第72回(2021年)NHK紅白歌合戦歌唱曲目発表

 やや各種企画の発表が遅い今年の紅白歌合戦ですが、本日曲目が発表されました。20日発表が予定されていたようですが、21日発表は月曜日だった昨年と同日です。

 12月18日に亡くなられた神田沙也加さんについては、やはり触れないわけにはいきません。第62回(2011年)の親子共演、第65回(2014年)のアナ雪ステージを見守る母親の姿は、紅白ファン・聖子さんのファン・沙也加さんのファンという条件がなくても忘れられない光景だったように思います。そもそもお腹の中にいる時から大きな話題になっていて、第37回(1986年)で聖子さんが歌った「瑠璃色の地球」は妊娠中のレコーディング、母親という面が非常にクローズアップされた時期でもありました。

 沙也加さんのために歌った「私だけの天使~Angel~」を発表した1997年は紅白に出演していません。また聖子さんが一時期紅白から離れてカウントダウンライブが恒例となったのは、「ever since」でSAYAKAとしてデビューした2002年でした。どちらも前年は紅白出場、更に言うと聖子さんが2011年に10年ぶり出演となったのはコンサートでの母娘共演。聖子さんの紅白出場は、結果的に娘の沙也加さんが大きく関わる形となっていますが…。

 当時の本編レビューは以下に記しています。私としましても非常にショックで、聖子さんや神田正輝さんの心情は察するに余りあります。残念でなりません。あらためてご冥福をお祈りします。

第62回(2011年)NHK紅白歌合戦~その8~

第65回(2014年)NHK紅白歌合戦~その7~

紅組出場歌手

石川さゆり「津軽海峡・冬景色」(1977年)
 やはり今年もお馴染みの選曲になりました。2年ぶり通算12回目は「天城越え」と並ぶ最多記録、そして史上初めて1970年代~2020年代の6年代にわたって歌われる形となります。

坂本冬美「夜桜お七」(1994年)
 紅白ではお馴染みの楽曲、前回はアクロバティックなダンサーを従えて紅組トップバッターを飾る形でした。3年ぶり通算8回目です。

天童よしみ「あんたの花道~ブラバンSP~」(2002年)
 Snow Manの腹筋太鼓リベンジ…ではなく今回は大阪桐蔭高等学校吹奏楽部とのコラボステージになるようです。天童さんが同じ曲を紅白で2年連続歌うのは史上初、そしてブラバンを従えて歌うのも初めてとなります。

水森かおり「いい日旅立ち」(1978年・山口百恵)
 オリジナルの楽曲披露はついに18年連続でストップしました。それと同時に女性演歌の新曲披露がついにゼロ。これは「演歌」というジャンルが始まって以来、紅白史上初めての出来事です。
 「いい日旅立ち」は第41回(1990年)に作詞作曲した谷村新司が歌って以来、紅白では31年ぶりの披露になります。オリジナルの百恵さんは紅白で披露していません。本人のカバーは2000年発売のアルバム『水森かおり全曲集~尾道水道~』に収録、過去にテレビ番組でも歌っています。

AI「アルデバラン」
 順当に連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』主題歌が選曲されています。上述の選曲の影響で、現在のところ今年の楽曲を歌うアーティスト最古参になりました。

Perfume「ポリゴンウェイヴ」
 ここ数年はメドレーで過去曲が入ることが多く、その年の楽曲で通すのは「TOKYO GIRL」の第68回以来4年ぶり。

MISIA「明日へ 2021」(2011年)
 第63回で披露して以来紅白では9年ぶり。東日本大震災復興応援メッセージソングとして生まれた楽曲ですが、今年は災害から10年という節目の年でもあります。テレビ番組やTHE FIRST TAKEでも歌っていて、個人的には「Higher Love」の方が良かったですが順当な選曲です。タイトルに年号が入っているので、第69回同様メドレーになる可能性もあります。

薬師丸ひろ子「Woman “Wの悲劇”より」(1984年)
 第65回で初出場した時と同様の選曲になりました。今年デビュー40周年、そして作詞した松本隆さん50周年の節目を飾る意味合いが強そうです。

乃木坂46「きっかけ」(2016年)
 シングルではなくアルバム『それぞれの椅子』収録曲ですが、ファンからは非常に高い人気を誇る名曲です。今年はTHE FIRST TAKEで4期生の遠藤さくらがこの曲を歌ったことも話題になりました。実は生田絵梨花だけでなく新内眞衣星野みなみも紅白はこれがラストになること確定、3期や4期へ受け継ぐという点でも非常に意義のある選曲と言って良いのではないでしょうか。

櫻坂46「流れ弾」
 10月発売のシングル曲を歌います。前回紅白のセンターは森田ひかるでしたが、今回は田村保乃が担当。

あいみょん「愛を知るまでは」
 「ハート」も現在話題になっていますが、今回の紅白は春クールのドラマ主題歌が選曲されました。

LiSA「明け星」
 『鬼滅の刃 無限列車編』はエンディングテーマ「白銀」もありますが、今回はオープニングの「明け星」のみを披露。初出場から3年連続同シリーズ作品タイアップも、過去にない記録ではないかと思われます。

