演奏時間&構成表 4(第41回・1990年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 |
フル再生時間 構成 |
31(白16) 白後半7 |
恋唄綴り | 堀内孝雄 | 2分47秒 2コーラス |
3分50秒 2コーラス半 |
32(紅16) 紅後半7 |
ここに幸あり | 大津美子 | 2分26秒 2コーラス |
3分35秒 3コーラス |
33(白17) 白後半8 |
いつでも夢を | 橋 幸夫 | 2分51秒 2コーラス |
3分49秒 2コーラス半 |
34(紅17) 紅後半8 |
ふりむけばヨコハマ | マルシア | 2分26秒 1コーラス半 |
4分11秒 2コーラス+サビ |
35(白18) 白後半9 |
釜山港へ帰れ | チョー・ヨンピル | 2分49秒 2コーラス |
4分29秒 2コーラス+サビ |
36(紅18) 紅後半9 |
知床旅情 | 加藤登紀子 | 2分26秒 2コーラス |
3分16秒 3コーラス |
37(白19) 白後半10 |
風に立つライオン | さだまさし | 6分19秒 2コーラス |
8分52秒 2コーラス |
38(紅19) 紅後半10 |
天命燃ゆ | 小林幸子 | 3分7秒 2コーラス |
4分21秒 2コーラス半 |
39(紅20) 紅後半11 |
ぼだい樹 | 鮫島有美子 | 4分9秒 4コーラス |
4分39秒 4コーラス |
40(白20) 白後半11 |
明日に架ける橋 | ポール・サイモン | 4分41秒 3コーラス |
4分53秒 3コーラス |
41(紅21) 紅後半12 |
ぐい呑み酒 | 川中美幸 | 2分37秒 2コーラス |
4分31秒 3コーラス |
42(白21) 白後半12 |
酔歌 | 吉 幾三 | 2分45秒 2コーラス |
4分51秒 3コーラス+サビ |
43(紅22) 紅後半13 |
蛍 | 松原のぶえ | 2分32秒 2コーラス |
4分42秒 3コーラス |
44(白22) 白後半13 |
うかれ節 | 細川たかし | 2分41秒 4コーラス |
4分34秒 6コーラス |
45(紅23) 紅後半14 |
忍ぶ雨 | 伍代夏子 | 2分21秒 2コーラス |
4分8秒 3コーラス |
46(白23) 白後半14 |
WE ARE G-CLEF | G-CLEF | 2分55秒 | 3分52秒 |
各ステージ・補足
堀内孝雄は自身最大ヒットを記録、歌謡曲・演歌部門で日本レコード大賞を受賞した「恋唄綴り」ですが、イントロが一節短くなっています。曲順も正直申し上げるとかなり中途半端ですが、さすがに大ヒット曲。1コーラス半しか歌えなかった前回までと異なり、間奏も含めた2コーラスを”サンキュー!”を混ぜつつの熱唱でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・堀内孝雄の軌跡)
大津美子は第13回以来28年ぶりの出場、したがって彼女が出場した紅白では唯一映像が現存する形となっています。1956年に発表された「ここに幸あり」はアジア各国やブラジルなどでもスタンダードになっている曲ですが、意外にも紅白ではこれが初歌唱でした。大人数の女性合唱団をバックに歌うステージ、したがって原曲とは編曲が大きく異なっています。声もかなりキーを下げたハスキーボイスになっている様子でした。1番と3番の歌唱。
14年ぶり紅白出場の橋幸夫は、ブラジル・サンパウロ劇場からの中継出演でした。「いつでも夢を」の歌唱は20年ぶり3回目、過去2回と同様デュエットではないソロバージョンです。後半は現地の子どもたちのコーラスが入る編曲、最後は2番ではなくラストサビの歌詞を採用する構成でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・橋幸夫の軌跡)
ブラジルからの中継、もう1組は祖国からの生中継となったマルシア。家族も見守る中、涙を流しながらの熱唱でした。ただ歌はイントロも間奏もカットあり、2コーラスさえも歌えない1コーラス半。確かにデビュー2年目で前の年のヒット曲ではありますが、もう少し歌わせてあげて欲しかった所です。
チョー・ヨンピルは4年連続出場ですが、この年は韓国からの中継でした。日本でも大ヒットした「釜山港へ帰れ」を、全編韓国語で2コーラス歌います。「世界最大の屋内遊園地」とロッテワールドの名称を避けてアナウンス、最後は公式マスコットと一緒に手を振るのが映った瞬間にカメラが切り替わります。歓声の入り方がやや不自然、ブラジルは生中継でしたがこちらは録画の可能性が高いです。
