1995年・平成7年は前回に引き続いて古舘伊知郎と上沼恵美子の司会でしたが、J-POP勢を中心に新顔が目立つ年でもありました。またこの年1月17日に起こった阪神淡路大震災に関するコーナーも設けられます。構成は一部例外もありますが、前半ポップスメイン・後半演歌中心とかなりはっきりと区分された回でもあります。
演奏時間&構成表 1(第46回・1995年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 |
フル再生時間 構成 |
1(白1) 白前半1 |
ズルい女 | シャ乱Q | 3分24秒 冒頭+2コーラス |
4分8秒 冒頭+2コーラス+サビ |
2(紅1) 紅前半1 |
碧いうさぎ | 酒井法子 | 3分29秒 2コーラス+サビ2 |
3分47秒 2コーラス+サビ2 |
3(白2) 白前半2 |
DA.YO.NE. | EAST END ×YURI |
3分22秒 冒頭+2コーラス+ラスト |
4分42秒 冒頭+3コーラス+ラスト |
4(紅2) 紅前半2 |
Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~ |
trf | 3分40秒 冒頭+1コーラス+サビ |
4分43秒 冒頭+2コーラス+サビ |
5(白3) 白前半3 |
東京発 | 堀内孝雄 | 2分55秒 2コーラス |
3分59秒 2コーラス+サビ |
6(紅3) 紅前半3 |
捨てられて | 長山洋子 |
2分31秒 1コーラス半 |
4分9秒 2コーラス半 |
7(白4) 白前半4 |
まごころ | 冠 二郎 | 2分54秒 2コーラス |
4分39秒 3コーラス |
8(紅4) 紅前半4 |
ごむたいな | 香西かおり |
2分38秒 1コーラス+サビ |
4分32秒 2コーラス+サビ |
9(紅5) 紅前半5 |
Chase The Chance | 安室奈美恵 | 3分3秒 2コーラス+サビ+ラップ2 |
4分32秒 3コーラス+ラップ2 |
10(白5) 白前半5 |
風になって ~紅白バージョン~ |
TOKIO | 3分26秒 3曲 |
|
風になって | 2分29秒 冒頭+1コーラス+サビ |
4分7秒 冒頭+2コーラス+サビ |
||
LOVE YOU ONLY | 0分13秒 サビ前半 |
3分56秒 冒頭+2コーラス+サビ |
||
うわさのキッス | 0分42秒 サビ一部+間奏 |
3分29秒 2コーラス |
||
11(紅6) 紅前半6 |
北の舟唄 | 伍代夏子 | 2分53秒 2コーラス |
3分48秒 2コーラス+サビ |
12(白6) 白前半6 |
逢いたくてしかたない | 郷ひろみ | 3分18秒 1コーラス半+サビ |
4分22秒 2コーラス半+サビ |
13(紅7) 紅前半7 |
あなたといた時間 | 森口博子 |
3分5秒 冒頭+1コーラス半 |
4分33秒 冒頭+2コーラス半 |
14(白7) 白前半7 |
GET UP BOY | 藤井フミヤ | 2分40秒 冒頭+1コーラス+サビ |
5分2秒 冒頭+2コーラス+サビ |
各ステージ・補足
トップバッターはこの年大ヒット曲を連発、一気に時代を飾る存在になったシャ乱Q。「ズルい女」を冒頭から2コーラス歌唱、最後の間奏~ラストサビカットですがそこまではフルコーラスでした。間奏ではキーボードのたいせーが宙吊りになって縦回転パフォーマンス、思わずバンドであることを忘れそうなステージです。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史)
紅組はアイドル時代に惜しくも出られず、ドラマ『星の金貨』主演かつ主題歌で大ヒットした酒井法子がトップバッター。冒頭イントロは前半がカットされていますが、それ以外はフルコーラス。手話でのパフォーマンスが話題になったドラマ・曲ですが、紅白のステージで披露するのもまた初めてのことになります。
白組2番手はEAST END×YURI、史上初となるヒップホップグループの紅白出場です。曲はブレイクのきっかけになり、方言バージョンが全国展開までされた「DA.YO.NE.」。1番は原曲の歌詞、2番は紅白のために作られたオリジナルラップが披露されます。なおラップミュージックの初ヒットは吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」と言われていますが、このステージの曲紹介の際に本人が登場してさわりだけ披露(正式に紅白で歌われたことは無し)。2番のラップでは、その部分もしっかり反映されています。
