1991年・平成3年はソ連崩壊を筆頭に、国内外でニュースが非常に多い年でした。国際的な紅白歌合戦はこの年も継続、ただ中継ステージは一旦中止。出場歌手のステージは全てNHKホールからのパフォーマンスに戻ります。
演奏時間&構成表 1(第42回・1991年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 | フル再生時間 構成 |
1(白1) 白前半1 | WON’T BE LONG | バブルガム・ブラザーズ | 3分18秒 冒頭+1コーラス半 | 6分56秒 冒頭+2コーラス半 |
2(紅1) 紅前半1 | ときめいて | 西田ひかる | 2分3秒 1コーラス半 | 3分31秒 2コーラス半 |
3(白2) 白前半2 | Can’t Stop!! -LOVING- | SMAP | 3分0秒 冒頭+1コーラス半 | 5分9秒 冒頭+2コーラス半 |
4(紅2) 紅前半2 | メタモルフォーゼ | 工藤静香 | 2分54秒 1コーラス半 | 4分16秒 2コーラス半 |
5(白3) 白前半3 | もしも君じゃなきゃ | 吉田栄作 | 3分19秒 2コーラス | 4分17秒 2コーラス+サビ |
6(紅3) 紅前半3 | Rosa | 中山美穂 | 3分6秒 1コーラス半 | 5分14秒 2コーラス半 |
7(白4) 白前半4 | TAYO NA (COME ON) | スモーキー・マウンテン | 2分58秒 2コーラス半 | 3分14秒 2コーラス半 |
8(紅4) 紅前半4 | ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~ | 森口博子 | 2分57秒 2コーラス | 4分45秒 3コーラス |
9(白5) 白前半5 | (タイトル無し) | ザ・ベンチャーズ | 4分6秒 | |
十番街の殺人 | 1分17秒 | 2分17秒 | ||
ダイアモンド・ヘッド | 1分11秒 | 2分5秒 | ||
パイプライン | 1分38秒 | 2分18秒 | ||
10(紅5) 紅前半5 | ラヴ・イズ・オーヴァー | 欧陽菲菲 | 2分46秒 1コーラス | 4分36秒 1コーラス半 |
11(白6) 白前半6 | そして、神戸 | 前川 清 | 2分33秒 2コーラス+サビ | 2分55秒 2コーラス+サビ |
各ステージ・補足
トップバッターはバブルガム・ブラザーズ「WON’T BE LONG」。15年後にもカバーで大ヒットするロングセラーですが、当時はHOUND DOGの代役として選ばれた形。そのため歌終わりに”Thanks to HOUND DOG!”と叫ぶ一幕があります。かなり長い曲なのでカットも多め、冒頭のリフレインは1回のみ。1コーラス終了後間奏を経て、英語詞とサビをひたすら繰り返す部分は1回ずつ。とは言えバックバンド持ち込みのステージ、演奏時間は3分台とまずまずの数字を記録しています。
西田ひかるは自身出演のドラマ主題歌「ときめいて」で初出場。1991年のヒット曲としてはかなりの短さですが、ステージの演奏時間はさらに短め。それでも1コーラス半、特に目立ってカットされた箇所はありません。
この年9月にデビューしたばかりのSMAPが白組2番手、デビュー曲「Can’t Stop!! -Loving-」を歌唱します。自らのグループ名を2回コールする部分は1回に短縮されていますが、早替え時間を含む間奏は1番歌唱後のパートで意外としっかり。ダンスなど見どころも結構多いです。ただ問題は歌詞テロップで、冒頭から全く表示されず。1番の途中で一度表示されるも間違えて曲名が一瞬表示、そのまま1番を歌い切るまで完全ノンテロップ状態でした。
工藤静香は4回目の出場ですが、バックバンドにコーラスもしたがえたライブさながらのステージ。デビュー1年目のSMAPに貫禄を見せつけていますが、そのメンバーの1人と後に結婚するとは誰が予想できたでしょうか。歌唱曲は「メタモルフォーゼ」、こちらも本人が出演するドラマの主題歌でした。
吉田栄作は「もしも君じゃなきゃ」、この曲も本人主演のドラマ主題歌です。1991年は俳優だけでなくミュージシャンもそうですが、ドラマ主題歌のヒットが特に目立った1年でした。こちらもバックバンドの演奏+マイクスタンド使用のスタイル。工藤さんが帽子を被っていたのに対抗して?こちらはマフラーが衣装のアクセントになっています。2番歌唱後の間奏や終盤の歌詞は一部カットされていますが、2コーラス半で構成はほぼフルという扱いの良さです。
中山美穂も本人主演のドラマ主題歌…かと思いきや、こちらは「一咲」のペンネームで作詞したダンスナンバー「Rosa」を選曲。ローラースケートを履いたダンサーが所狭しと動き回ります。原曲の構成は一応2コーラス半と書きましたが3番(Aメロは1番と同じ歌詞)以降はやや複雑、紅白は主に1番から中盤のコーラス部分・Cメロに飛んだ後に2番を歌う構成でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・中山美穂の軌跡)
前回に続いてこの回もフィリピンから紅白出演、スモーキー・マウンテンはこの年に歌手として紅白初出場。平均年齢は当時14歳でした。ダンサブルなナンバー・男女4人編成、さながらフィリピンのジャクソン5という紹介が一番しっくりくるでしょうか。原曲3分14秒に対して演奏時間は2分58秒、ほぼフルコーラスです。なおサブスク配信は以前なされていましたが、現在は停止中。
前回応援で出演した森口博子は、この年紅組歌手として初出場。「ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~」の1番と3番を熱唱、後半は白い衣装が美しく光る演出もあります。ただ1番サビ後半は、テロップの表示と異なる2番の歌詞を歌っていました。『機動戦士ガンダムF91』の主題歌ですが、曲紹介ではガンダムのガの字も出てきません。
日本にエレキギターブームを巻き起こしたザ・ベンチャーズは、アメリカから来日しての出演でした。1964年~1965年発表の3曲を演奏、持ち前の技術で見せる聴かせるステージです。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史(1990年代編前半))
18年ぶり出場の欧陽菲菲は、紅白歌合戦初歌唱の「ラヴ・イズ・オーヴァー」。1983年12月にはオリコンで週間1位にもなっていますが、この時期の紅白には残念ながら呼ばれず。「名曲の熱唱」という言葉がしっくり来るステージですが、フルコーラスでも1コーラス半。そうなると紅白では必然的に1コーラス(サビの後にラストAメロに飛ぶ構成)、どうしても若干の物足りなさが残ります。そもそも出番がザ・ベンチャーズの後、21世紀の紅白だったらおそらく彼らがそのまま生演奏する「雨の御堂筋」だったはず。そう考えると結構な勿体なさもあります。
初出場ですが実際は内山田洋とクール・ファイブ以来9年ぶり、前川清はこちらも意外な紅白初歌唱「そして、神戸」。ヒットした年はなぜか紅白に出られない時期でした。堂々のフルコーラス歌唱ですが、テンポは原曲よりかなり速めです。(ステージレビュー→紅白歌合戦・前川清の軌跡)
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