歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第35回・1984年その3)

演奏時間&構成表 3(第35回・1984年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

 その1はこちらその2はこちらを参照してください。

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
31(白15) 忘れな草をあなたに 菅原洋一 2分9秒
2コーラス
3分25秒
3コーラス
32(紅15) 20の恋 岩崎宏美 2分39秒
2コーラス
3分50秒
2コーラス+サビ
33(白16) 盛り場おんな酒 大川栄策 2分26秒
2コーラス
3分56秒
3コーラス
34(紅16) 涙雪 森 昌子 3分12秒
2コーラス
3分37秒
2コーラス
35(白17) 大利根無情 三波春夫 2分11秒
2コーラス+台詞
3分49秒
3コーラス+台詞2
36(紅17) からたち日記 島倉千代子 2分17秒
2コーラス+台詞
3分33秒
3コーラス+台詞3
37(白18) まつり 北島三郎 3分51秒
2コーラス+サビ
4分26秒
2コーラス+サビ
38(紅18) 恋瀬川 八代亜紀 2分34秒
2コーラス
4分21秒
3コーラス
39(白19) 長良川艶歌 五木ひろし 2分57秒
2コーラス
4分43秒
3コーラス
40(紅19) もしかして 小林幸子 3分23秒
2コーラス
4分19秒
2コーラス半
41(白20) 北の螢 森 進一 4分7秒
2コーラス
4分32秒
2コーラス+サビ
42(紅20) 夫婦坂 都はるみ 3分27秒
2コーラス
4分36秒
3コーラス
好きになった人 都はるみ 2分26秒
2コーラス
3分41秒
3コーラス

各ステージ・補足

 菅原洋一は大人数の女性コーラスをしたがえて「忘れな草をあなたに」を紅白で13年ぶりに歌唱。1番と3番で最後のフレーズは繰り返し有り、ただ演奏時間はかなり短めです。

 岩崎宏美はバラード曲の「20の恋」を大人の雰囲気でムードたっぷりに。気がつけば演歌だらけになりつつある終盤の、貴重なポップス歌手として機能しています。構成は2コーラス、2番はAメロ前半とサビ1回目がそれぞれカットでした。なお原曲のテンポはもっとゆったり、曲調が変わっても紅白でテンポが速くなる呪縛からは逃れられない様子です。(ステージレビュー→紅白歌合戦・岩崎宏美の軌跡

 2年連続出場の大川栄策は「盛り場おんな酒」を2コーラス。1番と3番の歌唱、定石通りの内容です。

 森昌子はこの頃の紅白になると涙がつきものになり始めました。「涙雪」を歌うこの年も、涙を堪えるような場面が何度も見受けられます。演歌ですが制作陣はポップス系、秋元康はこの曲が作詞家として初の紅白歌唱曲になりました(作曲は当時チェッカーズへの提供が多かった芹澤廣明)。間奏の前半がカットされていますが、2コーラスしかないので歌は堂々のフルコーラスです。

 最多出場対決は過去曲同士、三波春夫は「大利根無情」を紅白で11年ぶりに歌唱。当時よりキー下げ、台詞も”そこをどいてくれ”の1フレーズを更にカット。演奏時間も4秒短くなっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・三波春夫の軌跡

 島倉千代子の「からたち日記」は11年前のトリで歌った時は台詞から入る変則パターンでしたが、この年は定石通り1番歌唱後でした。キーが原曲を歌っていた当時よりかなり低くなっています。歌われた歌詞は1番・2番と1回目の台詞です。テンポは原曲よりゆったりではあるものの11年前よりは速め、演奏時間は1分近く短くなっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・島倉千代子の軌跡

 北島三郎は金色の袴姿で「まつり」をどっしり歌唱。後年何度も大トリで歌った時のような賑やかな演出では無く、渋くカッコ良い歌唱で決めるステージです。トリでは無いものの、フルコーラス歌唱で演奏時間は4分近くになりました。

 八代亜紀の「恋瀬川」は本人作詞という紹介がありました。侘び寂びを強調したような聴かせる演歌です。1番と3番の歌唱。

 五木ひろしはこの年の日本レコード大賞受賞曲「長良川艶歌」、こちらも聴かせる名曲です。1番と3番の歌唱。50回出場の中で、紅白で歌われたのはこの時1回のみ。(ステージレビュー→紅白歌合戦・五木ひろしの軌跡

 小林幸子は美樹克彦とのデュエット「もしかしてPart 2」が大ヒットしましたが、紅白ではソロ版の「もしかして」を2コーラス歌唱。チャイナドレスに1メートル近くあるどでかい扇子を持参、演歌とは全く思えないステージです。ライスシャワーのように降り注ぐ紙吹雪も派手でした。

