歴代紅白歌合戦歌唱曲・演奏時間&構成表(第23回・1972年その3)

 

演奏時間&構成表 3(第23回・1972年)

 演奏時間・構成は紅白歌合戦で実際に披露したステージを指しています。フル再生時間はSpotifyの音源基準、オリジナル未配信曲は手持ちのCDからインポートしたiTunes音源を基準としています。

 その1はこちらその2はこちらを参照してください。

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
31(白16) 「大忠臣蔵」より
あゝ松の廊下
三波春夫 2分24秒
2コーラス・間奏台詞
9分11秒
3コーラス+浪曲・台詞
32(紅16) 瀬戸の花嫁 小柳ルミ子 2分40秒
1コーラス半
3分20秒
2コーラス
33(白17) お嫁に行くんだね 水原 弘 2分15秒
2コーラス
2分47秒
2コーラス
34(紅17) ハチのムサシは
死んだのさ
平田隆夫と
セルスターズ
2分24秒
2コーラス
2分49秒
2コーラス
35(白18) 君恋し フランク永井 2分52秒
1コーラス半
3分36秒
2コーラス半
36(紅18) すみだ川 島倉千代子 2分56秒
2コーラス・間奏台詞
4分10秒
3コーラス+台詞2回
37(白19) 子連れ狼 橋 幸夫 2分50秒
2コーラス・冒頭/間奏台詞
4分54秒
3コーラス+台詞2回
38(紅19) おんなの海峡 都はるみ 2分27秒
2コーラス
4分31秒
3コーラス
39(白20) 許されない愛 沢田研二 2分45秒
1コーラス半
3分55秒
2コーラス
40(紅20) 喝采 ちあきなおみ 2分47秒
1コーラス半
3分34秒
2コーラス
41(白21) 待っている女 五木ひろし 2分30秒
1コーラス半
3分19秒
2コーラス
42(紅21) 日本列島・みなと町 青江三奈 2分36秒
3コーラス
3分54秒
4コーラス
43(白22) マイ・ウェイ 布施 明 2分31秒
1コーラス半
4分8秒
2コーラス半
44(紅22) 昭和放浪記 水前寺清子 2分49秒
3コーラス半
3分37秒
4コーラス半
45(白23) 冬の宿 北島三郎 2分54秒
2コーラス・冒頭台詞
4分19秒
3コーラス+冒頭台詞
46(紅23) ある女の詩 美空ひばり 2分52秒
2コーラス
4分2秒
3コーラス

各ステージ・補足

 三波春夫は大忠臣蔵の長編浪曲から、前半の刃傷シーンを抜粋。なお歌い始めるタイミングで司会者が喋り続けるハプニングあり、演奏時間の計測は三波先生の台詞・”元禄忠臣蔵こそ 日本人の大ロマンである”からとしています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・三波春夫の軌跡

 小柳ルミ子はこの年年間2位のレコードセールスを記録した大ヒット曲「瀬戸の花嫁」ですが、まだ2回目ということもあってフルの2コーラスではなく1コーラス半でした。テンポはこの時期の紅白だと珍しい、原曲よりやや遅めの演奏です。(ステージレビュー→紅白歌合戦・小柳ルミ子の軌跡

 水原弘はフルコーラスですが、原曲よりもかなり速めの演奏です。ただ紅白のステージだけだと速いという印象はあまりなく、むしろ原曲があまりに遅過ぎるようにも聴こえます。

 平田隆夫とセルスターズは原曲通りのリズムで歌唱。カットは間奏の後半とフェイドアウトのアウトロ程度で、初出場ながらフルコーラスでした。

 フランク永井の「君恋し」はゆったりとしたテンポですが、これは1961年にカバーした時とほぼ同じテンポ。2番がカットされた代わりに、間奏でトランペットの演奏が堪能できます。トランペット奏者のニニ・ロッソをゲストに迎えたステージですが、翌年にあらためてレコーディングした音源は紅白よりも速いBPMでした。(ステージレビュー→紅白歌合戦・フランク永井の軌跡

 島倉千代子の「すみだ川」は1番+台詞+2番という構成。若き日の坂東玉三郎が舞で参加しています。この年逝去した東海林太郎のカバーですが、レコードは3年前に発売されてその年の紅白でも歌われています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・島倉千代子の軌跡

