歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第34回・1983年その1)

 1983年は1980年代の中でも屈指のヒット曲当たり年、紅白も前年と違ってオール新曲で臨む布陣でした。冒頭からラストまで、これだけヒット曲がバランス良く配置された曲順もなかなかありません。1980年代の紅白は他の年代以上に内容が各年で大きく異なりますが、個人的にはこの中でもっとも完成度の高い紅白歌合戦だと思っています。これまで歌番組に縁のなかった鈴木健二アナの白組司会起用、そして何よりタモリの総合司会起用という大胆な人選も印象的でした。

 

演奏時間&構成表 1(第34回・1983年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
1(紅1)家路岩崎宏美2分17秒
1コーラス半
4分16秒
2コーラス半
2(白1)ギャランドゥ西城秀樹2分34秒
2コーラス+ラスト
3分9秒
2コーラス+ラスト
3(紅2)春なのに柏原芳恵2分34秒
2コーラス
3分25秒
2コーラス半
4(白2)19:00の街野口五郎2分49秒
1コーラス半+ラスト
3分42秒
2コーラス+ラスト
5(紅3)UNバランス河合奈保子2分17秒
1コーラス半
3分50秒
2コーラス半
6(白3)素敵にシンデレラ・
コンプレックス
郷ひろみ3分0秒
冒頭+1コーラス半
4分11秒
冒頭+2コーラス+サビ
7(企1)ビギン・ザ・ビギン出場歌手全員4分33秒
8(紅4)遣らずの雨川中美幸2分38秒
2コーラス
3分23秒
2コーラス半
9(白4)さざんかの宿大川栄策2分46秒
2コーラス
4分37秒
3コーラス
10(紅5)悲しきクラクション榊原郁恵2分31秒
1コーラス半+ラスト
3分55秒
2コーラス+ラスト
11(白5)挑発∞シブがき隊2分43秒
冒頭+1コーラス半
3分44秒
冒頭+2コーラス
12(紅6)お久しぶりね小柳ルミ子2分49秒
1コーラス半
3分54秒
2コーラス
13(白6)晴れのちBLUE BOY沢田研二3分25秒
2コーラス+ラスト
3分49秒
2コーラス+ラスト
14(企2)紅白俵積み合戦出場歌手全員3分44秒

各ステージ・補足

 「聖母たちのララバイ」に続く2年連続『火曜サスペンス劇場』のタイアップ曲を歌う岩崎宏美ですが、この年は8年ぶりのトップバッターでした。アップテンポで始まることが多い紅白、バラードが最初のステージになるのは野口五郎が歌った「針葉樹」以来7年ぶりです。1970年代後半ほど露骨ではありませんが、テンポは原曲よりかなり速め。1コーラス後のラストサビは本来1番の繰り返しですが、ここでは2番の歌詞を歌っています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・岩崎宏美の軌跡

 西城秀樹も9年ぶりのトップバッター、こちらの「ギャランドゥ」はもんたよしのり提供の盛り上がる楽曲です。「家路」同様こちらも盛り上げ重視でテンポ速め。構成は1番フル、2番はサビ前半から後半を飛ばしてラストに繋げる構成でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・西城秀樹の軌跡

 初出場の柏原芳恵は大ヒットした中島みゆきの提供曲「春なのに」。2コーラス歌唱、本来ラストサビ前に入るスローテンポの部分が2番サビ前に入りました。

 野口五郎は「19:00の街」がこの年ヒット、前回出られなかったので2年ぶりの紅白復帰です。間奏が半分くらいにカットされ、そのまま2番サビから最後まで歌う構成でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・野口五郎の軌跡

 河合奈保子のこの年の代表曲は「エスカレーション」ですが、紅白で歌ったのはその次のシングル曲「UNバランス」でした。原曲よりやや速めのテンポ、1番から間奏無しでラストサビ前のCメロに飛ぶのは原曲通りです。(ステージレビュー→紅白歌合戦・河合奈保子の軌跡

 郷ひろみの「素敵にシンデレラ・コンプレックス」はイントロ冒頭少しカット、2番もAメロカットでBメロからの歌唱でした。ただ間奏はカット無しで完全残し。ラストサビの繰り返しは無かったものの、演奏時間は11回目の出場にして初の3分台です。

 企画コーナー1つめの「ビギン・ザ・ビギン」は直前2年の若手メインの内容ではなく、ベテランも含めて参加できる歌手はほぼ全員参加でした。ジャンボマックスのゲスト出演にタモリのトランペット演奏まであり、歴代のショーコーナー史上でも非常に完成度の高い内容です。

 川中美幸は「遣らずの雨」の1番と2番を歌唱。ただこの時はかなりの高熱が出ていたようで、後年比較的早い段階で再び紅白で歌う形になります。

 大川栄策はこの年シングルレコードセールス1位の「さざんかの宿」で初出場。1番と2番を歌唱、間奏の長さも原曲同様でした。ただアウトロは歌い終わるや否やという印象で、かなり短くなっています。

 榊原郁恵は原曲とキーを変えての歌唱、テンポがかなり速くなっています。1番終了後間奏無しで2番サビに移行、そのまま間奏~ラストパート~アウトロでステージを締めました。

 シブがき隊の「挑発∞」は原曲通りのテンポで歌唱。1番を歌い切った後、そのまま2番サビに移行します。サビのハモリパートは一応ステージでもハモってはいますが、高音担当と思われるフッくんのマイクがかなり小さいように聴こえます。

 小柳ルミ子は1980年代の代表曲となった「お久しぶりね」、過去にないほどの超ダンサブルなステージになりました。したがってテンポも原曲より速くなっています。1コーラス半、2番はBメロからの歌唱でラストサビ繰り返しは無しでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・小柳ルミ子の軌跡

 沢田研二は”言いたいことはヤシの実の中”連呼が耳にこびりつく「晴れのちBLUE BOY」。映像では何が起こったのかよく分からない状況ですがステージは圧巻、この年制定された第1回金杯受賞ステージに選ばれます。1番はAメロ&Bメロ2回+サビという構成ですが、後半のAメロ&Bメロがカットされています。ただ間奏は全残し、アウトロも例の歌詞繰り返し7回完全演奏でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・沢田研二の軌跡

 全歌手参加の企画2つめは「紅白俵積み合戦」。民謡「南部俵積み唄」の世界観を舞台で完全に表現する内容でした。主な人選は歌が細川たかし、和太鼓が小林幸子、七福神が菅原洋一千昌夫研ナオコなど、旦那様は村田英雄、それを囃したてるのは松田聖子河合奈保子榊原郁恵高田みづえ(人選も衣装も前年の使い回し)。踊りは白組紅組歌手色々、後ろでほとんど画面に映らず黙々と俵を積むのはシブがき隊アルフィーサザンオールスターズのメンバーなど、最後に積まれた米俵の後ろから登場するのは白組司会の鈴木健二でした。

 

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