今回は1976年・第27回のステージ演奏時間・構成の一覧を作成します。
前年に比べると賑やかではなく、若干地味めな印象もある紅白ですが、その分非常に見やすい紅白だと個人的には思っています。この年だけに限りませんが、名曲の多さもポイントが高いです。ただ原曲より速い演奏のステージがさらに増えた印象もありました。さて、実際のデータはどうだったのでしょうか…。
演奏時間&構成表 1(第27回・1976年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 |
フル再生時間 構成 |
1(白1) | 針葉樹 | 野口五郎 | 2分34秒 1コーラス半 |
3分44秒 2コーラス |
2(紅1) | 横須賀ストーリー | 山口百恵 | 2分26秒 サビ+2コーラス |
3分55秒 サビ+3コーラス |
3(白2) | 置き手紙 | 細川たかし | 2分18秒 2コーラス |
3分29秒 2コーラス半 |
4(紅2) | 峰子のマドロスさん | 西川峰子 | 1分49秒 2コーラス |
3分16秒 3コーラス |
5(白3) | 踊り子 | フォーリーブス | 2分24秒 2コーラス |
2分48秒 2コーラス |
6(紅3) | 春一番 | キャンディーズ | 2分40秒 2コーラス |
3分20秒 3コーラス |
7(白4) | 苺の季節 | 堺 正章 | 2分34秒 1コーラス半 |
3分52秒 2コーラス |
8(紅4) | 哀しい妖精 | 南 沙織 | 2分17秒 2コーラス |
3分43秒 変則2コーラス |
9(白5) | 嫁に来ないか | 新沼謙治 | 2分23秒 2コーラス |
3分48秒 2コーラス半 |
10(紅5) | 木綿のハンカチーフ | 太田裕美 | 2分39秒 3コーラス |
3分47秒 4コーラス |
11(白6) | 東京砂漠 | 内山田洋と クール・ファイブ |
2分38秒 2コーラス |
3分57秒 2コーラス+サビ |
12(紅6) | ひとり旅 | 佐良直美 | 2分26秒 2コーラス |
3分16秒 2コーラス半 |
13(白7) | 若き獅子たち | 西城秀樹 | 2分30秒 1コーラス+サビ |
4分48秒 2コーラス |
14(紅7) | 雨のサタデー | 和田アキ子 | 2分32秒 2コーラス |
3分13秒 2コーラス |
15(紅8) | 夏にご用心 | 桜田淳子 | 2分9秒 2コーラス |
2分25秒 2コーラス+サビ |
16(白8) | あなたがいたから僕がいた | 郷ひろみ | 2分21秒 2コーラス |
3分23秒 2コーラス半 |
17(紅9) | LA-LA-LA | 研ナオコ | 2分13秒 1コーラス半 |
3分11秒 2コーラス |
18(白9) | あなただけを | あおい輝彦 | 2分29秒 1コーラス半 |
3分23秒 2コーラス |
各ステージ・補足
トップバッターは野口五郎のバラードの名曲「針葉樹」。1コーラス長めなので2番は後半のみですが、間奏アウトロもしっかり入ってテンポ変更も無し。しっかり時間は確保されています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・野口五郎の軌跡)
山口百恵は大ヒット曲「横須賀ストーリー」、オープニングのサビと1番・3番を歌います。こちらはアップテンポということもあって、原曲よりもやや速いリズムになっていました。
2回目の出場の細川たかしは3連符のリズムが印象的な歌謡曲。後ろにいる白組歌手ベンチの動きが面白いです。演歌ですが、リズムはこちらも原曲よりやや速めでした。
同じく2回目の西川峰子は1番+3番・テンポ速めの演奏で1分49秒。1コーラスが短いのでやや気の毒でしたが、歌の前置きで紅組歌手の手旗応援パフォーマンスがありました。そのためステージとしてはそこまで短いという印象ではありません。
フォーリーブスは原曲が短いので、堂々のフルコーラス歌唱でした。ただリズムは原曲と比べるとかなり速いです。ただ踊りが入るアーティストという点で考えると、原曲よりこの紅白の速いテンポの方がハマっているようにも見えます。大ヒット曲ではありませんが、もう少し歌い継がれていても全くおかしくない名曲です。
キャンディーズは実際に歌い継がれている大ヒット曲かつ名曲「春一番」を歌唱。比較的1コーラスの長い曲ですが、1番と2番をしっかり歌い切ってラストも1フレーズ繰り返しありでした。原曲に近いリズム・3人のかわいらしい衣装・工夫を凝らしたステージ演出・決して短すぎない演奏時間や佐良さんの完璧な曲紹介にそもそもの楽曲完成度、あらゆる面で1970年代紅白歌合戦のアイドルステージとして最高レベルの内容ではないかと感じています。
