2002年、21世紀2回目の紅白はガラリとリニューアル。この年から演歌の枠が減り、J-POPやそれ以外のジャンルからの選出が多くなりました。12年ぶりの中継ステージ復活、紅組白組交互でない曲順が発生したことも大きな動きでしたが、やはり最大のトピックスはこれまでほとんどテレビ出演の無かったあの歌手が紅白に出場したことではないでしょうか…。
演奏時間&構成表 1(第53回・2002年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 | フル再生時間 構成 |
1(紅1) 紅前半1 | ロマンティック浮かれモード | 藤本美貴 | 2分47秒 冒頭+1コーラス+サビ | 4分15秒 冒頭+2コーラス+サビ |
2(白1) 白前半1 | NEW PARADISE | w-inds. | 3分2秒 冒頭+1コーラス+サビ | 5分13秒 冒頭+2コーラス+サビ |
3(紅2) 紅前半2 | VALENTI | BoA | 2分57秒 2コーラス半 | 4分20秒 2コーラス半+サビ |
4(白2) 白前半2 | 恋のマイレージ | RAG FAIR | 2分28秒 冒頭+1コーラス半 | 3分30秒 冒頭+2コーラス半 |
5(紅3) 紅前半3 | 夢ノカケラ… | ZONE | 3分11秒 冒頭+2コーラス | 4分10秒 冒頭+2コーラス |
6(白3) 白前半3 | 二人のアカボシ | キンモクセイ | 3分10秒 2コーラス | 5分43秒 3コーラス |
7(白4) 白前半4 | おまえと生きる | 山本譲二 | 2分44秒 2コーラス | 4分14秒 3コーラス |
8(紅4) 紅前半4 | 女人高野 | 田川寿美 | 3分2秒 1コーラス+サビ | 5分8秒 2コーラス+サビ |
9(白5) 白前半5 | かくれんぼ | 堀内孝雄 | 2分50秒 1コーラス半 | 4分17秒 2コーラス半 |
10(紅5) 紅前半5 | 流氷恋唄 | 藤あや子 | 3分5秒 2コーラス | 4分20秒 2コーラス半 |
11(企1) | 憧れのTVヒーロー& ヒロイン50年ショー | 高野志穂 小澤征悦 | 7分37秒 | |
おお牧場はみどり | 東京放送児童合唱団 モーニング娘。6名 | 1分10秒 2コーラス | 1分47秒 3コーラス | |
ひょっこりひょうたん島 | ミニモニ。 | 0分38秒 1コーラス | 2分14秒 2コーラス | |
月光仮面は誰でしょう | 氷川きよし | 0分32秒 サビ | 3分21秒 3コーラス | |
ひみつのアッコちゃん | 安倍なつみ | 0分34秒 Aメロ+サビ | 1分50秒 3コーラス | |
レッツゴー!! ライダーキック | w-inds. | 0分45秒 1コーラス | 2分32秒 3コーラス | |
キューティーハニー | 飯田圭織 石川梨華 藤本美貴 | 0分43秒 1コーラス | 2分19秒 3コーラス | |
詠人 | 北島三郎 | 0分40秒 Aメロ+サビ | 3分24秒 2コーラス半 | |
おさかな天国 | 柴矢裕美 | 0分54秒 サビ | 4分16秒 3コーラス |
各ステージ・補足
トップバッターは2年連続ハロプロの新人・この年は藤本美貴でした。3rdシングルの選曲も、前回の松浦亜弥と同じです。冒頭+1コーラス+サビのTVサイズ構成ですが、ラストサビの繰り返しは3回が2回(1回目と3回目)に変更。なおこのステージが終わった直後まさかのモーニング娘。加入発表、翌年以降はソロではなくグループでの紅白出場となります。
w-inds.は当時デビュー2年目・平均年齢17歳。若々しさと爽やかさで、大変な人気を集めていました。シングル4曲甲乙つけがたい売上の中、選曲されたのは当時の最新曲「NEW PARADISE」。こちらも冒頭+1コーラス+サビのTVサイズ構成、ただフェイドアウトになるアウトロはほぼ完全カットでした。
BoAは当時デビュー2年目の16歳でしたが、この時点で日本・韓国双方で大ヒットを記録。今となれば日本におけるK-POPヒットの始祖と言っても良いかもしれません。思いっきりパワフルかつダンサブルでしかも若々しさまで感じるステージでした。「VALENTI」はイントロこそカットされていますが、2コーラスにサビまで加わる好待遇。1番の繰り返しになるラストサビこそカットでしたが、パフォーマンス・構成ともに言うことなしの素晴らしさです。
RAG FAIRはメジャーデビュー1年目で紅白出場を勝ち取りました。オリコン週間1位を獲得した「恋のマイレージ」を歌唱、完全アカペラステージですが全くそう聴こえない凄さがあります。ボイスパーカッションが紅白で披露されたのは、現在でもこれが唯一です。極めて高い技術を持つグループでしたが高水準のCD売上は長く続かず、紅白も残念ながらこの回が唯一でした。
