いよいよ、ようやく?1980年代の紅白です。今回は1980年・第31回のステージ演奏時間・構成の一覧を作成します。
新しい年代に入ったということもあって、特に前半は若々しいフレッシュな顔ぶれが揃いました。ヒット曲も終盤以外はほぼ前半に固まっています。先攻後攻をくじ引きで決めた年で台本も2種類用意される画期的な内容でしたが、その副産物もまた前半のステージで多く現れる紅白歌合戦になりました。
演奏時間&構成表 1(第31回・1980年)
演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。
曲順 | 楽曲 | アーティスト | 演奏時間 構成 | フル再生時間 構成 |
1(白1) | How many いい顔 | 郷ひろみ | 2分30秒 2コーラス | 3分4秒 2コーラス半 |
2(紅1) | ROBOT | 榊原郁恵 | 2分27秒 2コーラス半 | 3分22秒 2コーラス半 |
3(白2) | 哀愁でいと | 田原俊彦 | 1分46秒 2コーラス+サビ | 2分46秒 2コーラス+サビ繰返 |
4(紅2) | 青い珊瑚礁 | 松田聖子 | 2分11秒 冒頭+1コーラス+サビ | 3分41秒 冒頭+2コーラス |
5(白3) | コーラス・ライン | 野口五郎 | 2分52秒 1コーラス+サビ3 | 4分43秒 1コーラス半+サビ3 |
6(紅3) | ハートで勝負 | 石野真子 | 2分28秒 冒頭+1コーラス半 | 3分37秒 冒頭+2コーラス |
7(白4) | 贈る言葉 | 海援隊 | 2分36秒 2コーラス | 4分4秒 2コーラス半 |
8(紅4) | 私はピアノ | 高田みづえ | 2分36秒 1コーラス半 | 3分46秒 2コーラス |
9(白5) | サンタマリアの祈り | 西城秀樹 | 3分3秒 1コーラス半 | 5分28秒 2コーラス半 |
10(紅5) | あなた色のマノン | 岩崎良美 | 2分25秒 1コーラス半 | 3分42秒 2コーラス |
11(白6) | TOKIO | 沢田研二 | 2分46秒 1コーラス半+サビ | 4分39秒 2コーラス+サビ繰返 |
12(紅6) | 摩天楼 | 岩崎宏美 | 2分21秒 1コーラス半 | 4分9秒 2コーラス半 |
13(白7) | 大都会 | クリスタルキング | 2分38秒 冒頭+1コーラス+ラスト | 4分54秒 冒頭+2コーラス半+ラスト |
14(紅7) | パープルタウン | 八神純子 | 2分52秒 1コーラス半 | 4分10秒 2コーラス半 |
15(白8) | 防人の詩 | さだまさし | 4分23秒 4コーラス半 | 7分6秒 5コーラス半 |
16(紅8) | 恋人よ | 五輪真弓 | 3分1秒 2コーラス | 4分9秒 2コーラス半 |
17(白9) | ダンシング・オールナイト | もんた&ブラザーズ | 2分36秒 2コーラス+サビ | 3分58秒 3コーラス+サビ |
18(紅9) | 別れても好きな人 | ロス・インディオス &シルヴィア | 2分34秒 2コーラス | 3分14秒 2コーラス+サビ |
各ステージ・補足
この年も郷ひろみがトップバッター、白組では当時新記録の4年連続です。歌だけでなく鮮やかな女性ダンサーとの踊りも格好良く決まっています。元々短い曲ということもあって、カットはラストのサビ繰り返しのみで間奏やアウトロも残していました。
榊原郁恵の「ROBOT」は電子音のアレンジが印象的な曲ですが、ステージは東京放送管弦楽団の生演奏。したがって、その時点で原曲と大きく違います。2コーラス半のフルコーラス、カットはCメロにある間奏のみというかなりの好待遇ですが、テンポはものすごく速いです。
田原俊彦は大ヒットしたデビュー曲「哀愁でいと」を歌唱。たのきんトリオの応援も加わる豪華さですが、テンポは冗談抜きで尋常ではない速さでした。ほとんどフルコーラスで演奏時間1分46秒、倍速で見ているような感覚と言っても過言ではありません。(ステージレビュー→紅白歌合戦・田原俊彦の軌跡)
松田聖子の「青い珊瑚礁」もトシちゃんほどではないとは言え、原曲と比べてかなり速いテンポでの演奏です。それどころか中盤からテンポが更に速くなっているようにも聴こえます。弦楽器の演奏がこれだけ忙しなく聴こえるのは、第27回の「木綿のハンカチーフ」イントロ以来かもしれません。
