アナウンサー司会5名、出場歌手各31組ずつ計62組。2003年・第54回紅白は空前絶後と言っても良いほど出演者の多い回でした。紅白合同ステージ・中継ステージ・紅白どころかテレビで歌うのが初めてという出場歌手などトピックスも非常に豊富な分、進行に余裕を作れず慌ただしさを感じる回でもありました。ただこれだけ多くの出来事があったものの、終わってみれば全ては大トリの国民的名曲に集約される内容でもあります。あらためて振り返っても歴代の紅白歌合戦で、もっとも異例度が高かったのはこの回ではないかと思います。
演奏時間&構成表 1(第54回・2003年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 |
フル再生時間 構成 |
1(紅1) 紅前半1 |
DOUBLE | BoA | 2分33秒 2コーラス |
3分27秒 2コーラス半 |
2(白1) 白前半1 |
Long Road | w-inds. | 2分51秒 1コーラス半 |
5分15秒 2コーラス半+サビ |
3(紅2) 紅前半2 |
オリビアを聴きながら | 後藤真希 | 2分59秒 1コーラス+サビ |
4分39秒 2コーラス+サビ(原曲) |
4(白2) 白前半2 |
空に唄えば | 175R | 3分1秒 1コーラス半 |
4分19秒 2コーラス |
5(紅3) 紅前半3 |
FULL JUMP | 愛内里菜 | 2分57秒 冒頭+1コーラス半 |
4分17秒 冒頭+2コーラス半 |
6(白3) 白前半3 |
Choo Choo TRAIN | EXILE | 2分24秒 冒頭+1コーラス+サビ |
4分44秒 冒頭+2コーラス+サビ2 |
7(紅4) 紅前半4 |
じょんから女節 | 長山洋子 | 3分6秒 2コーラス |
4分42秒 3コーラス |
8(白4) 白前半4 |
みちのくひとり旅 | 山本譲二 | 2分19秒 1コーラス+ラスト |
3分48秒 2コーラス+ラスト |
9(紅5) 紅前半5 |
鳥取砂丘 | 水森かおり | 2分34秒 1コーラス半 |
5分11秒 3コーラス |
10(白5) 白前半5 |
函館本線 | 山川 豊 | 2分16秒 1コーラス半 |
3分55秒 2コーラス半 |
11(紅6) 紅前半6 |
無言坂 | 香西かおり | 2分23秒 1コーラス+サビ |
4分30秒 2コーラス+サビ |
12(白6) 白前半6 |
東京砂漠 | 前川 清 | 3分7秒 2コーラス |
3分57秒 2コーラス+ラスト |
13(紅7) 紅前半7 |
Go Girl ~恋のヴィクトリー~ | モーニング娘。 | 2分58秒 冒頭+1コーラス半 |
4分8秒 冒頭+2コーラス半 |
14(白7) 白前半7 |
Last Song | Gackt | 2分58秒 1コーラス半 |
5分26秒 2コーラス半+サビ |
15(紅8) 紅前半8 |
ね~え? | 松浦亜弥 | 2分11秒 冒頭+1コーラス半 |
3分28秒 冒頭+2コーラス半 |
16(白8) 白前半8 |
君は薔薇より美しい | 布施 明 | 3分14秒 2コーラス |
3分42秒 2コーラス+サビ |
各ステージ・補足
トップバッターは2回目出場のBoA、クールなダンスナンバー「DOUBLE」から始まります。1番と2番の2コーラス、歌詞無しで歌い上げるアウトロで締める構成です。
w-inds.は2年連続トップバッター、天井とセリから登場する派手なスタートでした。歌はアップテンポの「Long Road」をラップ含めた1コーラス半。
後藤真希はオーディションで歌ったという杏里の「オリビアを聴きながら」、オリジナルのシングル曲も色々ある中でまさかの選曲でした。「LOVEマシーン」の冒頭音で早々に赤から白のドレスに早替え、さらに間奏でへそ出し+ホットパンツの衣装に早替え。バラードを歌うとは全く思えないセクシーさで、歴代の紅白でも相当な上位に入る謎ステージでした。
175Rはオリコン週間1位を獲得したヒット曲「空に唄えば」。いわゆる青春パンクと呼称される楽曲で、この年は彼らに限らずこのジャンルのヒット曲が多く生まれました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史)