trfはこの年3ヶ月連続リリースのシングルが全てミリオン、「Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~」で日本レコード大賞まで受賞しました(紅白のステージは受賞前)。ただ上沼さんの漫談に振り回されたのが原因でしょうか、紅白では少し歌詞を間違えるハプニングも発生します。構成は1コーラス+ラストサビ。終盤はフェイドアウトで終わる原曲と大きく異なり、サビ1回歌った後に間奏が入ってまたサビの繰り返し。歌詞がそれぞれ異なりその順番がやや曖昧、歌詞テロップが合っているのかどうかも分からない状況です。(曲紹介レビュー→紅白名言集解説・24~この機会に海原千里・万里の曲を調べてみました~)
冒頭の大ヒット4曲はいずれも3分台中盤の長いステージですが、ここから立て続けの演歌4連発は演奏時間やや短め。1コーラス半歌唱が多かった堀内孝雄は「東京発」を前回に続けて2コーラス、2番サビは1番と同じ歌詞の歌唱でした。間奏はカット気味、ただアウトロは比較的たっぷり演奏。(ステージレビュー→紅白歌合戦・堀内孝雄の軌跡)
前年ヒットしていたにも関わらずなぜか連続出場できなかった長山洋子ですが、さすがにこの年の「捨てられて」は大ヒットしたので2年ぶりの紅白復帰。歌い出しのフレーズと左手の動きが話題になりました。1995年の演歌では最大級のヒットだったはずですが、なぜか2コーラス歌えず1コーラス半。1番歌唱後の半コーラスは本来の3番(1番の繰り返し)と異なる、2番の歌詞を歌っています。
冠二郎は3年ぶりの紅白復帰。この年は初出場の「酒場」に近い、聴かせる演歌でした。光り物でギラギラしたスーツが眩しいです。間奏カット無しで1番と3番を歌唱。
香西かおりの「ごむたいな」は秋元康・後藤次利コンビの楽曲提供、工藤静香やとんねるずでよく見かける制作陣ですが曲は全く異なるテイスト。しっかり演歌に仕上がっています。ただ構成は長山さん同様こちらも1コーラス半。2番の歌詞は全く歌えず、後半は原曲同様1番の繰り返しでした。ヒットの割に扱いが良くないですが、翌年はそれなりにヒットしているのに関わらず落選という扱い以前の問題が発生しました。
各4組終わった時点で、キッズ向けにNHK子ども番組のキャラクターが大集合。『ブンブンたいむ』『ブーフーウー』『英語であそぼ』『ひょっこりひょうたん島』『にこにこ・ぷん』『ドレミファどーなっつ!』『忍たま乱太郎』から22キャラクターが登場、尻相撲3回戦を古舘さんが実況する内容でした。1分43秒、あっという間の終了です。
攻守交代後は安室奈美恵の初出場ステージ。リリースされたばかりで、この紅白時点でも大ヒット中だった「Chase The Chance」を披露します。ダンサブルで大変迫力のあるステージですが、多忙で当日声の調子が悪かったのでしょうか歌はリップシンク。構成は1番フルで2番はAメロ後半~サビ後半、3番サビは後半のみ。ラップは2回ともフルの披露でした。
TOKIOは2回目出場にして3曲メドレー。「風になって」冒頭サビ→1番Aメロ1回目前半・2回目後半→Bメロ→「LOVE YOU ONLY」サビ前半(キー下げ)→「うわさのキッス」サビ冒頭と終盤→間奏→「風になって」ラストサビ(サビ前半メロディー1回分多め)以降の順番で演奏されました。1ヶ月前にデビューしたばかりのV6、ジャニーズJr.には後に全国区になるメンバーも混じっていて大変賑やかなステージです。ただ翌年以降のCDセールスは後にデビューしながらも紅白に出ない後輩を下回る形で、2001年辺りまでは週刊誌などで色々言われていたものでした。
伍代夏子はじっくり聴かせる演歌「北の舟唄」を2コーラス。間奏もカット無しでしっかり着物を映すショット、演奏時間も2分50秒台に乗せています。
郷ひろみは前年に続くバラード、3部作の最終章「逢いたくてしかたない」。構成も前回に近い1コーラス半、Cメロ前の間奏カット無し。歌唱力で聴かせるステージでした。ここまで12組、演歌以外は全て演奏時間を3分台に乗せてます。
森口博子はミドルテンポですが、伸びのある美しい歌声で聴かせることは共通している「あなたといた時間」。1コーラス半ですがアウトロカット無し、こちらも演奏時間を3分に乗せました。
藤井フミヤはややロック色強めの「GET UP BOY」、意外と過去の紅白で見ることのなかったマイクスタンドを両手で持ちながら歌うパフォーマンス。ただ前年の「DAYS」1コーラスが若干影響したでしょうか、冒頭パートがあるとは言え1コーラス+αのステージはこの年の紅白基準で見るとかなり短さを感じます。(ステージレビュー→紅白歌合戦・藤井フミヤの軌跡)
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