラス歌唱でした。間奏が無いのは原曲と同様、アウトロの短縮以外は特にカットもされていません。

 藤あや子は2回目の出場で早くも終盤の曲順、「むらさき雨情」はこの年の演歌でもっともCDを売り上げた作品でした。1番と2番の2コーラス歌唱。

 さだまさしは1978年発表、自身の曲でもトップクラスの人気を誇る「主人公」を歌います。『私花集』とは異なるアレンジで弦楽器の音がメイン、イントロは原曲より10秒長くなっています。それが最終的な演奏時間にも反映され、堂々の原曲超えという形になりました。

 坂本冬美はちょうど放送中の大河ドラマ『炎立つ』イメージソングとしてリリースされた「恋は火の舞 剣の舞」。堀内孝雄が作曲家として提供した新境地開拓ソングですが、師匠の猪俣公章逝去が大きく影響している形であることもまた事実です。1コーラスが長いこともあって、間奏ほとんど無しの1コーラス半。少し割を食う形になっているような印象もありました。

 五木ひろしは自身が得意とする歌謡曲調の「べにばな」。1番と2番の歌唱、実に安定した内容でした。アウトロが原曲より若干大仰になっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・五木ひろしの軌跡

 和田アキ子はデビュー曲「星空の孤独」、当時バラエティ番組でも活躍していた中島啓江森公美子をコーラスに迎えてのステージです。遠目から見るとアッコさんが小さく見える、珍しい構図でした。冒頭にジャズフィーリングのアレンジが加わり、テンポも若干ゆったり気味。間奏のメロディーも大幅変更でコーラスのソロパート化、もちろん歌はフルコーラス。結果、原曲を大幅に上回る演奏時間になりました。

 谷村新司はこの年前半に放送された大河ドラマ『琉球の風』主題歌の「階-きざはし-」を歌唱。例のごとくフルコーラスです。歌以外もアウトロがカットされる程度で、ほとんど原曲そのままでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・谷村新司の軌跡

 55歳という若さで亡くなった作曲家・猪俣公章、トリ前は彼が残した名曲対決です。彼があと15年長く生きていれば、おそらく演歌の衰退はもう少し遅くなったのではないかと思いますが…。都はるみは「おんなの海峡」を紅白で21年ぶりに歌唱。1番と3番を歌うのは同様ですが、歌以外の部分の長さやアクションは当時と大きく異なっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・都はるみの軌跡

 森進一は1974年のヒット曲「さらば友よ」、同じ年に「襟裳岬」が大ヒットしたため紅白ではようやくの初歌唱になりました。1番と3番、さらにもう1回追加したサビで”さらば”のフレーズを3回連呼。デビュー期から関係の深い猪俣氏に捧ぐ、魂のステージでした。

 石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」は通算3回目の歌唱、紅組トリの曲順もこれが3回目でした。イントロからラストまでフルコーラス、フェイドアウトのアウトロはトリ豪華仕様に完全差し替えとなっています。

 2年連続大トリの北島三郎ですが、「まつり」の大トリはこの年が初めてでした。おそらくは1965年・第16回の橋幸夫以来となる賑やかなトリのステージ、「まつり」が有名になったのは1984年の発表当時よりこの時の紅白ではないかとも感じます。完全フルコーラス、と言いたい所ですがアウトロのメロディーは原曲と少し違いがありました。また全体的にテンポは原曲より速め、演奏時間は9年前の紅白とほぼ同じです。

第44回(1993年)・まとめ

演奏時間ランキング(企画コーナーは除外)

順位 曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
1 46(白22)
白後半14
主人公 さだまさし 5分9秒
2 2(白1)
白前半1
Tears X JAPAN 4分31秒
2 50(白24)
白後半16
階-きざはし- 谷村新司 4分31秒
4 30(白14)
白後半6
服部良一メドレー
~紅白バージョン~
少年隊 4分24秒
5 40(白19)
白後半11
島唄 THE BOOM 4分14秒
5 49(紅24)
紅後半16
星空の孤独 和田アキ子 4分14秒
7 19(紅9)
紅後半1
go for it! Dreams
Come True
3分54秒
8 54(白26)
白後半18
まつり 北島三郎 3分53秒
9 21(紅10)
紅後半2
サルサに国境はない オルケスタ・
デ・ラ・ルス
3分48秒
10 15(白7)
白前半7
南こうせつ 3分41秒
10 42(白20)
白後半12
TRUE LOVE 藤井フミヤ 3分41秒
43 47(紅23)
紅後半15
恋は火の舞 剣の舞 坂本冬美 2分40秒
44 38(白18)
白後半10
影法師 堀内孝雄 2分39秒
45 22(白10)
白後半2
うたかたの夢 美川憲一 2分37秒
45 20(白9)
白後半1
別れ曲でも歌って 前川 清 2分37秒
47 39(紅19)
紅後半11
島田のブンブン 中村美律子 2分34秒
48 7(紅4)
紅前半4
酒きずな 天童よしみ 2分33秒
49 12(紅6)
紅前半6
もう一度逢いたい 八代亜紀 2分28秒
50 37(紅18)
紅後半10
アモーレ~はげしく愛して~ ケー・ウンスク 2分28秒
51 8(白4)
白前半4
心凍らせて 高山 厳 2分21秒
52 13(白6)
白前半6
男の港 鳥羽一郎 2分18秒

