歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第41回・1990年その1)

 平成2年、前回の紅白が21時を境に「昭和の紅白」「平成の紅白」とはっきり分けられたのに対して、この年は19時20分から23時45分まで完全に一体化した番組になります(現在と同様、21時前に5分間のニュース中断あり)。海外からの出演者に中継も多く挟まれ、全く前例のない新しい紅白歌合戦になりました。

 今回からは3記事ではなく、5記事に分けて作成とすることとします。ひとまず前半を2記事・後半を3記事という形で分けることにしました。

 

演奏時間&構成表 1(第41回・1990年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
1(紅1)
紅前半1
笑顔の行方ドリームズ・カム・
トゥルー
3分27秒
冒頭+2コーラス
3分58秒
冒頭+2コーラス
2(白1)
白前半1
CO CO RO光GENJI2分59秒
冒頭+1コーラス半
5分6秒
冒頭+2コーラス半
3(紅2)
紅前半2
愛してるっていわない!中山美穂2分39秒
2コーラス
3分46秒
2コーラス半
4(白2)
白前半2
心の旅吉田栄作2分51秒
冒頭+1コーラス+サビ
4分32秒
冒頭+2コーラス+サビ
5(紅3)
紅前半3
ギャラリー荻野目洋子2分46秒
1コーラス半
4分40秒
1コーラス半
6(白3)
白前半3
FUNKY FLUSHIN’少年隊2分57秒
1コーラス半+サビ
4分43秒
2コーラス+サビ
7(紅4)
紅前半4
くちびるから媚薬工藤静香
2分42秒
1コーラス半
3分57秒
2コーラス半
8(白4)
白前半4
夜明けのブレスチェッカーズ3分9秒
1コーラス+サビ
5分31秒
2コーラス+サビ
9(紅5)
紅前半5
KOKU-HAKU Vol. 1内藤やす子2分38秒
2コーラス
(詳細不明)
10(白5)
白前半5
I Know What You Wantガリー・バレンシアーノ2分58秒
2コーラス+サビ
4分55秒
2コーラス+サビ
11(紅6)
紅前半6
人生晴れたり曇ったり瀬川瑛子2分33秒
2コーラス
3分37秒
2コーラス半
12(白6)
白前半6
渋谷ものがたり新沼謙治2分29秒
2コーラス
4分2秒
3コーラス

各ステージ・補足

 トップバッターはこの年に初出場を果たしたドリームズ・カム・トゥルー。2年後にはミリオン連発の国民的アーティストになりますが、この年はドラマ主題歌でブレイクしたばかり。テロップの表記も英語ではなくカタカナです。ドラマ主題歌で大ヒットした「笑顔の行方」の歌唱ですが、この曲の長さは4分も無く、3分20秒ほどで歌詞全てを歌い切る構成になっています。そのためフェイドアウトのアウトロがテレビ・ライブ仕様の終わり方に変更された以外、初出場トップバッターとしては大変珍しいフルコーラス歌唱でした。

 白組トップバッターの光GENJIは「CO CO RO」を歌唱。観客席にいるファンの歓声は過去2年と同様凄まじいです。この年1番はサビ前半がカットされました。ただ1番から2番の間にある間奏は、本来インターバルの無いCメロからラストサビの間に挿入されています。さすがにこれ以前の2年ほどの大胆さではありませんが、この年も構成にそこそこのアレンジが加えられている様子でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・光GENJIの軌跡

 中山美穂は本人主演のドラマ『すてきな片想い』主題歌の「愛してるっていわない!」を歌唱。元々の2コーラスに、サビ後半の繰り返しが付加される構成です。ちなみにトップバッターで歌ったドリカムの曲もドラマ主題歌でミポリン主演、紅組は冒頭から2連続で出場歌手が主演を務めるドラマ主題歌歌唱という珍しいケースです。(ステージレビュー→紅白歌合戦・中山美穂の軌跡

 トレンディドラマの主演で名を馳せた吉田栄作はこの年に歌手として紅白初出場、チューリップのカバーで話題になった「心の旅」を熱唱。冒頭から1コーラス、カバーする際に新録となった間奏を経てサビ2回繰り返し。白シャツにGパンという極めてラフな衣装が話題になりました。なお女性視聴者を呼び込む目的で?この後も番組前半は特に曲紹介でたびたび登場します。

 荻野目洋子は「ギャラリー」、意外にも紅白では初めてとなる井上陽水提供曲の歌唱でした。この年の出場は曲のヒットというより、連続テレビ小説『凛凛と』出演に拠る部分の方が大きめです。1番は本来Aメロ~Bメロを違う歌詞で繰り返す構成ですが、このステージの1番は前半部のみ。後半もサビ2回繰り返しは2回目のみの歌唱です。

 少年隊の「FUNKY FLUSHIN’」は1979年に山下達郎がリリースしたアルバム曲のカバー、こちらも意外に初となる紅白での達郎メロディーでした。1番フルで2番カット、3番はBメロではなくその前のAメロ後半以降の歌唱(これは原曲と同様)。後半ウィスパー気味に歌う部分と転調する部分は原曲と同様。

 工藤静香はこの年も大ヒット曲、「くちびるから媚薬」を1コーラス半。マイクスタンド使用で熱唱する、王道のステージでした。

 チェッカーズはボーカル・藤井郁弥がこの年結婚、それを祝すかのようなバラード「夜明けのブレス」を1コーラス+サビ。ラストは本来違う歌詞のサビ繰り返しですが、ここでは”そして今を共に生きよう”を2回歌っています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・チェッカーズの軌跡

 内藤やす子は阿木燿子・宇崎竜童夫妻提供の「KOKU-HAKU Vol.1」。1977年の大ヒット曲「想い出ぼろぼろ」と同じコンビですが、オリコン100位圏外どころかオリジナルアルバム未収録・サブスク配信もありません。したがってフルコーラスについては詳細不明です。ハスキーボイスにロックテイストの演奏がよく合っている良いステージでしたが、他のヒット歌手ではなく彼女を2年連続出場歌手に選んだ理由は現在も謎です。

 この年は国際色を前面に出した紅白歌合戦、そのトップバッターを切るのはフィリピンの国民的歌手、ガリー・バレンシアーノでした。「I Know What You Want」2コーラスとサビ繰り返し、2番は1番より短め。当時国際的大スターだったマイケル・ジャクソンの影響が色濃いダンサブルなステージ・楽曲です。なお彼の曲はサブスクで複数が1000万再生を記録していますが、当時日本向けのCDのみ収録だったこの曲は配信されていません。

 瀬川瑛子の「人生晴れたり曇ったり」は、「命くれない」「憂き世川」と大きく異なる明るい曲です。曲紹介で彼女のモノマネを十八番にしている栗田貫一が出演、他の紅組歌手にモノマネを強要する中でご本人が登場という演出もあります。1番と2番の2コーラス、笑顔だけでなく振り付けまでも加わるステージでした。

 新沼謙治の曲紹介は、当時マルチタレントとしてテレビで見ない日が無い大活躍だった森口博子が渋谷の公園通りから生中継。若い女性が森口さんの周りに集まっています。ただ歌う「渋谷ものがたり」は、そんな若者たちを見た中高年の悲哀をテーマにした歌詞の演歌でした。1番と2番の歌唱。歌う新沼さんもここまで13回出場でしたが翌年は落選、以降1度も紅白歌合戦では見られなくなってしまいます。

 

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