愛内里菜は冒頭のサビが紅白独自のアレンジ、5メートル以上はあるスカートの中に高台セットを隠す張り切りようでした。ただ派手な衣装は冒頭だけで、あとはアップテンポで盛り上がる「FULL JUMP」を歌いやすい衣装で歌唱。1コーラス半、曲は実際のCD売上よりも特にネット上で知名度の高さを誇っています。
EXILEは当時デビュー3年目、初期メンバーの6人でめでたく紅白初出場。HIROが所属していた「Choo Choo TRAIN」のカバーが大ヒット、ZOOは紅白に出場していないので楽曲もこれが初歌唱となります。冒頭+1コーラス半の構成ですが、繰り返しのあるAメロ~Bメロは1回目A+2回目Bに短縮。サビの歌唱も転調パート無しの1回のみで、大ヒット曲のはずですがかなりの短尺ステージになっています。
紅白4組目~6組目は石坂浩二の朗読による曲紹介、「歌の旅」コーナーとして6ステージ連続コーナーになります。まずは長山洋子が津軽三味線を弾きながら「じょんから女節」を熱唱。1番と3番の2コーラス、間奏では長山さんのソロ演奏も入っています。
津軽三味線の演奏が場を繋いだ後、山本譲二が紅白で初出場以来22年ぶりに「みちのくひとり旅」を歌唱。ヒット当時と比べてキーを少し下げ、リズムも若干遅らせて歌っている様子です。歌詞構成は初出場の第32回と同様、演奏時間はまさかの当時より4秒短めでした。
水森かおりは念願の初出場ですが、全くそんな配慮無しでコーナーに押し込まられる非常に気の毒な扱いです。「鳥取砂丘」2コーラス…と言いたいところでしたが、こちらも間奏無しの1コーラス半に短縮。過去曲ならともかくこの年を代表するヒット曲なので、今考えてもちょっとどうかと思えるステージでした。
山川豊はデビュー曲ながらヒットした1981年の「函館本線」を紅白で初歌唱。冒頭に汽笛のSEが鳴る演出でした。こちらも2コーラス歌えず、2番はBメロからの歌唱。全体でも第48回以来となる、相当短い歌唱時間になっています。
香西かおりの「無言坂」は3年前にも歌唱、やや短いスパンの選曲です。アウトロが若干短くなった分歌唱時間は5秒減、ちょっと工夫がない選曲だったという印象もあります。
前川清も「東京砂漠」は4年前に歌唱、当時は前半大トリだったので歌唱時間も今回は7秒減。最後の繰り返しがサビ後半フレーズ1回のみになりましたが、アウトロがトリらしいアレンジに変更されていました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・前川清の軌跡)
とにかくこの年の紅白特に前半はタイトな構成なので、ここ3年メドレーだったモーニング娘。もこの年は「Go Girl ~恋のヴィクトリー~」1曲のみ。CD売上がこの年あたりから急減していた影響もありましたが…。観客席にいるファンの声援は非常によく聴こえますが、リップシンクのパフォーマンスや1人あたりのソロカット数の少ないカメラショットはこれまでと比べて格段に扱いが悪いです。冒頭+1番Aメロ・Bメロでサビに至らず間奏突入、早替えを経てラストBメロ~サビの構成。(ステージレビュー→紅白歌合戦・モーニング娘。の軌跡)
Gacktはモー娘。からほとんどインターバル無し、2階席に作られたステージでギターを弾きながらの歌唱。サポートメンバーもこの年は2階での演奏、ギター2名のみの参加です。バラードの「Last song」を1コーラス半、ラストサビは2回目のみの歌唱でした。
松浦亜弥は本人出演のCMソングも印象的だった「ね~え?」を歌唱、括弧文字による感情表現が歌詞に入る曲でした。NHKの各キャラクターも踊りに参加、賑やかなステージです。ラストのサビ繰り返しがカットで1回のみ、元々短い曲ということもあって持ち時間は非常に少なめ。2分11秒は第43回の鳥羽一郎「兄弟船」(2分10秒)以来11年ぶり、新曲としてはその前年の西田ひかる「ときめいて」(2分3秒)以来の短さです。(ステージレビュー→紅白歌合戦・松浦亜弥の軌跡)
布施明は2年ぶり出場ですが、「君は薔薇より美しい」の紅白歌唱は24年ぶり。ヒット当時よりキーは下げていますが、抜群の声量はまだまだ健在であることを見せつけています。原曲とは異なるメロディーの間奏が加わる2コーラス、テンポもやや速めでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・布施明の軌跡)
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