 森進一は自身の歌唱曲だと「襟裳岬」以来10年ぶりとなる白組トリ、和服姿で「北の螢」を熱唱します。3年前の「風雪ながれ旅」を思い出させる超大量の紙吹雪、照明が真赤に変わる2番ラストのステージ展開は特に圧巻でした。ラストサビ繰り返しは無いものの、派手な紅白仕様のアウトロつき。超がつくほどの名曲に鬼気迫る本人のパフォーマンス、48回出場している森さんの紅白のベストアクトに、これを挙げる人も多いのではないかと思われます。

 都はるみの大トリ、本編は「夫婦坂」の1番・3番の2コーラス。楽曲そのものは決してスケール感大きい曲ではないため、長い紅白仕様のアウトロが無ければちょうど3分のステージです。アンコールから始まる白組司会・鈴木健二の演説は55秒(うち「1分間時間をください」から始まる交渉時間は約15秒)、その後に流れで演奏が始まった「好きになった人」は1番・2番の2コーラス。曲紹介を含めると約8分間、はるみさんに時間を割いた形になっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・都はるみの軌跡

第35回(1984年)・まとめ

演奏時間ランキング(企画コーナーは除外)

順位 曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
1 41(白20) 北の螢 森 進一 4分7秒
2 37(白18) まつり 北島三郎 3分51秒
3 24(白12) AMAPOLA 沢田研二 3分28秒
4 42(紅20) 夫婦坂 都はるみ 3分23秒
5 40(紅19) もしかして 小林幸子 3分19秒
36 3(紅2) 東京Sugar Town 堀ちえみ 2分15秒
36 22(白11) 冬の海 村田英雄 2分15秒
38 23(紅11) 冬仕度 牧村三枝子 2分13秒
39 35(白17) 大利根無情 三波春夫 2分11秒
40 31(白15) 忘れな草をあなたに 菅原洋一 2分9秒

 演奏時間は終盤に登場する中堅~ベテランが長い傾向にあります。その一方で、大御所陣の演奏時間が削られ気味でした。全ステージ平均は2分45秒、前回よりさらに1秒伸びています。

フルコーラス歌唱(間奏・アウトロ・フェイドアウトは除く)

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
16(紅8) Rock’n Rouge 松田聖子 3分19秒
2コーラス
4分15秒
2コーラス
34(紅16) 涙雪 森 昌子 3分12秒
2コーラス
3分37秒
2コーラス
37(白18) まつり 北島三郎 3分51秒
2コーラス+サビ
4分26秒
2コーラス+サビ

 松田聖子は前回の「ガラスの林檎」もほぼフルでしたが、この年は歌詞部分に関して言うと文句なしのフルでした。北島三郎の「まつり」は最初からフルコーラス、その後は特別出演の第69回以外全て大トリフル。他の歌手・楽曲では到底成し得ない記録を作っています

テンポアップが目立ったステージ

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
7(紅4) 唇のプライバシー 河合奈保子 2分21秒
1コーラス半
3分43秒
2コーラス半
14(紅7) 十戒(1984) 中森明菜 2分27秒
2コーラス+サビ
3分36秒
2コーラス半
18(紅9) 浪花節だよ人生は 水前寺清子 2分25秒
2コーラス
3分58秒
3コーラス
26(白13) チャールストンにはまだ早い 田原俊彦 2分36秒
2コーラス
3分20秒
2コーラス+サビ
32(紅15) 20の恋 岩崎宏美 2分39秒
2コーラス
3分50秒
2コーラス+サビ

 この年に限った話ではありませんが、テンポ速めのステージはやはりダンスが入るアイドル系が多めです。その中でバラードになってもテンポが速くなる岩崎宏美は、もはや殿堂クラスかもしれません。

バンドスタイルのステージ

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
2(白1) アッパレ!フジヤマ シブがき隊 2分31秒
1コーラス半
4分9秒
2コーラス+サビ
8(白4) 抱きしめてジルバ 西城秀樹 2分43秒
1コーラス半
4分25秒
2コーラス半
15(白7) ケジメなさい 近藤真彦 3分14秒
1コーラス半
4分3秒
2コーラス+サビ
20(白10) 涙のリクエスト チェッカーズ 2分55秒
冒頭+1コーラス半
3分45秒
冒頭+2コーラス
24(白12) AMAPOLA 沢田研二 3分28秒
1コーラス半
4分24秒
2コーラス
25(紅12) 桃色吐息 髙橋真梨子 3分9秒
冒頭+2コーラス
3分33秒
冒頭+2コーラス

 シブがき隊のシブ楽器隊、近藤真彦のYAMATOはバンドセットこそ無いもののクレジットで名前有りでした。沢田研二はいつもの専属バンドではなく東京フィルハーモニー交響楽団、外部のオーケストラが紅白1ステージのみの演奏に加わるのはこの年が初めてです。

 

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