前年の低視聴率を受けてこの年は大改革。スキウタと称する戦後60年の楽曲アンケートに基づく曲目選定・NHK出演が滅多にないみのもんたの司会起用、演歌の過去曲をトップに置く曲順、前例にとらわれない歌手選出など。非常に思い切りの良い攻めた紅白ですが、その一方過去曲の比率が高くなり、特にベテラン勢は紅白でその年の楽曲を歌う機会が一気に少なくなりました。
演奏時間&構成表 1(第56回・2005年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 |
フル再生時間 構成 |
1(白1) 白前半1 |
北酒場 | 細川たかし | 2分55秒 2コーラス |
3分48秒 2コーラス半 |
2(紅1) 紅前半1 |
二輪草 | 川中美幸 | 2分37秒 2コーラス |
4分23秒 3コーラス |
3(紅2) 紅前半2 |
Delightful | 鈴木亜美 | 2分19秒 1コーラス+サビ |
4分21秒 2コーラス+サビ |
4(白2) 白前半2 |
男の出船 | 北山たけし | 2分31秒 2コーラス |
4分17秒 3コーラス |
5(紅3) 紅前半3 |
五能線 | 水森かおり | 2分30秒 1コーラス半 |
4分37秒 3コーラス |
6(白3) 白前半3 |
十六夜の月 | w-inds. | 2分27秒 冒頭+1コーラス |
5分31秒 冒頭+2コーラス半 |
7(紅4) 紅前半4 |
ふたりの大漁節 | 坂本冬美 | 2分37秒 1コーラス半 |
5分9秒 3コーラス |
8(白4) 白前半4 |
少年よ | 布施 明 | 2分42秒 2コーラス+サビ |
3分51秒 2コーラス半+サビ |
9(白5) 白前半5 |
桜 | コブクロ | 2分27秒 1コーラス+サビ |
6分0秒 2コーラス+ラスト |
10(紅5) 紅前半5 |
気がつけば好きすぎて♪ 盛り上がって♪LOVEマシーン! |
松浦亜弥 DEF. DIVA モーニング娘。 |
6分42秒 3曲 |
|
気がつけば あなた | 松浦亜弥 | 1分47秒 冒頭+1コーラス |
4分44秒 冒頭+2コーラス+サビ |
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好きすぎて バカみたい | DEF. DIVA | 1分22秒 1コーラス |
4分44秒 冒頭+2コーラス+サビ |
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LOVEマシーン | モーニング娘。 | 3分33秒 2コーラス+サビ2 |
5分1秒 2コーラス+サビ2 |
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11(白6) 白前半6 |
One Night Carnival | 氣志團 | 3分18秒 2コーラス |
4分58秒 2コーラス+ラスト |
12(紅6) 紅前半6 |
抱きしめる | BoA | 2分28秒 1コーラス半+台詞 |
3分34秒 2コーラス半+台詞 |
13(白7) 白前半7 |
ひとり | ゴスペラーズ | 2分21秒 1コーラス半 |
3分37秒 2コーラス半 |
14(紅7) 紅前半7 |
芭蕉布 | 長山洋子 | 2分46秒 2コーラス |
4分40秒 3コーラス |
15(白8) 白前半7 |
風花 | 森山直太朗 | 3分16秒 1コーラス半+サビ |
5分47秒 2コーラス半+サビ |
16(紅8) 紅前半7 |
むらさき雨情 | 藤あや子 | 2分54秒 2コーラス |
5分1秒 3コーラス |
各ステージ・補足
久々の白組先攻、久々のバックに出場歌手全員集合ステージ。若手の新曲が定石になっていた紅白歌合戦で、トップバッターが過去曲という光景は考えられないことでした。細川たかしの「北酒場」は23年ぶり2回目、非常に賑やかなオープニングアクトです。1番と2番の2コーラス、キーはなんと23年前より少し上がっています。
川中美幸も同様のスタイルで「二輪草」、こちらはヒットした1998年以来7年ぶりの歌唱です。1番と3番の2コーラス歌唱は当時と同様、ただこの時点で既に歌い方がやや字余り気味になっています。
なんと2組目の時点で早くも攻守交代。今では特に珍しくありませんが、当時はこれも前例のない演出でした。紅組2番手はこの年ようやく歌手復帰となった鈴木亜美「Delightful」、5年前とは異なるダンサブルで格好良いステージを展開します。1番とラストサビの歌唱。大きく過不足のない構成ですが、演奏時間はかなり短めです。
