歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第33回・1982年その1)

 1982年の音楽シーンはヒット曲不足と言われました。そのため中堅~ベテラン陣のほとんどが過去曲を歌唱するという、異例の紅白です。中には全く予想外のカバー曲を歌う歌手も存在しました。

 ステージの演出は基本的に前年の方針を踏襲しています。ただ選曲や演奏時間については、前回の方が圧倒的に良かったというのが正直な感想です。初出場歌手も紅組白組合わせて5組という、歴代の紅白でも屈指の少なさでした。

 

演奏時間&構成表 1(第33回・1982年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
1(紅1)ホンキでLove me Good!!三原順子2分30秒
2コーラス
3分9秒
2コーラス+サビ
2(白1)100%…SOかもね!シブがき隊2分13秒
1コーラス半
3分7秒
2コーラス
3(紅2)夏のヒロイン河合奈保子2分18秒
1コーラス半
4分4秒
2コーラス半
4(白2)誘惑スレスレ田原俊彦2分45秒
冒頭+2コーラス
3分27秒
冒頭+2コーラス+サビ
5(紅3)待つわあみん2分17秒
1コーラス+サビ
4分26秒
2コーラス+サビ
6(白3)ホレたぜ!乾杯近藤真彦2分40秒
2コーラス
3分12秒
2コーラス+サビ
7(紅4)ガラスの花高田みづえ2分31秒
2コーラス
3分25秒
2コーラス半
8(白4)聖・少女西城秀樹2分46秒
2コーラス+サビ
4分14秒
2コーラス半+サビ
9(紅5)野ばらのエチュード松田聖子2分48秒
冒頭+1コーラス半
4分6秒
冒頭+2コーラス
10(白5)哀愁のカサブランカ郷ひろみ2分33秒
1コーラス半
4分35秒
2コーラス
11(紅6)大勝負
(1970年)
水前寺清子2分41秒
2コーラス
4分24秒
3コーラス
12(白6)チャンチキおけさ
(1957年)
三波春夫2分19秒
2コーラス+民謡
3分11秒
3コーラス
13(企1)ザ・ビートルズメドレー出場歌手12組3分10秒

各ステージ・補足

 この年のトップバッターは、現在参議院議員として活動している三原順子。「だって・フォーリンラブ・突然」のヒットが評価されての初出場ですが、披露した曲は当時の最新曲「ホンキでLove me Good!!」でした。ラストサビのみカットの2コーラス、ラストフレーズもしっかり3回残っています。テンポはやや速め。

 デビュー年で初出場のシブがき隊は2ndシングル「100%…SOかもね!」を歌唱、年末の新人賞レースと同様の選曲です。Aメロ→Bメロ→Aメロで1コーラス構成ですが、2番は後半Aメロのみの歌唱でした。

 「けんかをやめて」「Invitation」といったバラードがヒットした河合奈保子ですが、紅白での歌唱曲はサンバ風の夏ソング「夏のヒロイン」。舞台袖からの移動時間と曲紹介の時間を確保するためでしょうか、イントロが原曲より4小節長くなっています。1番から間奏無しでCメロ~ラストサビに飛ぶ構成、アウトロもしっかり確保されていました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・河合奈保子の軌跡

 田原俊彦はなんと3年連続で白組2番手、そしてテンポが原曲より速いのも3年連続です。原曲よりかなり速いテンポで、この年10月にレコード発売の「誘惑スレスレ」を歌唱しました。ただ構成はラストサビ以外ほぼ全残し、3回目の出場にして初めて2分台後半の演奏時間になっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・田原俊彦の軌跡

 あみんはこの年7月デビューながら1982年レコードセールス年間1位、「待つわ」の大ヒットで瞬く間にスターダムとなりました。ただ紅白のステージは1コーラスとサビのみ、いささか物足りない構成です。もっとも1コーラスが長いため、演奏時間自体はシブがき隊や河合奈保子と同程度になっています。

 近藤真彦は「ハイティーン・ブギ」「情熱☆熱風☽せれなーで」がある中で「ホレたぜ!乾杯」、こちらも9月30日発売で当時の最新曲です。トシちゃん同様こちらもかなりテンポ速めのステージ、代わりにカットはラストサビのみとなっています。冒頭ラストにも歌唱部分が存在していますが、冒頭は曲紹介とダダ被りでした。

 高田みづえは大人の香りが漂うバラード「ガラスの花」を2コーラス歌唱。ラストBメロ+サビ以外に、間奏が若干カットされました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・高田みづえの軌跡

 西城秀樹は白組歌手が総出で盛り上げる「聖・少女」ですが、原曲より相当速いテンポでの歌唱になりました。その一方で歌は2コーラス、カットは3回目のサビとその前の間奏とフェイドアウトのラストのみ。ここまでの4組、演奏時間は白組の方が優勢の模様です。(ステージレビュー→紅白歌合戦・西城秀樹の軌跡

 「赤いスイートピー」「渚のバルコニー」という名曲が発表された1982年の松田聖子ですが、紅白では当時の最新曲「野ばらのエチュード」でした。一応こちらも名曲は名曲ですが、後世から見ると疑問を感じる選曲かもしれません。冒頭+1コーラス+ラストサビ後半という具合で、間奏も含めてカットはかなり多い印象。ただ演奏時間を考えると、これくらいカットしないと仕方ない面もあるので難しいところです。あとは多少原曲よりテンポ速いとは言え、バラードなのに手拍子をする観客の感覚に疑問が残ります。

 郷ひろみの「哀愁のカサブランカ」は1982年を代表するヒット曲、レコードセールスは「お嫁サンバ」「2億4千万の瞳」を上回っています。間奏無しの1コーラス半、ラストフレーズの繰り返しありとは言え演奏時間はやや短め。このステージも原曲よりテンポが速く、白組は4組連続でこういった演奏が続く状況です。

 冒頭各5組は1982年のヒット曲ですが、ここからは過去曲が多くなります。トップを切るのは水前寺清子「大勝負」、第21回・第26回に続く3回目の歌唱です。発表当時および7年前よりキー下げ、1番と3番の歌唱、1番は歌詞の「男」を「女」に変えての熱唱でした。紅組歌手6名の薙刀パフォーマンスがバックにあり、間奏も長めで演奏時間は第26回よりも格段に長いです。

 三波春夫は2年前に歌ったばかりの「チャンチキおけさ」ですが、この年は間奏に「佐渡おけさ」の歌唱が入りました。1番と3番で2番はカットになったものの、フルコーラスを歌った一昨年より演奏時間は長いです。なおこの年もテンポは原曲より少し速めでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・三波春夫の軌跡

 前回は「愛のコリーダ」だった若手メインのショーコーナーですが、この年はザ・ビートルズの名曲メドレーを披露します。「ア・ハード・デイズ・ナイト」「抱きしめたい」「キャント・バイ・ミー・ラヴ」「シー・ラヴズ・ユー」「イエスタデイ」「イエロー・サブマリン」「オブ・ラ・ディ・オ・ブ・ラダ」「ヘイ・ジュード」の8曲メドレーですが、わざわざ歌詞を全部日本語にアレンジしていました。おそらくこのステージ以外、日本語詞で歌う機会は一度も無かったのではないかと思われます。ちなみに「イエローサブマリン音頭」が発売されたのは、この年の11月でした。

 

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