 橋幸夫の「子連れ狼」は若草児童合唱団の合唱が印象的ですが、23時台ということもあって紅白のコーラスはスクールメイツとキャンディーズでした。テンポも原曲より速めでややあっさり、大ヒット曲ですが若干違和感のあるアレンジにも聴こえます。(ステージレビュー→紅白歌合戦・橋幸夫の軌跡

 都はるみは「おんなの海峡」の1番と3番を大熱唱。(ステージレビュー→紅白歌合戦・都はるみの軌跡

 沢田研二はザ・いのうえバンドを引き連れてのステージ、ソロ歌手が専属のバックバンドを従えたのは紅白始まって以来のことでした。原曲通りのテンポで大熱唱、ただフルコーラスが長いので2番は後半からの歌唱です。(ステージレビュー→紅白歌合戦・沢田研二の軌跡

 ちあきなおみはこの年日本レコード大賞を受賞した「喝采」を歌唱。後年でも振り返られることの多いステージですが、レコ大と違ってこちらは2番前半カットの1コーラス半でした。ただテンポは原曲通りです。(ステージレビュー→紅白歌合戦・ちあきなおみの軌跡

 五木ひろしの「待っている女」はアップテンポの楽曲ですが、速いテンポは原曲通り。ただこちらも間奏の後半と2番前半がカットされた1コーラス半。(ステージレビュー→紅白歌合戦・五木ひろしの軌跡

 青江三奈の「日本列島・みなと町」は複数の港町を歌い上げるご当地ソング。釧路・新潟・東京・沖縄のうち、新潟を歌う2番がカットされました。

 布施明の「マイ・ウェイ」は原曲よりかなり速いテンポ、布施さんはそれに抵抗するかのようにゆっくり歌ってます。歌手と演奏のせめぎ合いがよく分かるステージですが、ラストの聴かせどころは布施さん主導で入るアレンジ。したがって最終的には演奏が根負けする形でした。演奏と一体になった布施さんの「マイ・ウェイ」は、紅白だとあと32年待つ形になります。(ステージレビュー→紅白歌合戦・布施明の軌跡

 水前寺清子の「昭和放浪記」はあまりヒットしていないですが、歌謡曲ファンには根強く支持されている楽曲です。1コーラスが短いので原曲は4コーラス半、紅白では4番のみカットでテンポアップも無し。前年と翌年に紅組司会、この年も紅組応援団長で民放ではドラマ『ありがとう』で国民的女優。したがって扱いは大きいです。

 北島三郎は「冬の宿」で初の白組トリでした。ややイメージと異なる3拍子リズムの曲ですが、演奏テンポはなんと原曲より少し遅め。1番と3番の歌唱で間奏は短め、アウトロは原曲より盛り上がるものの早めの切り上げでした。

 大トリ・美空ひばりの「ある女の詩」は1番と3番のみ歌唱。前年の「この道を行く」がフルコーラスに国民的俳優・長谷川一夫の曲紹介という別格級の厚遇でしたが、さすがにこの年は少し抑えたようにも見えます。ただ紅組司会だけでなく白組司会・宮田輝も加わっての曲紹介、当時ではもう珍しくなったスタンドマイク使用など扱いはやはりVIP級、実際の歌唱ステージもそれに相応しい貫禄の内容でした。アウトロも原曲と異なる、締めに相応しいフィナーレ風の演奏になっています。(ステージレビュー→紅白歌合戦・美空ひばりの軌跡

第23回(1972年)・まとめ

演奏時間ランキング

順位 曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
1 36(紅18) すみだ川 島倉千代子 2分56秒
2 45(白23) 冬の宿 北島三郎 2分54秒
3 30(白15) 出発の歌 上條恒彦 2分52秒
3 35(白18) 君恋し フランク永井 2分52秒
3 46(紅23) ある女の詩 美空ひばり 2分52秒
42 19(紅10) 純潔 南 沙織 2分3秒
42 11(白6) 夜明けの停車場 石橋正次 2分3秒
44 28(白14) 銀座・おんな・雨 美川憲一 2分1秒
45 13(白7) ここで一番 村田英雄 1分52秒
46 18(白9) 太陽がくれた季節 青い三角定規 1分39秒

