歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第28回・1977年その1)

 今回は1977年・第28回のステージ演奏時間・構成の一覧を作成します。

 この年は第26回以上にゲスト出演が多く、特にスポーツ関係からは過去にないほどの豪華な面々が勢揃いしました。セットも対戦カードを表示する電光掲示板が登場、海外からダンサーを呼ぶなど確実に予算が潤沢になっています。初出場の面々もフレッシュな新人から超大物俳優までヒット歌手が勢揃い、こちらも大変豪華です。ただ出場歌手のステージや演奏時間に関して言うと、必ずしも良くなったとは言えない紅白でもありました。

 

演奏時間&構成表 1(第28回・1977年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
1(白1)悲しきメモリー郷ひろみ2分9秒
2コーラス
3分13秒
2コーラス半
2(紅1)気まぐれヴィーナス桜田淳子2分10秒
2コーラス
2分55秒
2コーラス半
3(白2)あずさ2号狩人2分8秒
1コーラス
5分0秒
2コーラス半
4(紅2)ウォンテッド(指名手配)ピンク・レディー2分16秒
冒頭+1コーラス半
3分22秒
冒頭+2コーラス
5(白3)ヘッド・ライト新沼謙治2分12秒
2コーラス
3分35秒
2コーラス半
6(紅3)九月の雨太田裕美2分30秒
2コーラス
4分24秒
3コーラス
7(白4)ひとり旅細川たかし2分4秒
冒頭+1コーラス半
3分25秒
サビ+2コーラス半
8(紅4)ギター流して今晩わ西川峰子1分52秒
2コーラス
3分9秒
3コーラス
9(白5)失恋レストラン清水健太郎2分8秒
1コーラス半
3分48秒
2コーラス半
10(紅5)硝子坂高田みづえ2分8秒
2コーラス
3分58秒
3コーラス
11(白6)風の駅野口五郎2分18秒
1コーラス半
4分20秒
2コーラス半
12(紅6)悲恋白書岩崎宏美2分36秒
2コーラス
3分8秒
2コーラス+サビ
13(白7)ボタンを外せ西城秀樹2分21秒
2コーラス
2分57秒
2コーラス+サビ
14(紅7)やさしい悪魔キャンディーズ2分0秒
1コーラス半
3分37秒
2コーラス

各ステージ・補足

 郷ひろみは5回目の出場で初のトップバッター、「悲しきメモリー」を歌唱。若干リズム速めですが、この後にあるいくつかのステージと比べるとはるかにノーマルな構成です。この年は歌以上にドラマ『ムー』での活躍が顕著、樹木希林とのデュエット「お化けのロック」が大ヒットしました。

 桜田淳子も初のトップバッター、「気まぐれヴィーナス」の冒頭から白組男性軍を挑発する歌詞にアレンジ。やや速めのリズムに聴こえますが、原曲との比較では大きな変化を感じません。(ステージレビュー→紅白歌合戦・桜田淳子の軌跡

 狩人はデビューシングルながら大ヒットした「あずさ2号」を歌唱。作曲者であり、現在「蛍の光」指揮担当の都倉俊一が楽団を指揮しています。ただパフォーマンスは非常に残念なことに1コーラスのみ。2コーラス半で5分という長尺なので仕方ない面もありますが、初めて見た時はあまりの構成にビックリしました。

 ピンク・レディーはこの年出す曲全てが大ヒット、紅白の歌唱曲は「ウォンテッド(指名手配)」でした。ケイさんが体調不良から何とか復帰しての舞台でしたが、テンポは全く容赦のない超高速。ダンスは一段と激しくなり、メロディーのない台詞調のBメロは完全に早口言葉状態。構成は冒頭から1コーラス、2番はAメロ前半と早口のBメロで締め。翌年は当時のレコ大受賞歌手としては考えられない出場辞退でしたが、この時の待遇(ステージだけでなく番組全体を通して)が原因の一つだったとも言われています。

 新沼謙治はこの年のヒット曲「ヘッドライト」を歌唱。普通に2コーラス、と言いたい所ですが、イントロと間奏は半分以上カットされています。

 太田裕美もこの年ヒットした「九月の雨」ですが、前回の「木綿のハンカチーフ」ほどではなかったですが2年連続でかなりの高速演奏。しかも当日は喉の調子がかなり悪かった様子で高音の出が良くなく、二重にも三重にも気の毒なステージでした。結果的にそこそこの演奏時間にはなりましたが、3番ラストフレーズの繰り返しはしっかりカットされています。

 細川たかしはこの年も3連符のリズムが印象的な歌謡曲です。冒頭サビと1コーラス、最後にもう1回ラストサビを歌う構成でした。

 西川峰子は1番と3番を歌唱。一応演歌ですが、リズムは少し速くなっています。その結果が2年連続の1分台。

 清水健太郎の「失恋レストラン」は原曲よりかなり速いテンポで高速演奏。ギターを弾く右手が忙しなく動いてます。1コーラスフルと、ラストのBメロを歌唱。

 高田みづえは「硝子坂」で紅白初出場、「失恋レストラン」とは新人対決でした。超高速ではないものの原曲よりは明らかに速い演奏、イントロも後半カットで前半から急に歌パートに入る構成です。1番と3番の歌唱。(ステージレビュー→紅白歌合戦・高田みづえの軌跡

 簡単な応援合戦を経てのステージ、野口五郎の「風の駅」は白組歌手が空手で大ボケをかましてからすぐの演奏開始でした。この年は2コーラス歌えず、1番と2番後半のみの歌唱。間奏もありません。(ステージレビュー→紅白歌合戦・野口五郎の軌跡

 岩崎宏美は「思秋期」が大評判を呼んだ年ですが、紅白で歌ったのはアップテンポの「悲恋白書」でした。ただ構成はラストの繰り返しがカットされる程度で、間奏もバッチリ入る2コーラス。この年の紅白では数少ない、原曲通りのテンポによるほぼフルコーラスの歌唱でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・岩崎宏美の軌跡

 西城秀樹は前年と対照的に2コーラスで2分57秒の短さですが、ステージはこれまた相当なハイテンポでした。ただ本人のパフォーマンスと演出はこちらを原曲にすべきとも思える凄まじい内容、細かくはリンク先のステージレビューを見てもらえれば分かるかと思います。こちらもテンポ以外は間奏も残るほぼフルコーラス、カットはラストのサビ繰り返しとアウトロの前半のみでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・西城秀樹の軌跡

 キャンディーズはいわゆる「普通の女の子に戻りたい」の発言で知られる、解散宣言から5ヶ月後のステージでした。平成以降の紅白ならばメドレーにするなりフルコーラスにする物ですが、この年の紅白はそんな状況でもお構いなし。原曲よりも明らかな超高速テンポ+2番半分以上カットという構成、解散寸前で人気沸騰状態だったことを考えるとあまりにも扱いが酷いような気がしてなりません。せめてもう少し原曲に近いテンポに出来なかったものかと思うのですが…。

 

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