日向坂46「君しか勝たん」
 櫻坂46が「流れ弾」を歌う時は「ってか」の選曲が多かったですが、紅白は5月リリースのシングル曲で少しずらしました。いかにも歌合戦、というタイトルの楽曲が久々に選曲されたという印象もあります。

東京事変「緑酒」
 今年10年ぶり発表のオリジナルアルバム『音楽』に収録。「赤の同盟」でも「闇なる白」ではなく緑を選曲するところが、今回の紅白のテーマを象徴しています(人気的にも妥当ではあるのですが)。

milet「Fly High」
 やはりNHKタイアップは強く、来年の北京五輪でも使われるであろうウィンタースポーツテーマソングの選曲になりました。五輪だけではないので、一応第64回(2013年)ソチ五輪前年のコブクロとは違うケースです。

NiziU「Take a picture」
 アルバム発売のタイミングで「Chopstick」の披露が年末番組多いですが、紅白は今年の代表曲でバッチリ決める形となります。

YOASOBI「群青」(2020年)
 実は前年9月リリースの楽曲ですが、ビルボードは年間8位で「夜に駆ける」「怪物」に次ぐ順位を記録しています。

Awesome City Club「勿忘」
 映画『花束みたいな恋をした』インスパイアソングとして大ヒットした今年の代表曲です。

BiSH「プロミスザスター」(2017年)
 代表曲、そして最もYoutube再生回数の多い曲が選曲されました。個人的には別の曲を予想していましたが、最も好きで希望する楽曲はこれなので嬉しい選曲です。

上白石萌音「夜明けをくちずさめたら」(2020年)
 『みんなのうた』で2020年4月~5月に放送された楽曲が選曲されました。提供はいきものがかりの水野良樹です。
 夏や年末の特番にも多く出演していましたが、私が見た限り全てカバー曲でした。繋がりはあるのでまさかの選曲とまでは言えませんが、ファンにとっては一番嬉しい選曲のような気がします。

millennium parade×Belle(中村佳穂)「U」
 細田守監督の映画『竜とそばかすの姫』主題歌が順当に選曲されました。楽曲以上に注目したいのはステージ演出です。


白組出場歌手

郷ひろみ「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」(1984年)
 2年ぶり7回目、「津軽海峡・冬景色」と同様第66回から完全に2年おきの選曲になっています。THE FIRST TAKEで話題になったのは結局この曲で、間違いなく永遠に愛される楽曲なので致し方ない部分はあります。

鈴木雅之「め組のひと 2021紅白ver.」(1983年)
 倖田來未のカバーが近年TikTokから話題になり、それ以前から彼女の楽曲というイメージが特に若い人は強そうですが、元祖は彼がメインボーカルを務めるラッツ&スターです。当日はなんと桑野信義佐藤善雄の参加も決定、完全とは言いませんがちょっとした再結成ステージになります。ラッツのオリジナル曲も紅白初披露、個人的には非常に楽しみなステージです。

福山雅治「道標~紅白2021ver.~」(2009年)
 『THE BEST BANG!!』リリースの2010年・第61回以来紅白では11年ぶりの歌唱。福山さんの紅白ベストアクトはその時の「道標」だと個人的に思っているので、過去曲の中ではトップクラスに嬉しい選曲です。

氷川きよし「歌は我が命」(1976年美空ひばり)
 1976年に発売されたアルバム『私と影~歌は我が命 第10集』収録曲のカバー。氷川さんは今年『ライブエール』でこの曲を歌いましたが、これが尋常ではない程素晴らしいステージでした。「限界突破×サバイバー」や「Happy!」などポップス曲が予想されましたが、ここでこれを選曲出来ることが今回の紅白の強みではないかと感じています。ちなみに楽曲も今回が紅白初歌唱、氷川さんが紅白でカバーを歌うのも史上初です。

ゆず「虹」(2009年)
 テーマに即した過去曲をうまく選曲しました。Spotifyでも楽曲再生数6位なので人気曲です。楽曲が発表された2009年・第60回では北川さんの父の逝去に際して同年のヒット曲「逢いたい」を歌っています。

関ジャニ∞「Re: LIVE」(2020年)
 メンバーとファンが歌詞を作り上げたシングル曲で、今年のアルバム『8BEAT』にも収録されています。本来なら前回歌われるべき楽曲だったような気もするのですが、今回あらためて紅白で歌唱という形になりました。

山内惠介「有楽町で逢いましょう」(1957年フランク永井)
 50年ぶりに有楽町での紅白開催ということで、それに際して選曲&白羽の矢が立ったと推測します。1957年に発表されたフランク永井の大ヒット曲で、紅白でも第24回(1973年)・第33回(1982年)で歌われています。フランクさんの曲が紅白でカバーされるのは今回が初。

星野 源「不思議」
 個人的には「創造」も捨てがたかったですが、ドラマ主題歌で話題になった「不思議」が順当に収録されました。

三山ひろし「浮世傘~第5回 けん玉世界記録への道~」
 史上初のけん玉2年連続記録達成を目指して、また大皿世界記録に挑むそうです。ネタがないのでしょうか…。楽曲は7月発売の「浮世傘」が優先される形になりました。

