アテネ五輪が空前の日本人選手金メダルラッシュで盛り上がった2004年ですが、紅白歌合戦はNHKの不祥事が相次いで報道される中での放送でした。内容そのものは思い切った抜擢・選出もあったものの、例年より予算が縮小されたこともあってセットなどが少し寂しくなっています。そのためやや盛り上がりに欠けたきらいもあり、世帯視聴率は低下傾向で関東では当時紅白史上最低視聴率を記録する結果になりました。
演奏時間&構成表 1(第55回・2004年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 | フル再生時間 構成 |
1(紅1) 紅前半1 | 愛のために。 | 上戸 彩 | 2分48秒 冒頭+1コーラス+サビ2 | 5分6秒 冒頭+2コーラス+サビ2 |
2(白1) 白前半1 | 自分のために | TOKIO | 3分2秒 冒頭+1コーラス半 | 4分5秒 冒頭+2コーラス半 |
3(紅2) 紅前半2 | 2004年 愛・涙・キッス 紅白スペシャル | モーニング娘。 W | 4分10秒 3曲 | |
愛あらばIT’S ALL RIGHT! | モーニング娘。 | 2分27秒 冒頭+1コーラス+サビ×2 | 4分33秒 冒頭+2コーラス+サビ3 | |
涙が止まらない放課後 | モーニング娘。 | 0分22秒 冒頭 | 3分42秒 冒頭+2コーラス+サビ | |
ロボキッス | W | 1分10秒 1コーラス | 3分39秒 2コーラス+サビ | |
4(白2) 白前半2 | 四季 | w-inds. | 2分46秒 1コーラス半 | 4分55秒 2コーラス半 |
5(紅3) 紅前半3 | 花風 | aiko | 3分13秒 冒頭+1コーラス半 | 4分22秒 冒頭+2コーラス半 |
6(白3) 白前半3 | 桜 | 河口恭吾 | 2分58秒 冒頭+1コーラス+サビ | 4分38秒 冒頭+1コーラス半 |
7(紅4) 紅前半4 | あなたが好きで | 森山良子 | 3分40秒 1コーラス半 | 4分54秒 2コーラス |
8(白4) 白前半4 | 「新選組!」メイン・テーマ | ジョン・健・ヌッツォ | 3分22秒 3コーラス | 2分53秒 2コーラス |
9(紅5) 紅前半5 | 釧路湿原 | 水森かおり | 2分41秒 2コーラス | 4分44秒 3コーラス |
10(白5) 白前半5 | ふるさとのはなしをしよう | 山本譲二 | 2分34秒 2コーラス | 3分56秒 3コーラス |
11(紅6) 紅前半6 | おもろい女 | 川中美幸 | 3分10秒 2コーラス | 4分40秒 2コーラス半 |
12(白6) 白前半6 | カラスの女房 | 堀内孝雄 | 2分54秒 2コーラス | 3分51秒 2コーラス半 |
各ステージ・補足
トップバッターは初出場の上戸彩、自身最大のヒット曲「愛のために。」を歌唱。冒頭サビ後の間奏がいきなり大幅カット、ラストサビ前の間奏も半分ほどカット、アウトロに至っては完全カットと歌以外はカット連発でした。1番完全歌唱でサビもラストはカット無し、歌の方はしっかり歌わせてもらっています。
TOKIOはこの時点で11回目ですが、トップバッターは意外にもこれが唯一。「自分のために」を1コーラス半歌います。Cメロの国分太一ソロは、この年に発生した新潟県中越地震被災者へのメッセージに充てられました。2回繰り返しのラストサビも完全歌唱、ホールの熱気を一気に上げる会心のステージです。
モーニング娘。はこの年グループを卒業した辻希美と加護亜依のユニットW(ダブルユー)と合同ステージ。「愛あらばIT’S ALL RIGHT!」イントロ~冒頭~1コーラス(Aメロ後半カット)→「涙が止まらない放課後」冒頭→「ロボキッス」1コーラス(イントロ後半・Aメロ後半カット)→「愛あらばIT’S ALL RIGHT!」間奏~ラストサビ(最後1回のみ)。細かい解説はステージレビューを参照。前回のリップシンク1曲のみと比べれば、大幅改善されています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・モーニング娘。の軌跡)
w-inds.は過去2回と少し異なる、歌とハーモニーで聴かせてダンスで魅せるミディアムテンポの「四季」を披露。明るい曲で盛り上げるモーニング娘。とは全く異なる、清涼感のあるステージでした。1コーラス半、Cメロの英語パートは3回あるうち1回目と3回目のみ披露。アウトロが若干短くなっています。
aikoはこの年のヒット曲、アップテンポの「花風」を披露。やや声の調子が良くなさそうでした。間奏・アウトロもカット無しでガッツリ1コーラス半、前半の3番手としては上々の扱いです。
河口恭吾は2階席のステージで「桜」の弾き語り。非常にシンプルな演出なのであっさりしているようにも見えますが、歌詞のカットはアウトロ部と冒頭サビ2回目くらいで少なめです。
森山良子は1998年発表曲ですが、この年ドラマ主題歌として再レコーディングされた「あなたが好きで」を熱唱。紅白常連では無いとは言え大ベテラン、前半4番手に歌わせるには極めて贅沢あるいは非常に勿体ないという名ステージでした。歌詞は2番Aメロのみカット、演奏時間は紅白の前半出演で考えると異例の長さ。前半で見せ場を作るという意図も、もしかするとあったのかもしれません。
ジョン・健・ヌッツォの初出場はオペラでしたが、この年は大河ドラマ『新選組!』テーマソングを歌唱した縁で紅白にも出演。紀行ヴァージョン編曲のアカペラを歌唱後に、本来の勇壮なオープニング(ラララ…の歌唱パート以降)に移行するという展開でした。作曲した服部隆之が自ら合唱団を指揮しています。本来なら局長・近藤勇を演じた香取慎吾が登場する所ですが、あいにくこの年SMAPが出場辞退。そこだけが大変惜しい部分です。
アテネ五輪の金メダリストをお祝いした後、演歌のステージが4つ続きます。水森かおりは「釧路湿原」を歌唱、今回はめでたく1番と3番の2コーラスでした。ただイントロ・間奏は相当に短くなっています。
山本譲二の「ふるさとのはなしをしよう」は、1965年に北原謙二が歌ってヒットした曲のカバーです。この年シングルとして発売されました。1番と3番の2コーラス。なおキダ・タローの作品が紅白で歌われたのは、これが唯一です。
川中美幸は前年トリ前ですが、この年はまさかの前半6番手。「おもろい女」は出場歌手の小芝居が後ろで繰り広げられる中のステージでした。1コーラスが長い曲ですが、ここは1番と2番をしっかり披露。演奏時間は3分台を記録しています。
堀内孝雄の「カラスの女房」はモーニング娘。時代の中澤裕子に提供した曲、この年ニューバージョンとしてセルフカバーリリース。こちらもやや1コーラス長めながら、無事2コーラスの歌唱でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・堀内孝雄の軌跡)
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