ZONEは前回に続いて演奏直前にリーダー・TAKAYOのメッセージ、この年は「夢ノカケラ…」を歌唱。MIZUHOがドラムとキーボードを兼任しています。楽曲はやや変則的な構成で、紅白で歌ったのは冒頭+1番Aメロ+1番サビ(カットあり)+2番Cメロ(Bメロは元々無し)+2番サビ+ラストAメロ。カットされた箇所がかなり目立つ印象でしたが、歌唱パート自体は多いので演奏時間も3分を超える結果になっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史)
キンモクセイはこの年1月リリースでロングセラーになった「二人のアカボシ」を歌唱。J-POPではやや珍しい3コーラス構成、ここでは1番と3番を歌います(間奏は無し)。フェイドアウトのアウトロは大幅カット、当然音源とは異なる終わり方になっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史)
前回の演歌ステージ4組で歌手席が復活するシーンがありましたが、この回は12年ぶりに舞台上のオーケストラ演奏が4組限定で復活。まずは山本譲二が「おまえと生きる」の1番と3番を歌唱。途中よく分からない小芝居が出場歌手3人によって繰り広げられましたが、そのおかげで?間奏がカットされずに済むという効果もあった様子です。
田川寿美は4年ぶりの紅白復帰、「女人高野」はエレキギターを弾きながら歌う姿が話題になりました。もっとも紅白のステージで本人の演奏は残念ながら無し、その代わりに派手な着物と多くのダンサーが目を引く内容になっています。過去3回で歌った曲とは全く異なるJ-POPに相当近い曲調、1コーラスもかなり長いため構成は1コーラス+ラストサビ。それでも演奏時間は3分台にしっかり達しています。
堀内孝雄は3年ぶりに『はぐれ刑事純情派』主題歌の新曲を歌唱、この年は「かくれんぼ」。冒頭から入る会場の手拍子が大変温かく、紅白史における隠れた名ステージと言って良いでしょうか。同時に2コーラスではなく1コーラス半のみというのが、とても残念に感じる内容でもありました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・堀内孝雄の軌跡)
藤あや子は「雪 深深」に近い系統の魅せる演歌「流氷恋唄」、手の動きも入れながら1番と2番を歌います。舞台上のオーケストラ・ドライアイスの舞う演出・Eメールになったとは言え南極基地から贈られる応援メッセージ。どことなく懐かしい古き良き昭和の紅白を思い出させるステージでもありました。
5組終わったところで、両組応援団長がメインのショーコーナーが始まります。連続テレビ小説『さくら』から、ヒロインの高野志穂と相手役の小澤征悦がコーナーを進行。まずは『みんなのうた』で初めてオンエアされた曲ということで、東京放送児童合唱団による「おお牧場はみどり」からスタート。ただ2コーラス目は打ち込みのアレンジにダンサー多数登場、歌もモーニング娘。の6人がメインになります(内訳は紅白歌合戦・モーニング娘。の軌跡~本番スケジュール編~を参照)。
ミニモニ。は2年連続登場、「ひょっこりひょうたん島」はBメロ抜きの1コーラス。このパフォーマンスがきっかけで、翌年モーニング娘。本体で「モーニング娘。のひょっこりひょうたん島」がシングル表題曲になったと言われています。氷川きよしが月光仮面のコスプレで「月光仮面は誰でしょう」サビを歌唱後、安倍なつみの「ひみつのアッコちゃん」はビジョン映像と実際のパフォーマンスをミックスさせた演出。少し間を置いて「レッツゴー!! 仮面ライダー」は第43回少年隊の”加山さん見てますか”以来10年ぶり、ただ同じ3人組でも直接それと関係ないw-inds.は普通にパフォーマンス。アニメの変身シーンが普通に後ろで映る「キューティーハニー」は、飯田圭織・石川梨華・藤本美貴が全く作品と関係のないコスプレで1コーラス。『おじゃる丸』の「詠人」は北島三郎御本人が登場、ただ2番Aメロは児童合唱でサブちゃんの歌唱はサビのみ。ラストはこの年突如ヒットした「おさかな天国」で締め、こちらも御本人の柴矢裕美が登場してサビを歌います。ただ楽曲自体はアニメや童謡とは全く関係のない内容で、ラストはこの年多摩川に出現して話題になったアゴヒゲアザラシ・たまちゃんのどでかいオブジェも登場。比較的まとまりのある内容ではありましたが、よく考えるとなんだか意味が分からない締め方でした。
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