歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第37回・1986年その1)

 1985年まで紅白歌合戦は最低でも60%台の視聴率を記録していましたが(※関東地区)、この年は初の50%台という数字に落ち込みました。実力派優先の名のもとに人気若手歌手が落選、テレビに出ないフォーク・ニューミュージックどころか一部アイドルまで出場辞退、暴力団との関係が報道されたことによる出場歌手交代発生。モニターやハンドマイクといった新技術、アナウンサー司会&キャプテン制の導入の代わりに、大規模な舞台転換が減少したとともにハプニングも続出。そもそも全体レコード売上が大幅低下、ヒット曲の入れ替わりが激しくなってロングセラーが少ない年でもありました。1986年・第37回は振り返ると、歴代の紅白でもっとも苦境にあった回と言っても良いかもしれません。

 

演奏時間&構成表 1(第37回・1986年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

曲順楽曲アーティスト演奏時間
構成
フル再生時間
構成
1(紅1)ダンシング・ヒーロー荻野目洋子2分28秒
2コーラス
3分47秒
3コーラス
2(白1)仮面舞踏会少年隊2分42秒
1コーラス半
3分46秒
2コーラス半
3(紅2)女の港大月みやこ2分47秒
2コーラス
4分25秒
3コーラス
4(白2)情け川新沼謙治2分42秒
3コーラス
4分24秒
3コーラス
5(紅3)夜明けのMEW小泉今日子2分53秒
冒頭+1コーラス半
3分49秒
冒頭+2コーラス
6(白3)あゝ北前船三波春夫2分49秒
2コーラス
4分17秒
3コーラス
7(紅4)悲しみよこんにちは斉藤由貴2分12秒
1コーラス半+サビ
4分0秒
2コーラス+サビ
8(白4)雪國吉 幾三2分43秒
2コーラス
4分32秒
3コーラス+サビ
9(紅5)小柳ルミ子2分41秒
1コーラス+サビ2
3分49秒
2コーラス+サビ2
10(白5)あッ田原俊彦2分56秒
冒頭+1コーラス半
3分46秒
冒頭+2コーラス
11(紅6)DESIRE中森明菜2分43秒
1コーラス半
4分24秒
2コーラス+ラスト
12(白6)女神沢田研二3分23秒
2コーラス
4分50秒
2コーラス

各ステージ・補足

 荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」から第37回紅白歌合戦が始まります。例のごとく紅組歌手全員が一緒に踊りを交えて応援するステージでした。1番+間奏+3番の構成。ユーロビートを弦楽器満載のオケで生演奏、当時がまだ昭和であったことをしみじみと感じさせます。

 少年隊の「仮面舞踏会」、曲紹介での「仮面ライダー」は歴代紅白でもトップクラスのハプニングとして現在にまで語り継がれています。ただ早替え後の衣装は確かにショッカーみたいでした。1番とCメロ~ラストの歌唱ですが、早替えパフォーマンスの入る間奏はシングルの音源にはないオリジナルになっています。(ステージレビュー→紅白名言集解説・81~仮面ライダー~

 苦節22年を経てついに初出場の大月みやこは「女の港」を歌唱。1番と3番を、夢が叶った喜びを噛み締めながら歌います。

 新沼謙治は前回落選だったので、2年ぶりの紅白復帰になりました。吉岡治作詞・市川昭介作曲、1970年代後半の若い時とは違う、しみじみと演歌らしい「情け川」を歌います。1番と3番の歌唱でした。

 小泉今日子はこの年を代表するヒット曲「夜明けのMEW」。ぬいぐるみを持ちながら、かわいらしい衣装で歌います。オープニングにオリジナルのSEつき、1番歌唱後は間奏から2番サビに飛びます。テンポやや速めでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・小泉今日子の軌跡

 三波春夫はこの年初導入のモニターに映る北前船をバックに、「あゝ北前船」の1番と2番を歌唱。(ステージレビュー→紅白歌合戦・三波春夫の軌跡

 紅組キャプテンの斉藤由貴は、歴代朝ドラヒロイン3名の応援を受けての曲紹介でした。もっとも歌唱する「悲しみよこんにちは」は、フジテレビのアニメ『めぞん一刻』OPテーマです。1コーラス歌唱後、間奏無しでラストサビにスキップ。したがってサビ繰り返しこそあるものの、演奏時間は意外なほどの短さでした。

 一方の吉幾三は青森県黒石市の中継先から応援、斉藤さんの朝ドラ『はね駒』ヒロインに対してこちらは大河ドラマ『いのち』の好演がありました。ロングセラーを記録した「雪國」の1番と3番を歌唱。涙を堪えながら歌うシーンが印象的で、年明け以降さらにヒットを記録。ついにはオリコン週間1位まで獲得しています。

 小柳ルミ子の「乱」は4年連続となるミュージカル仕様。歌唱力で聴かせる楽曲が、鮮やかなアクションで魅せる楽曲に変貌しています。テンポは原曲と比べ物にならないくらい速め、イントロ・間奏・アウトロといった歌以外の部分は全く異なるメロディー。ここまで大胆なアレンジが施されるケースは、紅白史上初めてです(平成以降は珍しくも無くなりましたが)。構成は1番フル、長い間奏を経てサビ2回。(ステージレビュー→紅白歌合戦・小柳ルミ子の軌跡

 田原俊彦はほぼ原曲通りのアレンジですが、こちらも鮮やかなダンサーが大人っぽい雰囲気を演出しています。「あッ」というタイトルは、歴代紅白におけるトップクラスの短さです。冒頭~1コーラス歌唱後、間奏を経て2番はサビ以降のみの構成でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・田原俊彦の軌跡

 2年連続日本レコード大賞受賞の中森明菜は、バンドセットの生演奏で「DESIRE」を披露。和服姿に白いウィッグの衣装は、現在まで語り草になっています。間奏無1コーラス半の歌唱ですが、1番の後に歌ったのは2番の歌詞でした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・中森明菜の軌跡

 沢田研二はバラードの「女神」を、2コーラスたっぷりと聴かせるステージでした。若干原曲よりテンポ速め、間奏など歌以外の演奏は短くなっています。歌は”ジュテーム”2回分を除いてフルコーラスでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・沢田研二の軌跡

 

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