歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第33回・1982年その3)

演奏時間&構成表 3(第33回・1982年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

 その1はこちらその2はこちらを参照してください。

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
36(紅17)聖母たちのララバイ岩崎宏美2分52秒
1コーラス半
4分20秒
2コーラス
37(白17)心の色中村雅俊2分59秒
1コーラス半+ラスト
4分33秒
2コーラス+ラスト
38(紅18)立待岬森 昌子2分33秒
2コーラス
3分38秒
2コーラス半
39(白18)北酒場細川たかし2分49秒
2コーラス
3分48秒
2コーラス半
40(紅19)津軽海峡・冬景色
(1976年)
石川さゆり2分49秒
2コーラス
3分45秒
2コーラス半
41(白19)夫婦春秋
(1967年)
村田英雄2分25秒
2コーラス
4分7秒
3コーラス
42(紅20)おもいで酒
(1979年)
小林幸子2分22秒
2コーラス
3分49秒
3コーラス
43(白20)なみだ船
(1962年)
北島三郎2分29秒
2コーラス
3分25秒
3コーラス
44(紅21)海猫八代亜紀2分52秒
2コーラス
3分51秒
2コーラス半
45(白21)契り五木ひろし4分9秒
冒頭+2コーラス
4分16秒
冒頭+2コーラス
46(紅22)涙の連絡船
(1965年)
都はるみ3分28秒
2コーラス
4分49秒
3コーラス
47(白22)影を慕いて
(1932年)
森 進一4分19秒
2コーラス
4分42秒
3コーラス

各ステージ・補足

 岩崎宏美は大ヒット曲ながら、タイアップの関係でこれがNHK初歌唱となった「聖母たちのララバイ」。1コーラス後、間奏無しで2番サビ~ラストに移る構成です。例年以上に年末多忙のため喉の調子が悪く、当日はキーを下げていました。テンポも妙に速く、アレンジもキーボード音がやけに強いです。そのためか後年のNHKでこの曲を振り返る際は、別の歌唱映像を使うことが多いような気がします。(ステージレビュー→紅白歌合戦・岩崎宏美の軌跡

 ヒット曲多数の中村雅俊は、意外にもこれが白組歌手として唯一の紅白出場。こちらもドラマ主題歌でヒットした「心の色」を歌います。バックバンドにはコーラスも従える豪華仕様、ストリングスは白組オケの演奏でした。間奏無しの1コーラス半でラストパート1回、それでも3分近い演奏時間は確保。もしかすると他の年で紅白に出なかった要因は、ステージを作る上での条件が合わなかったことかもしれません。

 前回初の紅組トリだった森昌子は、こちらも寒冷地の光景が思い浮かぶ名曲「立待岬」。「せんせい」「おかあさん」を歌う純朴な女学生は、いつの間にか哀愁の似合う曲がよく似合う演歌歌手になりました。

 「北酒場」がデビュー曲以来の大ヒットになった細川たかしは、この年日本レコード大賞を受賞。紅白は原曲よりキー上げ&テンポ少し速めという、盛り上がり重視の編曲でした。

 石川さゆりは6回目の出場にして早くも「津軽海峡・冬景色」を歌唱。イントロのメロディーに合わせて、観客席から何度も”さーゆりー!”コールが起こります。初出場の時より間奏やアウトロが長くなっている部分に、歌手としての格が上がっていることを感じさせます。演奏時間は当時と比較して25秒の増加でした。

 村田英雄が歌う「夫婦春秋」は1967年発表の曲ですが、1979年に当時の新曲「人生峠」とともに有線中心にリバイバルヒットしました。男らしさを強調する演歌の多い村田先生ですが、この時期の紅白では夫婦演歌を歌う機会も多いです。

 小林幸子は3年前の初出場曲「おもいで酒」を選曲。こちらは3年前と大きく変わらず、演奏時間は2秒短くなっています。

 北島三郎は自身初のヒット曲となった「なみだ船」を歌唱、1962年は紅白に出られずでした。20年前の曲ということもあって、キーは当時より少し下げています。1番と3番の歌唱。大変有名な曲、最終的には計50回出場しているサブちゃんですが、「なみだ船」を紅白で歌ったのはこの1回のみです。

 八代亜紀は『あなたのメロディー』から生まれた「海猫」を歌唱、この年発表の楽曲です。八代さんの声質によく合うストーリー性豊かな本格演歌ですが、この時期辺りからレコードセールスは上がらなくなっています。

 五木ひろしは代表曲の一つになった「契り」を歌唱、冒頭はアコースティックギターのみでほぼアカペラに近いアレンジでした。1コーラス長めの曲ですが構わず2コーラス、サビも繰り返しありで完全フルコーラス。名曲紅白というコンセプトが無ければ、間違いなくこの年の大トリだったものと思われます。(ステージレビュー→紅白歌合戦・五木ひろしの軌跡