野口五郎は観客との一体感を録音に含めた「コーラス・ライン」を披露。紅白のステージも白組歌手とスクールメイツが大合唱という内容です。バラードなのでほぼ原曲通りのテンポかと思いきや、サビを繰り返す後半以降どんどんテンポが速くなる演奏でした。ただそれでも、演奏時間はかなりの長さです。(ステージレビュー→紅白歌合戦・野口五郎の軌跡)
石野真子の「ハートで勝負」も、イントロから倍速かと思うほどの超速テンポ。間奏大半カットの1コーラス半でも冒頭サビがあるので、演奏時間は1970年代ほど短くありません。
海援隊は「贈る言葉」で6年ぶりの紅白出場、当時のNHKでは珍しく「金八先生」というフレーズがしっかり曲紹介に盛り込まれています。キーボードとスリーフィンガーギターの音が目立つバンドスタイルは、原曲と異なる味がありました。2コーラスにラストのフレーズが加わる構成ですが、演奏はまたまた原曲よりテンポアップ気味です。
高田みづえ「私はピアノ」のステージは、冒頭で「潮騒のメロディー」ピアノ演奏のアレンジがありました。したがってイントロは原曲より長めです。歌は間奏ほぼカットで2番はサビのみ、ただ演奏時間は1970年代後半の各年よりもしっかり取られている様子です。(ステージレビュー→紅白歌合戦・高田みづえの軌跡)
西城秀樹は彼が歌うからこそ絵になる大作バラード「サンタマリアの祈り」を歌唱。1番とラストサビの1コーラス半構成、当時の紅白ではあまりない3分超の歌唱時間になりました。(ステージレビュー→紅白歌合戦・西城秀樹の軌跡)
史上初の姉妹同時出場となった岩崎良美は「あなた色のマノン」を歌唱。デビュー1年目の紅白初出場ですが、そうとは思えない見事な歌声とパフォーマンスでした。1番と2番サビの1コーラス半、超速テンポが続く中でこのステージはほぼ原曲通りのリズムです。
沢田研二は衣装だけでなく顔にも白めのメイクを施して「TOKIO」を歌唱。EXOTICSのバンド演奏がライブさながらの迫力。テンポは原曲よりやや速め、イントロや間奏のカットもやや多め。2番も前半しか歌えない構成でしたが、演奏時間やステージそのものの満足度は高めです。(ステージレビュー→紅白歌合戦・沢田研二の軌跡)
岩崎宏美の歌唱曲は「摩天楼」。元々ややテンポの速い曲ですが、紅白ではさらにスピードが速くなっていました。それでも歌唱力は抜群の内容、サビ終わりの顔には女性らしい色気も備わっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・岩崎宏美の軌跡)
応援合戦等を挟んで登場するのは、「大都会」が大ヒットしたクリスタルキング。ムッシュ吉崎の1コーラスより田中昌之の高音ソロがとにかく目立つ曲ですが、紅白も冒頭とラストで田中さんソロが入る構成でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史)
八神純子はバックバンドの演奏、自らはキーボードを弾きながら「パープルタウン」を歌唱。1コーラスにサビ2回繰り返しという構成でした。フェイドアウトのエンディングは勿論ライブテイクのアレンジ、迫力のステージです。「みずいろの雨」などヒット曲・名曲の多い歌手ですが、紅白出場は意外にもこの年のみ。
さだまさしはギター弾き語りで「防人の詩」、この年も相当時間を取ってます。1番の歌詞を繰り返す5番こそカットですが、歌詞そのものは全て歌い切る形でした。
五輪真弓は最大ヒット曲の「恋人よ」を歌唱。間奏ほぼ無しの2コーラス、2番の歌詞でラストのタメはやや違和感がありました。ただ非常に高い完成度の楽曲と素晴らしい歌唱力、この年を代表する名ステージであることは間違いありません。
もんた&ブラザーズ「ダンシング・オールナイト」は1980年オリコン年間シングルレコード売上No.1の楽曲でした。間奏が一定時間確保されて、構成は2コーラスサビ繰り返しあり。テンポも特段速くなっている様子はありません。演出や演奏時間で判断する限り、この年の紅白は7組目~9組目ブロックに大きく力を入れたように見えます。その分6組目までが犠牲になった面もありそうですが…。(ステージレビュー→紅白歌合戦・バンド出場歌手の歴史)
ロス・インディオス&シルヴィアはムード歌謡デュエットの「別れても好きな人」、演歌にカテゴライズされる曲が18ステージ目にしてようやく初登場。2コーラスじっくり聴かせるステージですが、テンポは原曲よりやや速めでした。
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