2年連続の加藤登紀子、この年は初出場の時に歌った「知床旅情」を19年ぶりに紅白で歌唱。1番は椅子に座ってギターを弾きながら、3番(2番はカット)は立ってマイクを持つノーマルなスタイル。なお紅白では原作者の森繁久彌も第13回(1962年)で歌唱済、したがって回数で言うとこれが3回目となります。
10年ぶりの紅白出場となったさだまさし。世界規模の紅白歌合戦ということで、歌もそれに相応しい1987年発表の「風に立つライオン」。イントロの民族楽器部分とアウトロの「Amazing Grace」の一部はカットされていますが、歌はフルコーラス。「関白宣言」「防人の詩」の4分台を超える6分19秒は、1曲のステージにおける当時の最長記録です。
小林幸子はこの年発表の「天命燃ゆ」ですが、いよいよ歌よりも衣装がメインになり始めました。炎をイメージした衣装はかなり重たく、全長2メートル60センチあるそうです。いよいよ自力で動くことが出来なくなり、歌唱後総合司会の松平アナから「歩くセット」呼ばわりされるようになりました。歌は2コーラスですが、2番のサビは本来の歌詞ではなくラストサビ歌唱になっています。12年連続出場ですが、初めて終盤コーナーよりも早い時間帯・曲順でした。
日本各地の夜景を映像で紹介後、ドイツ・ベルリンのゲツェマネ教会から中継が入ります。ここから鮫島有美子が、ドイツ人にアンケートした21世紀に伝えたい歌・1位のシューベルト・「ぼだい樹」を歌唱。ベルリン放送少年少女合唱団、オーケストラにペーター・シュライアーの指揮という豪華さ、歌は2番日本語それ以外ドイツ語での歌唱でした。放送内での言及はありませんが、事前のやり取りなどから推測する限り間違いなく録画映像です。
ポール・サイモンは日本でもおなじみ、サイモン&ガーファンクル時代の大ヒット曲「明日に架ける橋」をニューヨークの劇場から歌唱。その映像は生中継でないどころか、自身のワンマンライブのをそのまま紅白に回したという雰囲気の内容でした。楽曲とステージは言うまでもなく素晴らしいですが、わざわざNHKホールまで来日して紅白のためのステージを魅せてくれたシンディー・ローパーと比べると…。ただこの年は同じような海外の大物にオファーするもことどく撃沈、そう考えると映像とは言え出演してくれるだけでもありがたい話であったことは間違いありません。
放送時間残り1時間5分ですが、まだ紅白各9組・全18組も残っています。というわけでここからは演歌中心にタイトな構成になりました。中継からほぼ合間無く登場した川中美幸は3年ぶりの紅白出場。「ぐい呑み酒」の1番と3番を歌唱、言うまでもなく間奏はカットされる部分が多めです。
吉幾三は髭を蓄えての登場でした。ヒット曲「酔歌」の1番と3番を歌唱。こちらも間奏短め、そもそも演奏開始も前ステージが終わってほとんど間が無い余裕の無さです。
松原のぶえも前回出られずなので2年ぶり、「蛍」は自身最大のCDセールスを記録したヒット曲です。聴かせる演歌を1番・3番の2コーラス。これもまた間奏短め、前ステージ終わってすぐ演奏開始というタイトな進行です。
細川たかしは花柳糸之社中の踊りがあるので、前の3ステージよりは曲紹介に時間が取られています。間奏も決められた振り付けがない分、カットしていないというより出来ないという状況でした。その代わりに、明るいテイストということもあって演奏テンポがものすごく速いです。1コーラスが短い曲で、原曲は6コーラス。ステージは1番・2番・5番・6番の歌唱(実質3コーラスフルで2コーラス歌唱)。
伍代夏子はこの年「忍ぶ雨」が大ヒットしての初出場ですが、演奏開始は細川さんの歌唱後全く間が無し。それらしい前置きがこれだけ何ひとつない初出場も、滅多にありません。歌も間奏がかなりカット気味、これで1番と3番の2コーラス。ただその後は息の長い活躍、この曲も19年後に紅白で再び歌う機会に恵まれました。
東京藝術大学の学生で結成されたG-クレフはヴァイオリンやピアノを中心にしたインストゥルメンタルユニット、紅白歌合戦では過去に例の無いステージでした(ただ前身の1945年大晦日『紅白音楽試合』では演奏のみの出演が複数あり)。ヴァイオリンパートの2人は客席内も含めて縦横無尽に動き回る、ただ聴かせるだけとは違うエンタメ性満点のステージを展開します。なおメンバーはその後もソロで音楽活動を継続、映画音楽にサポートメンバーなど多くの実績あり。中には全く別の形で紅白歌合戦に出演している方もいらっしゃいます。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史(1990年代編前半))
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