 この年は際立ったステージが多くないので、演奏時間ランキングは接戦です。唯一の5分台はさだまさし、その次のX JAPAN谷村新司少年隊は前年もランクインしています。そういう意味ではTHE BOOMオルケスタ・デ・ラ・ルスの健闘が目立ちます。短い方は鳥羽一郎が2年連続で最短、演歌勢が十傑を占める形になりました。全ステージ平均は第1部が3分2秒、第2部が3分16秒、52ステージの平均は3分11秒。第1部の平均が16秒長くなったことで、全体平均も5秒長くなる結果になりました。

複数曲歌唱のステージ

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
曲数
30(白14)
白後半6
東京ブギウギ
胸の振子
三味線ブギ
少年隊 4分24秒
3曲

 この年のメドレーは服部良一追悼の少年隊のみでした。

過去曲/カバー曲のステージ(新曲が含まれるメドレー除外)

曲順 楽曲 アーティスト 発表年 演奏時間
構成
12(紅6)
紅前半6
もう一度逢いたい 八代亜紀 1976年
17年ぶり2回目
2分28秒
3コーラス
13(白6)
白前半6
男の港 鳥羽一郎 1986年
5年ぶり2回目
2分18秒
2コーラス
14(紅7)
紅前半7
月の沙漠 由紀さおり・
安田祥子
1923年 3分11秒
2コーラス+ラスト
15(白7)
白前半7
南こうせつ 1974年
(かぐや姫)
3分41秒
4コーラス
16(紅8)
紅前半8
ブルー・ライト・ヨコハマ いしだあゆみ 1968年
20年ぶり3回目
2分58秒
1コーラス半
17(白8)
白前半8
くちなしの花 渡 哲也 1973年
19年ぶり2回目
3分28秒
3コーラス
30(白14)
白後半6
服部良一メドレー
~紅白バージョン~
少年隊 1947年~
1949年
4分24秒
3曲
31(紅15)
紅後半7
かもめはかもめ 研ナオコ 1978年
15年ぶり2回目
2分59秒
1コーラス半
32(白15)
白後半7
贈る言葉 海援隊 1979年
13年ぶり2回目
2分53秒
1コーラス半
33(紅16)
紅後半8
女の港 大月みやこ 1983年
7年ぶり2回目
2分48秒
2コーラス
34(白16)
白後半8
酒よ 吉 幾三 1988年
5年ぶり2回目
2分50秒
2コーラス半
46(白22)
白後半14
主人公 さだまさし 1978年
5分9秒
2コーラス+サビ
49(紅24)
紅後半16
星空の孤独 和田アキ子 1968年 4分14秒
1コーラス半
51(紅25)
紅後半17
おんなの海峡 都はるみ 1972年
21年ぶり2回目
2分59秒
1コーラス半
52(白25)
白後半17
さらば友よ 森 進一 1974年 2分53秒
1コーラス半
53(紅26)
紅後半18
津軽海峡・冬景色 石川さゆり 1976年
11年ぶり3回目
2分48秒
2コーラス
54(白26)
白後半18
まつり 北島三郎 1984年
9年ぶり2回目
3分53秒
2コーラス+サビ

 52ステージ中過去曲オンリーは17。前回より2つ減りました。1960年代の曲が多かった前回ですが、この年は1970年代がメインです。

フルコーラス歌唱(間奏・アウトロ・フェイドアウトは除く)

 

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
3(紅2)
紅前半2
涙 止まらない 西田ひかる 2分45秒
2コーラス半
2分59秒
2コーラス半
12(紅6)
紅前半6
もう一度逢いたい 八代亜紀
2分28秒
3コーラス
3分1秒
3コーラス
15(白7)
白前半7
南こうせつ 3分41秒
4コーラス
4分13秒
4コーラス
16(紅8)
紅前半8
ブルー・ライト・ヨコハマ いしだあゆみ
2分58秒
1コーラス半
3分4秒
1コーラス半
17(白8)
白前半8
くちなしの花 渡 哲也 3分28秒
3コーラス
3分33秒
3コーラス
19(紅9)
紅後半1
go for it! Dreams
Come True

3分54秒
冒頭+2コーラス半
4分19秒
冒頭+2コーラス半
40(白19)
白後半11
島唄 THE BOOM 4分14秒
2コーラス半
5分4秒
2コーラス半
42(白20)
白後半12
TRUE LOVE 藤井フミヤ 3分41秒
2コーラス
3分50秒
2コーラス
43(紅21)
紅後半13
約束 小林幸子 3分25秒
1コーラス
4分0秒
1コーラス
44(白21)
白後半13
あれから 小林 旭 3分28秒
2コーラス+サビ
3分55秒
2コーラス+サビ
46(白22)
白後半14
主人公 さだまさし 5分9秒
2コーラス+サビ
5分0秒
2コーラス+サビ
49(紅24)
紅後半16
星空の孤独 和田アキ子 4分14秒
1コーラス半
3分26秒
1コーラス半
50(白24)
白後半16
階-きざはし- 谷村新司 4分31秒
2コーラス+サビ
5分13秒
2コーラス+サビ
53(紅26)
紅後半18
津軽海峡・冬景色 石川さゆり 3分21秒
2コーラス+サビ
3分45秒
2コーラス+サビ
54(白26)
白後半18
まつり 北島三郎 3分53秒
2コーラス+サビ
4分26秒
2コーラス+サビ

 フルコーラスは15ステージ、前回より3つ増えました。ここ3年と比べて盛り上がりに欠ける印象もあったこの年の紅白歌合戦ですが、フルコーラスや演奏時間に関しては改善されたと言えるのではないでしょうか。

 

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