BUMP OF CHICKEN「なないろ」
 連続テレビ小説『おかえりモネ』の主題歌であるとともに、タイトルも今回の紅白テーマと合致しています。

純烈「君がそばにいるから」
 選曲傾向は過去2年と同様です。この2年リモコンでボタン連打演出が続いていますが、今のところそういったアナウンスはありません。

King & Prince「恋降る月夜に君想ふ」
 順当に今年で一番支持を集めた楽曲が選曲されています。

宮本浩次「夜明けのうた」(2020年)
 岸洋子のカバー…ではなく同名異曲のオリジナルと思われます。1stソロアルバム『宮本、独歩。』収録曲です。

GENERATIONS「Make Me Better」
 今回も「虹」や「道標」など例のごとく予想大外れのケースが多くなりましたが、「親しみやすくマネしやすい振付」を根拠にこの曲を予想したのは完全に読み通りでした。

SixTONES「マスカラ」
 楽曲提供した常田大希がmillennium paradeとして出場しているので、この選曲は必然だと思います。

Snow Man「D.D.」(2020年)
 今年の曲を混ぜるメドレーも考えられましたが、前回歌うはずだったデビュー曲をあらためて通しで歌う形になりそうです。

布袋寅泰「さらば青春の光<紅白SP>」(1993年)
 「スリル」「バンビーナ」「POISON」が予想された中で意外な選曲でしたが、それと同時に超名曲かつヒット曲でありながら意外と伝わっていない楽曲の選曲に拍手を贈りたくなる選曲でもあります。非常に楽しみです。

KAT-TUN「Real Face #2」(2006年)
 過去に出場したKinKi KidsKis-My-Ft2と同様デビュー曲の披露。偶然にも、アルファベットの最初の文字まで同じです。3人で歌う「Real Face」はこの名義で、2018年に再レコーディングもされています。

平井 大「Stand by me, Stand by you.」(2020年)
 ビルボード年間17位、ストリーミング中心に今年大ヒットした楽曲が順当に選曲されました。

DISH//「猫」(2017年)
 「沈丁花」も考えられましたが、やはり結果はブレイク曲の「猫」でした。THE FIRST TAKE ver.も有名ですが、北村匠海以外のメンバーを目立たせることを考えると通常の編曲ver.で個人的には見たいです。

まふまふ「命に嫌われている。」(2017年・カンザキイオリ)
 オリジナル曲を予想していましたが、一番Youtube再生数が多いのはカンザキイオリが投稿したボカロ曲のカバー。そういう意味では順当な選曲です。なおオリジナルよりも彼のカバーの方が約6倍多い再生数を記録しています。

 女性演歌の新曲ゼロは驚きましたが、特にJ-POP中堅~ベテランは予想を超える選曲が多いように思いました。「虹」「さらば青春の光」「道標」「め組のひと」など、今回は白組でこれが非常に目立っています。逆に紅組は予想の範囲内もしくはあまり代わり映えのない選曲が目立つ印象です。「夜明けをくちずさめたら」「きっかけ」が今回のファインプレー、逆に「いい日旅立ち」は若干の肩透かし感もあります。

 代わり映えのないベタな選曲は風物詩として捉えることもできるので、判断は難しいです。先日のアンケートでも石川さゆりの投票は「津軽海峡・冬景色」が一番支持を集めました。現状打破・マンネリの打開は確かに必要ですが、それが必ずしも正解だと言えない所が紅白歌合戦の難しさだとあらためて思います。

 あとは今回もう一つ驚くべきこととして、タイトルだけを見る限りメドレーがゼロになりました(ただサプライズで入る可能性はまだ十分あります)。こちらも好みそれぞれあると思いますが、私はメドレーが少ない方が見ていてスッキリするので好ましいと考えています。特別出演や企画はマツケンさん以外も何組か発表されるとは思いますが、現状だと1アーティスト時間の持ち時間は増えそうで、それも非常に良い傾向ではないかと思います(これも実際番組を見ないと分からない部分ありますが)。

 曲順発表は前回が28日、前々回が27日でした。曲順はまた予想して記事化するか、あるいはトリだけでもまたTwitterでアンケートをしようと考えています。ただやはり一番心配なのは聖子さんですね…。

コメント

  1. さゆりさんは相変わらず例の2曲以外は歌わせてもらえず、
    冬美さんどころか天童さんまでも選曲が固定化しつつあります。
    頼みの綱だった水森さんが過去曲をすっとばしてカバーとは、、、

    三山さんはいい加減けん玉世界記録はやめた方がいいと思います。
    風物詩だと思ってるのはNHKだけだと思います。
    山内さんは去年過去曲からの選曲で今年がカバー、、、

    聖子さんは辞退して心身ともに休んでほしいです。
    「亡き娘に向けて」「苦難を乗り越えて」みたいは演出になりかねません。
    過去の追悼企画とは明らかに事情が違いますからね。

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