北山たけしは再デビュー2年目で初出場、先輩の白組歌手の応援を受けて「男の出船」を歌います。演奏開始の音が前ステージの終わりと若干被りかけています。1番と3番の2コーラス、間奏かなりカット気味。
間を空けず始まったのは水森かおり「五能線」。この時点で女性演歌ではNo.1のCD売上を記録していますが、構成はまさかの1番+3番Bメロ以降の1コーラス半。間奏もかなりカット気味ですが、イントロはカット無しでした。
w-inds.の「十六夜の月」はバラード、前回の「四季」以上に聴かせるステージです。確かに1コーラスがやや長い楽曲ですが、まさか冒頭と1番だけで終了になるとは思いませんでした。ここまでほぼ2分台前半、終わりの音も次のステージのコーラスが被っていて、初っ端からやけに余裕がありません。
坂本冬美はこの年リリースの「ふたりの大漁節」。22時以降の出番が定石の中、19時台でのステージは初でした。当然2コーラスと思いきや3番はBメロ以降の1コーラス半。この紅白あたりから、演歌で2コーラス歌えなくなる事例が多くなり始めます。
布施明は『仮面ライダー響鬼』のメインテーマ「少年よ」を力強く歌唱。仮面ライダーの紅白出演は過去にも何度かありますが、さすがに当代の主演俳優がサプライズ出演するのは史上初でした。2コーラス・最後はサビ2回繰り返し。ロングトーンで締める終わり方は原曲と同じです。(ステージレビュー→紅白歌合戦・布施明の軌跡)
コブクロは結成当時から大切にしている「桜」を歌唱。シングルリリースはこの年11月、楽曲の知名度が上がったのもこの時期でした。ただイントロ無し・Aメロ2回目カット・サビは1番1回目+2番2回目+ラスト2回。”Love”のアカペラで締める形で締めのAメロも演奏無し。時間内に納めるためとは言え、構成はこの当時の紅白だと考えられないほどの酷さでした。黒田さんも歌詞が飛ぶ場面があって散々、ただ翌年以降はさらに大ヒットして扱いの良い時間帯に移ります。
ハロプロ勢は3組合同ステージ、モーニング娘。は卒業メンバーも合流しての豪華な内容でした。「気がつけば あなた」は冒頭+1コーラス(間奏一部カット)、「好きすぎて バカみたい」は1コーラス、「LOVEマシーン」はOG1番(Aメロ後半カット)・現役2番(Aメロ後半カット)・合同ラストサビ。3曲合同で6分半、かなりの時間を取る形になっています。なお「LOVEマシーン」はこの年のアンケート企画スキウタで紅組1位でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・モーニング娘。の軌跡、紅白歌合戦・松浦亜弥の軌跡)
氣志團「One Night Carnival」は2年連続、今回は裏番組の格闘技オマージュステージでした。演奏の構成は前回と同じ、台詞の内容は少し変わっています。オープニングSEは0分24秒、これを含めると演奏時間は3分44秒になります。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史)
BoAは4回目の出場ながら過去一激しいダンスナンバーの「抱きしめる」。イントロカット、台詞つきの1コーラス半。スピード感のある楽曲ですが、演奏時間も見事なほどにスピード勝負でした。
ゴスペラーズはこの年シングルリリース無し、曲も必然的に過去曲になります。初出場の時に歌った「ひとり」を再唱。もっとも今回2番はまるまるカット、そのため演奏時間も思いのほか短くなっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・ゴスペラーズの軌跡)
長山洋子は演歌でなく古くから伝わる沖縄民謡「芭蕉布」、この年のシングル「嘘だといって」B面収録曲です。三味線の演奏は3年連続、後ろでは夏川りみの三線演奏もあります。1番と3番の2コーラスでラストフレーズは2回繰り返し、3番は沖縄の方言が特に多いパートでした。
森山直太朗は連続テレビ小説『風のハルカ』主題歌の「風花」を歌唱、出演俳優4人からの応援がありました。1番Aメロ後半カットの1コーラス半、そこから間奏を経てCメロに至ります。たださすがにNHKのタイアップ曲なのでラストサビはちゃんと2回繰り返し。演奏時間も何とか3分台に乗せています。
14年連続出場の藤あや子は紅白で初の過去曲、「むらさき雨情」を12年ぶりに歌います。1番と3番の2コーラス、これは2番を歌った第44回と異なる構成です。イントロで少しカットがあるため、演奏時間は12年前より短いです。演奏前に若手舞踊家・我風の演舞が20秒、これを含めると演奏時間は3分15秒になります。
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