 演奏時間の長いステージは後半が多くを占めています。前半各7組以内で2分30秒超えは3組、一方終盤の各4組は全て2分30秒以上の演奏時間が確保されていました。全ステージの平均はおよそ2分26秒となっています。どちらかと言うと早送りフルコーラスよりも、原曲テンポ1コーラス半の方が歌唱時間は長い傾向にあります。

フルコーラス歌唱(間奏・アウトロは除く)

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
4(紅2) 孤独 和田アキ子 2分31秒
2コーラス
2分58秒
2コーラス
5(白3) 運がよければいいことあるさ 堺 正章 2分17秒
1コーラス半
2分56秒
1コーラス半
14(紅7) オー・シャンゼリゼ 佐良直美 2分50秒
サビ+2コーラス+α
(音源無し)
15(紅8) どうにもとまらない 山本リンダ 2分25秒
2コーラス
2分51秒
2コーラス
16(白8) ゴッド・ファーザー
~愛のテーマ
尾崎紀世彦 2分21秒
1コーラス半
2分30秒
1コーラス半
17(紅9) 生まれかわれるものならば いしだあゆみ 2分23秒
2コーラス半
2分53秒
2コーラス半
24(白12) 愛したいなら今 西郷輝彦 2分24秒
2コーラス
2分40秒
2コーラス
25(紅13) 美しい星 森山良子 2分22秒
2コーラス+サビ2
2分47秒
2コーラス+サビ3
26(白13) 知りたくないの 菅原洋一 2分24秒
1コーラス
2分48秒
1コーラス
29(紅15) 恋の追跡 欧陽菲菲 2分21秒
2コーラス半
2分56秒
2コーラス半
33(白17) お嫁に行くんだね 水原 弘 2分15秒
2コーラス
2分47秒
2コーラス
34(紅17) ハチのムサシは死んだのさ 平田隆夫と
セルスターズ
2分24秒
2コーラス
2分49秒
2コーラス

 ポップス系の曲に短い曲が多く、自然にフルコーラス歌唱となったケースが目立ちます。全ステージに対するフルコーラスの比率は、少なくともこの年に関して言えばここ何年かの紅白よりも相当高いのではないかと思われます。

テンポアップが目立ったステージ

曲順 楽曲 アーティスト 演奏時間
構成
フル再生時間
構成
2(紅1) ひとりじゃないの 天地真理 2分16秒
2コーラス
3分37秒
3コーラス
3(白2) 夏のふれあい フォーリーブス 2分13秒
2コーラス
2分55秒
3コーラス
5(白3) 運がよければいいことあるさ 堺 正章 2分17秒
1コーラス半
2分56秒
1コーラス半
7(白4) 嵐の夜 にしきのあきら 2分16秒
2コーラス
3分20秒
2コーラス半
9(白5) くちづけ 鶴岡雅義と
東京ロマンチカ
2分18秒
2コーラス
3分31秒
2コーラス半
15(紅8) どうにもとまらない 山本リンダ 2分25秒
2コーラス
2分51秒
2コーラス
21(紅11) さよならは突然に ザ・ピーナッツ 2分31秒
1コーラス半
2分56秒
2コーラス
29(紅15) 恋の追跡 欧陽菲菲 2分21秒
2コーラス半
2分56秒
2コーラス半
33(白17) お嫁に行くんだね 水原 弘 2分15秒
2コーラス
2分47秒
2コーラス
37(白19) 子連れ狼 橋 幸夫 2分50秒
2コーラス・冒頭/間奏台詞
4分54秒
3コーラス+台詞2回
43(白22) マイ・ウェイ 布施 明 2分31秒
1コーラス半
4分8秒
2コーラス半

 昭和の紅白は原曲のイメージと異なるほどのテンポアップ演奏が多いです。こちらも毎回ピックアップする形になるかと思います。現在の紅白も前半に歌割りカットが多いステージが続出していますが、前半で歌割りカットする代わりに演奏を…という点では今も昔も根本はあまり変わっていないのかもしれません。

 こんな感じで、次回以降も更新していく予定です。演奏時間だけでも紅白の歴史をかなり感じられるコンテンツになるかと思うので、楽しみにしてください。

 

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