 都はるみは初出場の時の歌唱曲「涙の連絡船」、紅白では第24回でも歌っているので9年ぶり3回目。トリのステージは「北の宿から」の歌い出しが登場時に加わるアレンジです。過去2回と同様1番と3番を歌唱、ただ演奏時間は登場曲とアウトロのアレンジで大幅に長くなりました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・都はるみの軌跡

 大トリの森進一も約20秒の登場曲を含めた演奏時間とします。「影を慕いて」は1932年に藤山一郎が歌った曲ですが、1968年に自身のカバーが話題を呼んだ曲でもあります。原曲が3分33秒に対して森さんのカバーは4分42秒と相当テンポ遅め、ただ紅白はそれよりも更に遅いテンポで森さんの歌唱を際立たせていました。フルコーラスではなく1番と3番のみですが、これで4分超えのアレンジ。いわゆる”侘び寂び”をこれだけ徹底的に表現したステージは、他の紅白に存在しません。時代の流れを考えると、今後もまず出て来ないのではないでしょうか。

第33回(1982年)・まとめ

演奏時間ランキング(企画コーナーは除外)

順位曲順楽曲アーティスト演奏時間
147(白22)影を慕いて森 進一4分19秒
245(白21)契り五木ひろし4分9秒
332(白15)6番目のユ・ウ・ウ・ツ沢田研二3分41秒
417(白8)愛の讃歌菅原洋一3分36秒
546(紅22)涙の連絡船都はるみ3分28秒
4230(白14)ああ上野駅西田敏行2分6秒
4316(紅8)夏をあきらめて研ナオコ2分5秒
4420(紅10)伊勢佐木町ブルース青江三奈1分56秒
4521(白11)有楽町で逢いましょうフランク永井1分54秒
4626(白12)新雪新沼謙治1分44秒

 この年は非常に演奏時間の落差が激しく、4分台が2曲・1分台が3曲。キャリアよりも、当落線上かどうかで演奏時間を決めたようにも見えます。全ステージ平均は2分36秒、これは前回とほぼ同水準でした。

フルコーラス歌唱(間奏・アウトロ・フェイドアウトは除く)

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
15(白7)チャコの海岸物語サザンオールスターズ2分51秒
2コーラス半
3分36秒
2コーラス半
19(白9)君といつまでも加山雄三2分41秒
1コーラス半+台詞
3分20秒
1コーラス半+台詞
45(白21)契り五木ひろし4分9秒
冒頭+2コーラス
4分16秒
冒頭+2コーラス

 フルコーラス歌唱は3曲、特に五木ひろしは完全フルでした。

テンポアップが目立ったステージ

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
4(白2)誘惑スレスレ田原俊彦2分45秒
冒頭+2コーラス
3分27秒
冒頭+2コーラス+サビ
6(白3)ホレたぜ!乾杯近藤真彦2分40秒
2コーラス
3分12秒
2コーラス+サビ
8(白4)聖・少女西城秀樹2分46秒
2コーラス+サビ
4分14秒
2コーラス半+サビ
10(白5)哀愁のカサブランカ郷ひろみ2分33秒
1コーラス半
4分35秒
2コーラス
18(紅9)コモエスタ赤坂ロス・インディオス
&シルヴィア
2分10秒
2コーラス
3分33秒
3コーラス
20(紅10)伊勢佐木町ブルース青江三奈1分56秒
2コーラス
3分21秒
3コーラス
21(白10)有楽町で逢いましょうフランク永井1分54秒
2コーラス
3分34秒
3コーラス
36(紅17)聖母たちのララバイ岩崎宏美2分52秒
1コーラス半
4分20秒
2コーラス

 第28回や第31回みたいに極端なステージは無かったですが、全体的にこの年は演奏が走り気味に聴こえました。

バンドスタイルのステージ

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
14(紅7)ウエディング・ベルシュガー2分34秒
冒頭+2コーラス
3分25秒
冒頭+3コーラス
15(白7)チャコの海岸物語サザンオールスターズ2分51秒
2コーラス半
3分36秒
2コーラス半
32(白15)6番目のユ・ウ・ウ・ツ沢田研二3分41秒
2コーラス
4分14秒
2コーラス+サビ
37(白17)心の色中村雅俊2分59秒
1コーラス半+ラスト
4分33秒
2コーラス+ラスト

 専属バンド持ち込みは前回と変わらず4組。中村雅俊の場合は前年の寺尾聰に近いスタイル、と言っていいでしょうか。

 

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