紅白名言集解説・76~三人娘の歴史~


 1990年代の紅白歌合戦。小林幸子さんと美川憲一さんの衣装対決など分かりやすい名物もありますが、曲紹介に絡む由紀さおりも隠れた名物の一つ。ドリフのコントなどで鍛えられた軽妙かつ流暢で小気味良くわざとらしい喋りは、視聴者と周りの人物を毎年独特の空間に巻き込んでいました。

曲紹介全文

 今回紹介するのは、当時3年ぶりの出場となった1992年・第43回の場面。本当はTwitterでも全文入れたいところでしたが、あいにく128文字制限があるので、上の呟きのみでは全容を伝えることが出来ません。というわけで、ここで全文を掲載します。曲順は前半、南こうせつの「神田川」の後に、紅組5番手のMi-Keが「涙のバケーション」を歌う直前でした。

石田「皆さん紹介いたします。三人娘研究家の、由紀さおりさんです」

由紀「どうぞよろしくお願い致します。えー、早速でございますけれども。最初の三人娘は、昭和三十年の元祖三人娘。ひばりさんチエミさんいづみさんです。続きましてスパーク3人娘、伊東ゆかりさん中尾ミエさん園まりさん。やがて、百恵さんたちの中3トリオ、そしてラン・スー・ミキの、キャンディーズでございますね」

石田「その中で最も熱心に研究なさったのは?」

由紀「もちろん、♪うちら陽気なかしまし娘~でございまして…(笑)」

石田「貴重な研究をどうもありがとうございました」
由紀「どうも失礼こきました」(会場なかなかのウケ、由紀さん思わず右頬に手を当てる)

Mi-Ke「涙のバケーション」に隠された珍記録

 さてステージは前年の「想い出の九十九里浜」に続く2年連続出場のMi-Ke。CD売上的に前年ほど大ヒットではなかったですが、テレビ出演は多め。そして何と言っても、NHKでは火曜8時放送の『NHKヒットステージ』アシスタント。1992年4月から1年間の放送でしたが、紅白出場に関して言うとこれが一番大きくモノを言った形になります。また当時は1970年代から現在に至るまで最も女性アイドルが売れなかった時期で、テレビの歌番組的に重宝されていた一面もあったように思います。

 60’s~70’s楽曲をインスパイアしたコミカルで憶えやすい楽曲は、CD売上を超えたインパクトを残しました。私も子どもながらに大好きでした。1992年の楽曲だと「悲しきテディ・ボーイ」「サーフィン・JAPAN」「Pink Christmas」…。そんな中で歌唱曲に選ばれたのは「涙のバケーション」でした。

 前述した『NHKヒットステージ』テーマソングだったから選曲された、と容易に想像はできますが、公式発売日はなんと1992年12月31日。店頭にはおそらくその前の日から並んでいただろうとは思いますが…。この時期の発売日は通常なら大半が新年の1月1日に集約されるので、データ的には「紅白披露日に発売開始となった唯一の楽曲」として残っています。もっともCD発売が一般的でなくなりつつある現在、大晦日配信の紅白歌唱曲が今後生まれる可能性はそんなに低くはないとも思いますが、とりあえずは今の所こんな状況です。

 大人になってから聴いてあらためて思ったのは、やはりメインボーカル・宇徳敬子さんの歌の上手さ。ルックスもそうですが、それ以上に厚みのある歌声が非常に美しいです。翌年グループ解散でソロ転向、「あなたの夢の中 そっと忍び込みたい」「まぶしい人」などがヒットします。ただシングル曲はスローな曲中心で、Mi-Ke時代のようなアップテンポはほとんど聴けなくなりました。そこが個人的には、今更ながら少し勿体なかったような…。

紅白出場した歴代3人娘

 せっかく3人娘を由紀さんが紹介しているので、最後にもっと詳しい表を以下のような形で作りました。女性3人グループだけでなく、それ以外にもまとめに入れて良さそうなものを入れてます。ちなみにかしまし娘は、連続テレビ小説の応援で歌江師匠と照枝師匠は1回ずつ出演していますが、ユニットとしては一度も紅白に出演していません。

出場歌手該当回備考
美空ひばり
江利チエミ
雪村いづみ
第5回(1954年)
第8回(1957年)~第10回(1959年)
第12回(1961年)
第14回(1963年)~第16回(1965年)
元祖3人娘、それぞれソロ名義で出演
第16回の応援で3人揃ってやり取りする場面あり(江利チエミが他の2人の声マネを披露)
水谷良重
東郷たまみ
沢たまき
第9回(1958年)ダーク・ダックスの対戦相手として結成された即席ユニット
3人で「アレキサンダーズ・ラグタイム・バンド」を歌唱
宝とも子
有明ユリ
藤崎世津子
第10回(1959年)ダーク・ダックスの対戦相手として結成された即席ユニット
3人で「シエリト・リンド」を歌唱
スリー・グレイセス
第13回(1962年)
第14回(1963年)
史上初の女性3人グループによる紅白出場
洋楽カバーを歌う
トリオこいさんず
第13回(1962年)
第14回(1963年)
史上初の女性3人グループによる紅白出場
関西由来のコミカルな曲を歌う
中尾ミエ
伊東ゆかり
園 まり
第14回(1963年)~第19回(1968年)通称:スパーク3人娘、ハイハイ3人娘
第14回・第15回は3人で1ステージを担当する
中尾ミエは第13回にソロで初出場
小柳ルミ子
南 沙織
天地真理
第23回(1972年)~第25回(1974年)通称:新三人娘
第23回・南沙織「純潔」のステージで小柳ルミ子、天地真理がバックで踊る(「紅白名言集解説・47」参照
山口百恵
森 昌子
桜田淳子
第25回(1974年)~第30回(1979年)通称:花の○○トリオ(第25回時点では高1トリオ)
ほぼ毎年、3人一緒に映る場面が用意される
キャンディーズ第26回(1975年)~第28回(1977年)第23回(1972年)にもダンサーで出演
シュガー第33回(1982年)女性のみが演奏するグループの紅白出場は彼女たちが初
EVE第41回(1990年)海外でも活躍するコーラスグループ
Mi-Ke第42回(1991年)
第43回(1992年)
プッチモニ第50回(1999年)モーニング娘。として出場
伍代夏子の曲紹介で「ちょこっとLOVE」を一節披露
Perfume第59回(2008年)~現在14年連続出場中
SHISHAMO第68回(2017年)
BABYMETAL第71回(2020年)正式に3人組としての活動は2018年まで、それ以降はサポートメンバーを入れてパフォーマンス

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