堺正章は明るい本人のキャラクターとは裏腹な聴かせるバラード。ラスト1フレーズ繰り返しありの1コーラス半歌唱でした。
南沙織の「哀しい妖精」はジャニス・イアンの楽曲提供ということもあって、Aメロ+Bメロ2回繰り返しとCメロ+Aメロ2回繰り返しというやや変則的な構成でした。紅白のステージはAメロ+Bメロ2回繰り返し、Cメロ+Aメロは1回のみ。演奏時間は短くありませんが、聴きようによっては1コーラスしか歌っていないようにも見えます。出場歌手3人の豪華なコーラスつきですが、イントロの漫才が歌い出しに被るという副産物もありました。この曲も大ヒットではないものの、ファンからの人気・完成度はともに高い名曲です。(ステージレビュー→紅白歌合戦・南沙織の軌跡)
新沼謙治はレコ大最優秀新人賞受賞曲の「嫁に来ないか」を熱唱。順当に2コーラスでしたが、イントロとアウトロがややカット気味だったのは惜しい所でした。
太田裕美の「木綿のハンカチーフ」は紅白史に語り継がれるレベルの超高速演奏ステージです。ストーリー性の高い歌詞は2コーラスだと足りないということで1番・3番・4番の3コーラス構成になりましたが、その副産物がビックリするくらいの速さになった例のイントロから全開。登場時に太田さんが手拍子を促しますが、本人どころか観客までもその速さについていけないという状況でした。
内山田洋とクール・ファイブは前川さんのソロで後にも3度紅白で歌唱している「東京砂漠」。間奏カット気味でラストの繰り返しも無しですが、1コーラスが長いこともあって演奏時間や原曲テンポはしっかり確保されています。
ウエスタンスタイルのステージになった紅組司会・佐良直美の「ひとり旅」は、1960年代後半ほどではないもののヒットした曲でもありました。生バンドを引き連れてのステージですが、原曲と比べるとテンポは若干速め。演奏時間も意外と短いです。
西城秀樹は2コーラスで4分48秒、当時としては異例の長い曲でした。1コーラスでサビのメロディーが2回繰り返されるので、紅白のステージ構成としては1コーラス+サビ1回という形になります。豪華なコーラスに印象的な演出もあって、ステージは歌唱曲の構成以上に贅沢な内容でした。リズムは原曲通りですが、ラストのサビからアウトロまでは急に速くなる構成になっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・西城秀樹の軌跡)
和田アキ子は圧倒的な声量・小気味良いリズム・派手な衣装・よく分からない衣装を着せられて応援する紅組歌手・意味不明な合いの手と四拍子五拍子?も揃ったステージでした。原曲より相当速いテンポの演奏ですが、歌唱はこちらも元々のリズムよりハマっているように聴こえます。短い曲ということもあって、間奏はカット気味でしたが歌は堂々のフルコーラスでした。
中間審査に王貞治選手(この年通算716本塁打達成)とアグネス・ラムのゲスト出演、桜田淳子の歌唱は前のアッコさんが歌い終わってから5分後でした。「夏のご用心」はこの時代でも非常に短いフルコーラス2分25秒、ステージも当然そうかと思いきやラストのサビ繰り返しはカットでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・桜田淳子の軌跡)
郷ひろみはヒット曲「あなたがいたから僕がいた」を2コーラス。ほぼ原曲通りのテンポですが、間奏は半分ほどカットされていました。
研ナオコはこの年初出場、宇宙人のようなギラギラした衣装で「LA-LA-LA」をダンスを交えながら歌います。これは同時に、中島みゆき提供曲の紅白初歌唱でもありました。テンポは最初からかなり速い上に、後半からさらに速くなるという歌手泣かせな構成。1コーラス半の時点では1分40秒台、最後の”ラララ…”歌唱が30秒近くを占めています。
あおい輝彦は初出場ですが、第16回(1965年)に出場したジャニーズのメンバーなので実際は2回目です。グループ歌手がソロであらためて紅白に出場したのは、彼が初めてでした(参考記事)。生バンド演奏で1コーラス半、テンポはこちらもやや速め。なお演奏時間の計上はバンドの第一音からラストまで、その前の声掛けと歌唱後のやり取り(ドラマで共演した仁科明子の頬にキスするシーン)は含めていません。
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